こんにちは。Dr.Waveです。
今回は岡山大学が持つ
「ARTプログラム」について説明します。
岡山市民病院もこの「ARTプログラム」に参与しているので、それもお伝えしたいと思います。
この「ARTプログラム」とは『Advanced Research Training program、先進医学修練プログラム』の呼称です。
卒後臨床研修と大学院を両立させて効果的に人材育成を行う大学院改革プログラムです。大学院教育を単独ではなく、学部教育・卒後臨床研修と連結して、シームレスな医学研究者育成を行っています。
このプログラムができた背景には、近年の卒後臨床研修必修化を背景に学生の臨床専門医志向が強まり、結果として医学研究者が激減し、医学そのものの崩壊が危惧されるようになったことがあります。
従来(新臨床研修制度ができる2004年まで)は医学部卒業後ほとんどの若手医師は医局に属し、医局が提供する初期研修と後期研修を行い、卒後5-6年には大学院に戻って研究する道筋が提供されていました。ほとんどの医師が一度は研究に従事し博士号を取得する流れにのっていました。
しかし2004年より新臨床研修制度が開始となり、多くの臨床家が輩出されるようになりましたが、逆に研究に触れる機会が乏しくなってしまいました。それにより研究に関わる医師の絶対数が減ると同時に従事する医師数も減り医学研究の発展が危惧されるようになったということになります。
この「ARTプログラム」により、MD研究者と生命科学を専門とするPhD研究者を増加させ、両者が協力出来る環境をつくることにより、医学研究の発展、異分野融合が実現していくことを目指しています。
さて、
岡山市民病院と「ARTプログラム」との関連です。
岡山市民病院は岡山大学(GIMセンター)と提携して博士課程の「アカデミックGP養成コース(博士)」の連携大学院を実施しています。
そして岡山市民病院は岡山市と協定を組んで「ARTプログラム」に参加する岡山市民病院医師に対して
奨学金(授業料全額支給で返却不要)を提供しています。
岡山市民病院で診療業務を行いながら、岡山市民病院でのカンファレンスやレクチャーを通して大学院の単位の一部を取得することができます。他の大学院授業は夜間行われる(1-2時間程度)ので、日中の病院業務を終了してから参加できます。
臨床研究は岡山大学の総合内科学講座(正式には「岡山大学大学院医歯薬学総合研究科社会環境生命科学専攻総合内科学」)と連携しています。岡山市民病院が市中病院としての臨床データを集積する場として機能を発揮し、臨床研究を進めています。
実はこの「ARTプログラム」ですが、設定は卒後すぐの初期研修医をターゲットにしていますが、様々な活用ができます。
現在Dr.Waveはこの「ARTプログラム」に入っています。
ARTプログラム参加パターンには大きく3つあります。ひとつは元々設定されている「初期研修」から開始するパターン。残り2つは「後期研修」もしくは「スタッフ」から開始するパターンです。
Dr.Waveは「スタッフ」から開始しました。また岡山市民病院にはもう一人参加者がいて彼は「初期研修」から開始しています(正確には学生のときから念頭において履修を開始しています)。
来年度は複数名の申請があり「後期研修」からのパターンも開始になりそうです。
岡山市民病院では良質な診療サービスを提供しながらも
リサーチマインドを育める環境を医師に提供していきます。
「ARTプログラム」
ホームページ:
http://art-med.jp/
旧ホームページ:
http://www.hsc.okayama-u.ac.jp/mdps/artprogram/
初期研修から開始する場合のイメージ
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また別の機会に①「アカデミックGP養成コース」、②「岡山大学GIMセンター(GP Innovation and Management Center)」、③「岡山大学総合内科学講座」の説明を行っていきたいと思います。