金曜、零時付近、帰路の中間地点新宿を歩く。
行き交う人の渦、通り過ぎる笑い声、どこかで甲高い挨拶。
時折、崩れた音楽、崩れた足取り、そして無言の肯定、押しやられた怒り。
見上げれば煌々と月明かり、週末特有の据えた臭い、ここは新宿だ。
『私の詩集』と書かれたプレートを首から下げた女性が、
先週金曜日の新宿駅西口に立っていた。
それは以前のように一点を見据えて、微動だにせず。
そう、二十年前と同じ姿勢で…。
ただ、その真っ直ぐな瞳には、以前とは少し違っていたような気がした。
その瞳には、以前にはなかったものが宿っているように思えた。
少しばかりの…諦め。
視線を後ろに投げやって、西口駅に沿って歩き、思い出横丁をくぐり抜け、
しばらく歩くと私鉄駅につながる。
駅前宝くじ売り場前の自由人は、朝と同じようにそこに座り煙を吐いていた。
その時間持ちの古びた自由人は、至福の佇まいで毎日そこにいる。
煙草を燻らしながら…。
目的と時間、
幸せの総量規制、
自分を否定し誰かになる毎日、自己を肯定し自分として居続ける毎日
どちらを求めますか…?
朝晩彼は問いかける、
煙草を燻らしながら…。