バレエ&音楽日記

舞台は一期一会。素敵な舞台にまた出会えますように…。

大阪フィル:大植英次スペシャルコンサート Mar.31, 2012

2012-04-01 21:01:13 | コンサート


終わってしまいました。

大植さんが大フィルを指揮するのを初めて聴いた時の演奏会は、ブラームスの
ドッペルコンチェルトとチャイコフスキーの交響曲第5番だった。
ブラームスのソリストは、ヴァイオリンが長原幸太さん、チェロが秋津智承さん。
コンサートマスターは梅沢和人さんだった。

モーツァルトやバッハを好んで聴いてきた私。マーラーやブルックナーは、
正直言って、取っつき難いと敬遠さえしてきた気がする。

そんな中で、マーラーを得意とする大植さんに出会ったことでその「食わず嫌い」が
払拭されたのがこの9年だったのかなぁ、と。もちろん、自分自身が年齢を重ね、
ブルックナーやマーラーの音楽を少しだけ理解できる歳になったこともあるのだろうけど。

ずーっと通い続けたわけではない。バレエやオペラに傾倒し、コンサートホールから
足が遠のいた時期もあった。そんな私を再びザ・シンフォニーホールに引き寄せたのは
他でもない、大植英次その人だった。

昨年の3月におこった東日本大震災。そして、原発事故。
外国人の演奏家や団体が来日を次々とキャンセルする中、日本の、大阪の
オーケストラをしっかり支えなきゃ、という気にさせられた。

さて、ブルックナーの交響曲第8番。
「大フィル」といえば、「朝比奈隆のブルックナー」。
私は、ブルックナーをこれまで聴いたことがなかった。演奏会でも。
CDさえも、一枚も持っていなかった。
ただ、大植さんの集大成を聴き届けよう・・・その思いだけで、まっさらな思いで
ザ・シンフォニーホールに向かった。
あぁ、なんてこと。艶やかで、鮮やかで、かつ優しい弦の響きの中で
くっきりとその存在を主張する管楽器。
私の大好きな大フィルの、大植英次の音楽がそこにあった。
特に、第3楽章での弦の響きの美しいこと!




ホールに入ると、たくさんのお花が飾られていた。
この日は大植さんの音楽監督としての最後の演奏会であると同時に、
これまで大フィルを率いてきた二人のヴァイオリニストもこの日を最後に
退団が発表されていた。
コンサートマスターの長原幸太さん、
セカンドヴァイオリンの首席、佐久間聡一さん。

この日は対抗配置。この二名が指揮台を挟んで、最前列で向かい合う形。
大植さんの指揮が熱を帯びてくるのと同時に、この両者が腰を浮かしながら
ブルックナーの音楽に対峙する。

これからは、食わず嫌いもなくブルックナーを聴くことだろう。
そして、そのたびに、この日の演奏を思い出すことだろう。
指揮台の上で躍動する大植さんの背中と、必死の形相で向かい合う
若き二名のヴァイオリニストの姿を。

サヨナラなんて、言わない。

この日が集大成であり、この日から新しい大フィルのスタートだと、
信じているから。

2012年3月31日(土)15時
ザ・シンフォニーホール
大植英次スペシャルコンサート
大阪フィルハーモニー交響楽団
指揮 大植英次
コンサートマスター 長原幸太

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2 コメント

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Unknown (jupiter_mimi)
2012-04-02 00:29:34
odettoさんこんばんは
私はどちらかと言うと後期ロマン派中心で、コンサートでは食らいついて聴きたいタイプ、
モーツァルトを聴くと寝てしまうタイプ(笑)でした。
でも大植さんのモーツァルトは楽しくて本当に好きです!Odettoさんと同様彼から楽しい素敵なモーツァルトを教わった気がします。
大植さんの時代から定期会員になったから、これからも大フィルを追いたいと思っています。
そう、また大植さんに鍛えられた大フィルの新たなスタートですよね。
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ブルックナーに終わり、ブルックナーに始まる (odette)
2012-04-03 00:50:18
jupiter-mimiさん コメントありがとうございます。

>モーツァルトを聴くと寝てしまうタイプ
なるほど。それぞれにとって、それまで苦手としていたジャンルの面白さを
大植さんに教えられたということなのでしょうね。

気に入ったプログラムだけをつまみ食いしていた時期が長かったのですが、
一年通して一つのオケと向き合う楽しさをも教えられた気がします。

長原さんや佐久間さんの退団は寂しいですが、きっと「大阪クラシック」には
ひょっこりと顔を出してくださるはず!
みんな「チーム大植」ですよ、ね(笑)

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