それは記憶に残るだろう
間違いなく留まるだろう
その瞬間、世界中の視線の先に
確かにその舞踏は在った。
氷上の芸術
それは圧倒的な美しさで 人々を魅了した。
不安、哀しみ、それらを越えた強い意志と美しさ‥‥
評価、点数にスポイルされた
くだらない競い合いから遥か彼方、
彼女はその先へ行ってしまった。
悪夢の前日
飛べない鳥、詩を忘れたカナリアは要らないと、無慈悲に存在を否定され、
その鳥は失意の暗闇に幽閉されて‥‥。
けれどその青いカナリアは詩を忘れた訳ではなかった。
混沌の中で誰の為に歌うのかを忘れていただけだ。
彼女は誰の為でもなく、自身のままそこに降り、そして舞った。
いつのまにか欲にまみれた群衆、
囚われの身となった大きな舞台、
彼らはそこにみた
何事にも囚われない強い美しさというものを‥‥。
評価の奪い合いではない、芸術という奇跡を‥‥。
その青い鳥は記憶に残るだろう。
誰の為でもなくただ、あるがまま、自身のままに、
氷上に奇跡という名の芸術を体現したのだから‥‥。
その名前の通り、人々の心、
その中央に真実を届けたのだから‥‥。
誇り高き、真実の芸術家よ
ありがとう。