岡山市立市民病院 総合診療グループ(ER+GIM)

岡山市立市民病院の総合診療グループである『総合内科』と『救急総合診療科』の日常の雰囲気を伝えていきます。

岡山市立市民病院 前期CPC(2014/10/21)

2014-10-21 23:22:19 | 院内カンファレンス
こんばんは。Dr.Waveです。

今日『岡山市立市民病院 前期CPC』が開催されました。

「MDSに合併した特発性小腸穿孔の一例」と「混合型肝癌の右房内進展の一例」の計2例の症例検討を行いました。

一例目では背景疾患も踏まえて小腸に穿孔病変を起こす基礎疾患について考察しました。
二例目では針生検による混合型肝癌の診断の感度の問題、肝癌の右房内進展におけるmirco pulmonary embolismを含めた全身への転移の評価、混合型肝癌の病理診断について考察しました。

剖検でしか得ることの出来ない臨床所見を基に様々な有意義なdiscussionを行い、岡山市立市民病院の臨床診療レベルの向上を行うことができたと思います。

最後に剖検についてご理解とご協力いただいたご家族の方に深く感謝申し上げます。



岡山市民病院ケースカンファレンス(2014/10/10)

2014-10-20 22:59:38 | 院内カンファレンス
こんばんは。Dr.Waveです。

10月10日のケースカンファレンスの報告です。

今回の症例のテーマはDKAでした。
DKAの初期診療は、ICUなどのhigh care可能な場所で、血糖、K、Naに関しての管理が必要となります。

何かと初期にやることが多々あるので経験が浅いとついDKAの管理一辺倒に傾きやすいのですが、当たり前ながらDKAを起こした原因についてもきちんと評価をしておかねばなりません。
急性膵炎もその鑑別の一つとなりますが、DKAも膵炎もアシドーシスを伴うため重症度の評価には経時的な評価を伴います。

今回はペットボトル症候群にてDKAならびに急性膵炎を起こしていました。膵炎はおそらく高TG血症に伴う一過性のものと考えられました。

今回のカンファレンスでDKAの精査加療についてレジデント皆で再確認できました。

S国先生、お疲れ様でした。













ARTプログラム

2014-10-14 12:17:11 | 理念やコンセプト
こんにちは。Dr.Waveです。

今回は岡山大学が持つ「ARTプログラム」について説明します。
岡山市民病院もこの「ARTプログラム」に参与しているので、それもお伝えしたいと思います。

この「ARTプログラム」とは『Advanced Research Training program、先進医学修練プログラム』の呼称です。

卒後臨床研修と大学院を両立させて効果的に人材育成を行う大学院改革プログラムです。大学院教育を単独ではなく、学部教育・卒後臨床研修と連結して、シームレスな医学研究者育成を行っています。

このプログラムができた背景には、近年の卒後臨床研修必修化を背景に学生の臨床専門医志向が強まり、結果として医学研究者が激減し、医学そのものの崩壊が危惧されるようになったことがあります。

従来(新臨床研修制度ができる2004年まで)は医学部卒業後ほとんどの若手医師は医局に属し、医局が提供する初期研修と後期研修を行い、卒後5-6年には大学院に戻って研究する道筋が提供されていました。ほとんどの医師が一度は研究に従事し博士号を取得する流れにのっていました。
しかし2004年より新臨床研修制度が開始となり、多くの臨床家が輩出されるようになりましたが、逆に研究に触れる機会が乏しくなってしまいました。それにより研究に関わる医師の絶対数が減ると同時に従事する医師数も減り医学研究の発展が危惧されるようになったということになります。

この「ARTプログラム」により、MD研究者と生命科学を専門とするPhD研究者を増加させ、両者が協力出来る環境をつくることにより、医学研究の発展、異分野融合が実現していくことを目指しています。



さて、岡山市民病院と「ARTプログラム」との関連です。
岡山市民病院は岡山大学(GIMセンター)と提携して博士課程の「アカデミックGP養成コース(博士)」の連携大学院を実施しています。
そして岡山市民病院は岡山市と協定を組んで「ARTプログラム」に参加する岡山市民病院医師に対して奨学金(授業料全額支給で返却不要)を提供しています。

岡山市民病院で診療業務を行いながら、岡山市民病院でのカンファレンスやレクチャーを通して大学院の単位の一部を取得することができます。他の大学院授業は夜間行われる(1-2時間程度)ので、日中の病院業務を終了してから参加できます。
臨床研究は岡山大学の総合内科学講座(正式には「岡山大学大学院医歯薬学総合研究科社会環境生命科学専攻総合内科学」)と連携しています。岡山市民病院が市中病院としての臨床データを集積する場として機能を発揮し、臨床研究を進めています。

実はこの「ARTプログラム」ですが、設定は卒後すぐの初期研修医をターゲットにしていますが、様々な活用ができます。
現在Dr.Waveはこの「ARTプログラム」に入っています。

ARTプログラム参加パターンには大きく3つあります。ひとつは元々設定されている「初期研修」から開始するパターン。残り2つは「後期研修」もしくは「スタッフ」から開始するパターンです。
Dr.Waveは「スタッフ」から開始しました。また岡山市民病院にはもう一人参加者がいて彼は「初期研修」から開始しています(正確には学生のときから念頭において履修を開始しています)。
来年度は複数名の申請があり「後期研修」からのパターンも開始になりそうです。


岡山市民病院では良質な診療サービスを提供しながらもリサーチマインドを育める環境を医師に提供していきます。





「ARTプログラム」
ホームページ:http://art-med.jp/
旧ホームページ:http://www.hsc.okayama-u.ac.jp/mdps/artprogram/



初期研修から開始する場合のイメージ




@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@

また別の機会に①「アカデミックGP養成コース」、②「岡山大学GIMセンター(GP Innovation and Management Center)」、③「岡山大学総合内科学講座」の説明を行っていきたいと思います。



岡山市立市民病院 病診連携研修会 「3S会」 (2014/10/09)

2014-10-09 23:16:24 | 院内イベント
こんばんは。Dr.Waveです。
1週間は早いものです。
つい昨日が月曜日だったように思いますが、もう週末です。
1日1日大切に過ごさねばならないですね。

今日は夕方に『3S会』が開催されました。
『3S会』とは「岡山市立市民病院 病診連携研修会」のことで、「診療機関と市民病院による市民のための研修会」として頭文字の3つのSをとって命名されました。
今回で第33回になりました。

今回は「がん治療における病診連携」がテーマでした。
腹腔鏡外科の主任医長の大村先生から「当院で行っている消化器腹腔鏡手術」について、血液・腫瘍センター副センター長の山本先生から「高齢者の血液腫瘍治療における病診連携」について、ももたろう往診クリニックの小林先生より「訪問診療の実際」について講演いただきました。

Dr.Wave自身、この会に参加するのはこれで2回目になりますが、非常に勉強になっています。

病診連携の研修会では、病院で行っている診療内容やコンセプト、そして実績をプレゼンテーションすることで、診療所のスタッフの方が岡山市民病院を活用する際の参考になっていると思います。
と同時に、病院スタッフにとっては、地域の診療所の診療サービスや訪問診療のコンセプトを知ることができ、自分達が病院で担っている役割を認識することができ、患者さんの医療サービス全体を見通すことができます。

診療所の先生方は病院で勤務された経験があるので、「今」の病院の診療を知る機会になりますが、病院のスタッフは知識や経験が乏しい診療所サービスを「勉強」することができると思います。
病診連携の研修会は病院スタッフにこそ重要な会であることを実感しました。

病診連携では「診療情報提供書」が重要な役割を担いますが、総合診療科(ER+GIM)としては有効な診療情報提供書の書き方についても重要教育項目として追及していきたいと考えています。



























新岡山市民病院の建築状況(2014年10月1日時点)

2014-10-06 13:26:42 | その他
こんにちは。Dr.Waveです。

岡山市民病院は2015年5月に北長瀬に移転予定です。
新病院はJR北長瀬駅と直結しています。

よって「岡山-倉敷」間で建築状況が確認できます。

現在、最上階まで建物は到達していますが、外観はまだ「工事中」感バリバリな状況です。
とはいえ、病院内に入るコンビニや食堂が決まったり、来年度の各部署のリクルート(看護師、薬剤師などは採用枠が広がっているようです)も進んでおり、来年5月に向けて着々と準備は進んでいます。

ERとGIMの総合診療部門も来年度に向けたシステム構築にいそしんでいます。
来年は総合内科を含めた内科後期研修センターに後期研修医が複数名入る予定となっています。

『新・岡山市民病院』は本当に楽しみです。










岡山市民病院ケースカンファレンス(2014/10/03)

2014-10-04 00:22:46 | 院内カンファレンス
こんばんは。Dr.Waveです。

今日も岡山市民病院ケースカンファレンスがありました。
本日はオーソドックスながら急性膵炎の一例でした。
急性膵炎を疑う症例で何をしていくかを症例をとおしてみんなで学びました。

I崎先生、お疲れ様でした。立派なスライドでした。

今日は司会にのめりこんでしまい、カンファレンス風景を写真で収めるのを忘れていました。
代わりにですが、今の医局から見える夜景を貼っておきます。

岡山市民病院は来年度5月に移転をします。
現在は岡山の呑み処の中央町のそばですが、岡山駅から一駅の「北長瀬」に移動します(だいたい5kmほどの引越です)。
赤提灯やネオンから離れるのはちょっと寂しい感じもありますが、北長瀬は新開発エリアなのでそれはそれで楽しみでもあります。
どんな場所でも最善の医療を!岡山市民病院の臨床研修の一番のモットーです。



OCH救命救急 M&Mカンファレンス(2014/09/26)

2014-10-02 19:18:10 | 院内カンファレンス
こんばんは。Dr.Waveです。

先週から『OCH救命救急 M&Mカンファレンス』を開始しました。
毎月最終金曜日に開催とします。

今回は初回ということで桐山救急副センター長にM&Mカンファレンスの意義とやり方を15分ほどで説明していただき、その後前の週のケースカンファレンスで取り上げた症例を基に症例検討を行いました。

同じ症例でもケースカンファレンスとM&Mカンファレンスとで追及する内容が変わってくるということを具体的に示していただきました。

どのようにしたら診療サービスが向上していくか、どのようにしたらゼロにはならない診療リスクをゼロに近づけていけるか、どのようにしたら個人的な努力だけでないシステム的なバックアップをかけることができるか、など、医療は知識や技術だけでなく「システム」であることとして突き詰めていきます。

M&Mカンファレンスを通して「岡山ER」を鍛え上げていきたいと考えています。









倉敷中央病院訪問と電子カルテ

2014-10-02 15:27:59 | 院外活動
こんにちは。Dr.Waveです。

昨日は倉敷中央病院を訪問しました。
目的は電子カルテの運用についてご教授いただくことでした。

当院はNECの電子カルテシステム「MegaOak」を利用しています。
倉敷中央病院も同じ電子カルテを導入しており、病院スタッフの規模と予算の関係から当院のversionとcontentsより数歩先を歩んでいます。

来年度5月の移転に際し、当院でも一気にversionアップをとげる予定ですが、何ができていて何が未だに課題なのかは自前だけの経験では見通しが立ちにくいこともあり、今回のような機会を作る運びとなりました。

今回訪問した際、倉敷中央病院のSEスタッフ様方が丁寧に説明をしてくださり、今後の岡山市立市民病院の電子カルテの運用方針にかなりの示唆を提供していただきました。お忙しい中本当にありがとうございました。

電子カルテは性質上ユーザー(病院)とメーカーが共に育てていくものです。プログラム開発にはお金と時間がかかり、開発されたプログラムを導入した場合当面の間競合するプログラムとのトラブルシューティングが続きます。病院のSEさんが多忙を極める原因です。一つの病院で特異的なプログラムを作る場合もありますし、複数の病院に応用できるプログラムを作る場合もあります。一定の評価を得られたプログラムは次のversionで標準化されたりします。
課題のない医療がないのと同じように、課題のない電子カルテも存在しません。それぞれの施設の電子カルテの課題を克服したり問題を改善したりするには、「使いやすさ」と「システム許容」と「予算(人的にも開発的にも)」の絡みを理解していくことが肝要です。

いい電子カルテ環境を育て上げ、岡山市立市民病院で診療を受ける患者様に喜んでいただけることが最大のアウトプットとしてとらえています。





@@@@@@@@@@@@@@@@

倉敷中央病院について
倉敷中央病院は1923年に倉敷紡績社長の大原孫三郎氏によって設立された歴史のある病院です。「治療本位の設計」、「病院くさくない明るい病院」、「東洋一の理想的な病院」の設計思想とそのベースにある理想主義と人間重視の考え方が反映されています。病床数は1161床で職員数2982人(平成26年時点)で医師は464人にもなる巨大な病院で、循環器領域もさることながら様々な分野で一流の診療を実践されています。そして目を見張るところは「サービス」に対する意識であり、病院の作りからシステムまで見習うところが多々あります。

病院における電子カルテのシェアについて
病院向け電子カルテ ベンダー別稼働状況 (2011年度)(月刊 新医療「電子カルテ&PACS白書 2011~2012」より )はシェア1位は富士通で455施設導入でシェア33.09%、2位はSSIで233施設の16.95%、3位はCSIで195施設で14.18%、4位は我らのNECで175施設の12.73%となっています。5位からは導入件数が45施設と2ケタとなっており、これらの4つがトップ4と考えておいてよいようです。

竹の子クラブ

2014-10-01 08:40:44 | 理念やコンセプト
おはようございます。Dr.Waveです。

今朝は竹の子クラブの定例会でした。

岡山市立市民病院では初期研修医と後期研修医をメンバーとした「竹の子クラブ」を設けています。定例会を行ったり、節目での親睦会を行ったりしています。

定例会は月に1回朝7:45-8:15に行われます。研修に関する連絡を行ったり、研修や病院における感想や意見を交わしたりしています。
世話人には麻酔科部長の越智先生と脳神経外科医長の井上先生がいて、この定例会で吸い上げた提案について速やかに対応をしていただいています。



研修医は教育を受ける立場ながら病院を「第一線」で支えている医師の一角でもあります。
自分達の臨床研修環境をユーザーの視点から評価し提案を行うことで、より良い岡山市民病院臨床研修を作っていくことができます。
そして研修医ならではの視点から病院のシステムや機能を評価することができ、そこから得る提議・提案は病院にとって早急な課題であったり実践的で効果的な提案であったりします。

岡山市立市民病院の研修医たちには、「現場の第一線で働いている」ことを自負して、研修医もいい病院を作る重要なメンバーであることを認識いただくことをお願いしています。