「21世紀の第九」演奏会の初日に行って参りました。
冒頭の写真は、「一耳惚れ」した若きテノール、西村悟さんです。
楽屋口にて。
言わずと知れたベートーヴェンの大曲です。オケと合唱、4人のソリスト。
全てがかみ合わなければいい演奏にはなり得ません。
日本では演奏される機会が多いですが、とても難しい曲です。
・・・とまぁ、こんな書き出しでブログを始めたのにはわけがあります。
もしかしたら、5公演のうちのいずれかの演奏をお聴きになられた方の
ご感想とは違っているかもしれません。
そして、これはあくまでも私の印象です。
気分を害されることがあるかもしれませんので、あらかじめ
お断りしておきます。
それでも読んでやろうという方のみ、以下へお進みください・・・。
さて、上記のような理由もあって、「第九」演奏会からは
長らく足が遠ざかっておりました。
それでも、行ってみようと思ったのはバリトン・ソリストとして
甲斐栄次郎さんのお名前が出ていたからです。
ウィーン国立歌劇場に所属する歌手で、来年六月には
新国立劇場の『蝶々夫人』でシャープレス役にて出演されます。
甲斐さんを聴けるなら・・・という思いでチケットを取りました。
センチュリーの演奏会は5年ぶりくらいでしょうか。
その当時とはメンバーも代わっているのでしょうけれど、
会場で配られたプログラムは超・手抜き。
オケのメンバー表さえありませんし、コンマスが誰なのかも謎。
それでもまぁ、いい演奏さえ聴かせてくれるなら文句は
ありません。
ですが・・・。佐渡さんが入場して、会場全体が凄い拍手。
佐渡さんの人気ぶりを感じました。
で、ですよ。1楽章は強弱の付け方や一瞬のタメなど
ハッとさせられる部分もありました。ゲネラル・パウゼの
取り方の鮮やかなこと!その後に期待していました。
でも。初日だからというのもあったかもしれませんが、
管楽器の入りがぼやけていたり、2楽章の半ばにもなると
ピッチが下がってきたり。ちょっと残念でした。
3楽章の前にソリストが入場、ここで、4楽章はアタッカで
演奏されるのだということがわかります。
ですが、ここでチューニングをやり直さなきゃいけない
プロのオケって一体何ですか?ソリストのため?
そんなこんなで3楽章。なんとなく、モヤモヤとした感覚が
残っています。佐渡さんが繊細な音楽を作ろうとしていても、
ティンパニの音が・・・弱い音はいいのですが、フォルテの時に
もう少しデリケートさがほしかった。皮に当たる音がカツン、
カツンと目立ってしまっていて、なんか残念。
4楽章に入って、低弦がお決まりの旋律を奏で始めるところから
少し楽しめるようになりました。弦は上手いんですよね、
ここのオケは。
そして、O Freunde, nicht diese Tone!のレチタティーヴォ!
ここがバチッと決まるか決まらないかで、この曲の全てが
決まるといっても過言ではありません。
そして、甲斐さん。見事に決めてくださいました。
ウィーンを拠点になさっているだけあって、ドイツ語のディクションも
完璧。抑揚の付け方、よく通る声、流石でした。
それから、テノール・ソロの西村さん。お名前も初めて
目にしたという若い方なのですが、リリコ・レジェーロの
素敵な声です。まだあまり日本では歌っておられないようですが、
今後、注目してみたいと思いました。
女声ソリスト二名は、上手いですね。
そして何より合唱。完全に、オケを食っていました。
合唱は本当に上手かったです。
それだけに、オケが不安定だったのが残念な演奏会でした。
佐渡裕 21世紀の第九
2010年12月18日(土)15:00開演
大阪センチュリー交響楽団
京都バッハ・アカデミー合唱団
ソプラノ:安藤赴美子
メゾ・ソプラノ:手嶋眞佐子
テノール:西村悟
バリトン:甲斐栄次郎
Yutaka Sado conducts, Osaka Century Orchestra
Dec.18 2010, The Symphony Hall