マレーシア マイセカンドホーム  -シニア世代の海外ロングステイ-

マレーシアにロングステイする”マレーシアマイセカンドホームプログラム”の情報と解説のブログ。最新更新 2017年4月

月額10万円に満たない年金でもマレーシアロングステイはできる

2011年07月28日 | 総論と分析と考察
はじめに
このところ円高である。2011年7月の時点でマレーシアで1万円を両替するとRM 370前後入手できる。大都市にある、よく知られた公認両替屋なら銀行の現金売り買いレートより多少良いレート(1パーセントぐらい)で両替できるが、外為市場でのレートは常に変動するので、ここでは幅を持ってRM 370前後と言っておこう。

いうまでもなくマレーシアの外為市場は世界の外為市場を忠実に反映したものなので、ドルやユーロや円の上がり下がりによって、リンギットの対日本円為替レートは日々変動している。いわゆる外為専門家の間でも、翌週のドル相場、円相場、ユーロ相場など外為市場の予想にはかなりの幅がある。ましてや1年先、3年先の相場など誰もわからないし、どんな専門家も保証を伴った相場予想などできないことを、我々は経験的に知っている。

だから現時点で1万円を両替してRM 370を得られても、3年後にはそれがRM 300に目減りする可能性もあるし、一方変動の中でその時偶然にRM 370で両替できることも可能性としてあるでしょう。

このため手持ちの余裕資産または近い将来の受給年金またはその両方を資金として、海外ロングステイをしようと計画または希望されている方々にとって、外為相場はまことにやっかいである。しかしそれを完全にヘッジする方策はまずないはずですから、真の富裕層を除いて、外為相場に多かれ少なかれ翻弄されながら海外ロングステイすることになりますね。

イントラアジアは去年(2010年)、平均的厚生年金受給者の年金収入額は年額201万円、つまり月額16万7千円という数字を知りました。そこでこの金額を基にして、当ブログの2010年10月30日付け記事『平均的厚生年金受給額でマレーシア中流生活ができる』で机上の検証をしてみました。この平均的な厚生年金月額を受領する年金生活者であれば、夫婦2人で贅沢生活は無理だが、それなりに快適なマレーシアロングステイができるであろうことを述べました。

しかし世の年金受給者は厚生年金受給者ばかりではないし、厚生年金受給額がこの額に満たない人も相当多いとみられます(理論的にはあと数年で支給されるイントラアジアの受給見込み額など、わずか10分の1程度だ)。

そこで今回の記事では、掛けた年金種を問わず受給額の合計で年額200万円も受給できないか受給見込みのない方々、あるいは自己資産引き出し額で年間200万円もとても引き出せない方々を対象として書くことにしました。

【世帯所得分布の下位にある人でもプログラムに参加できるだろうか?】

最近日本の新聞に載っていた統計に目が止まりました。厚生労働省が2010年に調査した、2009年1世帯あたりの所得統計です。
平均世帯所得は549万円だそうですが、統計の常で平均何々という数字はあまり実態を示しません。その証拠にこの平均世帯所得額以下の世帯が全体の61.4%を占めています。つまり高所得世帯の総額によって平均額が上方に引き上げられていることがわかります。なお65歳以上だけの世帯の平均所得額は308万円です。

そこで世帯所得区分別の数字を参照するのが、実態を知るにはよりふさわしいといえるでしょう。
100万円未満: 5.9%
100万円から200万円:12.6%
200万円から300万円:13.5%
ここまでで計 32%
300万円から400万円:13.1%
400万円から500万円:11.1%
ここまでで計 56.2%
500万円から600万円: 9.4%
600万円から700万円: 7.5%
これ以上は省略

全世帯の約3分の1である(32%)300万円未満の階層でも、果たしてマレーシアロングステイは可能であろうか?

プログラム参加申請時に口座残高がRM 35万以上あることが前提条件
現在日本に保有している口座において、普通預金であれ、定期預金であれ口座の種類は問わず、申請者(50歳以上)のまたはその配偶者を含めた口座残高合計額でRM 350,000 (35万リンギット)以上あることが、マレーシアマイセカンドホームプログラムに参加申請できる前提条件になります。まだ退職してない人であればマレーシア国外を源泉とする月収がRM 1万あることが条件となっています、これは例えば家賃収入でもいいはずです。

でも承認条件では次の選択ができますから、退職しておれば年間の世帯所得額が300万円以下でも申請は可能だと捉えてもかまわないでしょう。

当局が承認する際の条件
・マレーシアにある銀行に定期預金口座を開設して RM 15万を預ける、
または
・政府認定の年金額が毎月 RM 1万あることを証明する

年金のみの受給者であれば年金受領月額がRM 1万を下回らないということです。現時点でのレートは1万円がRM 370、よってRM 1=約27円、つまり1万リンギットは約27万円に当たります。
この条件を満たすことのできる年金受給者はかなの少数だと思えわれますから、マレーシアの銀行にRM 15万の定期預金をするという条件の方を選ばれる申請者が多いことでしょう。現時点のレートなら405万円ほどの預金用資金が必要だということになりますね。

ただ申請前の条件である、日本の口座にRM 35万相当以上の預金額(日本円にして950万円)があることという条件をすでに満たしてしているわけですから、その額から405万円を引き出すことは、理論的には可能ですよね(もちろん現実には個人個人の事情がある)。

以上のことから、(以前はもっと所得があった人を含めて)世帯所得が低い層でも理論的にはマレーシアマイセカンドホームプログラムに申請し、参加する道はあります。
ただし、預金などの流動資産がないと上記の条件を満たせないことになりますから、低所得階層では楽ではないことはわかります(流動資産のないイントラアジアには無理ですな)。

【マレーシア社会におけるRM 15万と35万の持つ重みを考える】

ところで口座残高RM 35万相当とか定期預金額RM 15万という金額ですが、一体マレーシアではこの金額は一般家庭にとってどのような重みを持つのでしょうか、少し説明しておきます。

マレーシアの労働人口は1100万人ぐらいです。その内公務員が約120万人を占めます。つまり1割以上の比率です。なおマレーシアに国家公務員と地方公務員の区別はありません。全て公務員 penjawat awam です。

公務員は最終学歴によって職務、職位、給与等級が厳然と区別されています。学歴の下から上に従って給与等級とその支給額をみていきましょう(マレーシア語紙 mStarを参照)。

N1等級からN16等級:PMR(中学第3学年生対象に実施される全国統一試験)で基準点以上を獲得した者
初任基本給 RM 647
生活手当て RM 100-300
住居手当 RM 180
公共サービス付加金 RM 85
N1等級の最低支給額:プラスαを加えてRM 1,224、最大支給額 RM 2,236

N17等級からN26等級:SPM(中学第5学年生対象に実施される全国統一試験)で基準点以上を獲得した者)
初任基本給 RM 820
生活手当て RM 100-300
住居手当 RM 180
公共サービス付加金 RM 130
N17等級の最低支給額:プラスαを加えてRM 1,395、最大支給額 RM 2,784

N27等級からN36等級:STPM(中学第6学年生対象に実施される国立大学入学資格試験)合格者またはカレッジなど非大学の高等教育機関の修了者、これをDiploma レベルと呼ぶ。
初任基本給 RM 1,100
生活手当て RM 100-300
住居手当 RM 180
公共サービス付加金 RM 160
N27 等級の最低支給額:プラスαを加えてRM 1,824, 最大支給額RM 4,025

1クラス省略

N41等級からN54等級:大学卒(学士である者)
初任基本給 RM 1,688
生活手当て RM 100-300
住居手当 RM 180
公共サービス付加金 RM 300
N41等級の最低支給額:プラスαを加えてRM 2,540, 最大支給額RM 6,070

Intraasia注:マレーシアの学制は小学校6年制、中学校5年制、その上が高等教育です。中学第6学年へ進学するものは5年生の1割程度だ。つまり11年間教育で高等教育機関へ進学できる道がある。ただし多くの国内外の大学は大学前段階予備教育の修了を条件としている。

一般論としていえば、公務員の給与は民間よりも低い、これは公務員身分の安定性からいえばある程度納得のいくところでしょう。しかしながら民間は千差万別ですから、公務員給与より低い職場は全然珍しくない。

人数からいえば「N1等級からN16等級」に次いで多い階層である「N17等級からN26等級」の人たちを見ると、初任最低支給額はRM 1,395です。もちろんいつまでも初任給のままではありませんが、この等級クラスで勤務開始30年後に支給額がRM 5000位まで上がるなんてことはありませんので(各クラスの最大支給額をご覧ください)、RM 15万という額はかなりの額ということがわかります。ましてRM 35万は個人が受ける給与額だけではまず貯めることが不可能な額と言えます(給与全額を預金すれば可能でしょうけど、それは非現実的ですね)。

参考までに公務員のトップ役職者への支給月額をあげておきましょう。
首相:RM 22,826、 大臣:RM 14,907、

RM 1,395に「1万円がRM 370だからRM 1=約27円」という現時点でのレートを掛け算しては、決してマレーシア社会での位置づけが見えてきません、それは国内物価などの因子を無視しているからです。RM 1,395という額は日本社会における37,665円と決して同じ重みではありません。

長々と公務員の給与を例に取り上げて説明しましたのは、RM 15万という額がマレーシア社会でどういう位置づけになるかを皆さんに知っていただきいためです。


【月額8万3500円の予算額をマレーシア社会にあてはめてみる】

さて今回のブログは上段で述べましたように「掛けた年金種を問わず受給額の合計で年額200万円も受給できないか受給見込みのない方々、あるいは資産引き出し額で年間200万円もとても引き出せない方々を対象」としていますので、マレーシアで手元に用意できるお金が、平均的厚生年金受給者の年金受給額つまり月額16万7千円の半分程度だという方の場合をみてみましょう。

この額8万3500円はN41等級からN54等級:大学卒(学士)の初任給額より多少良いレベルになります(現時点での為替レートならRM 3,090)。試しに為替が20%ほど対リンギット円安に進んだ 1万円 =RM 300の場合でも RM 2,505ですから、8万3500円という額の位置づけがある程度おわかりになりますね。

大卒初任給RM 2,540はマレーシア全体の勤労階層における月収額から見て低いとは言えません。すぐ下で説明しますように、8万3500円は現在の好為替レートで両替するとRM 3,000ぐらい、円安になった為替レートで両替してもRM 2,500ぐらいを得ることができますから、マレーシア社会の水準からいえば中位程度の収入額とみなせます。

ここでもう一つ統計を使います。2009年頃におけるマレーシア人家庭の月間世帯収入額とその割合を示しておきます。以下の数字は世帯収入額と全体に対するその割合です。
RM 1000以下:8.6%
RM 1001 - 2000:29.4%
RM 2001 - 3000:19.8%
RM 3001 - 4000:12.9%
RM 4001 - 5000:8.6%
RM 5001 - 10,000:15.8
RM 1万以上:4.9%

そうするとRM 3000ぐらいが全体のちょうど中位点あたりに位置することがおわかりでしょう(下から3つの階層の合計割合は57.8%を占める)。

結論的にいえば、8万3500円という額は、為替レートの変動を織り込んでも、公務員の大学卒初任給額よりやや多く、マレーシア全体の世帯所得分布の中位点ぐらいに当たるということです。この額では十分快適に暮らせるとは言えませんから、控えめに暮らすことになります、しかしそれは決して”かつかつの生活”ではありません。

【額としては十分ではないが、かつかつの生活にはならない】

月予算額8万3500円は、マレーシア生活はマレーシア社会でいえば中の上でなければならないというロングステイ希望者にはもちろん不十分な額です。ただ今回のブログでの想定対象者は、平均的厚生年金受給者の半分程度しか受給できない方、または年間所得300万円ほどの低所得層の方ですから、イントラアジアがここで説明していることがおわかりになっていただけることだと期待しています。

マレーシアに住むようになった当初の数ヶ月間は、賃貸料敷金やもろもろの物品の購入費などのため、それなりに費用がかかりますが、その後はこの予算月額つまり8万3500円で暮らしていくことは、可能です。そしてマレーシア社会においてその生活が決して下位クラス(下から3分の1の範囲)にあたらないこともおわかりでしょう。


都市に暮らす場合と地方で暮らす場合では生活費に当然違いはありますし、個人個人の期待度と許容範囲に差があることはいうまでもありません。十分なるロングステイ資金があるまたは準備できる方は別にして、十分とはいえない額しか準備・用意できそうにない方であっても、適応性と実行力さえあれば(これは必須です)、控えめなロングステイができることを、イントラアジア自身の長年の実践を裏づけにして理論的に説明してみました。



マレーシアの酒にまつわるお話 -ビール、椰子酒など-

2011年07月11日 | マレーシア生活の案内と知識

はじめに
多くの日本人にとって酒は切っても切れない関係でしょうから、マレーシアにロングステイされる場合でも、”縁は切れない”ことだと推測します。そこでマレーシアの酒にまつわる話題を、以前書いたコラムに多少追加と修正をして、今回の記事として掲載します。マレーシアで販売されているまたは持ち込む日本産のビールや焼酎やウイスキーしか飲むつもりはないという方も(笑)、ここでひとつ知識?をつけておくのもいいのではないでしょうか。


【国教がイスラム教であっても多民族複数宗教国家である】

マレーシアは国教がイスラム教ですが、国の成り立ち上多民族複数宗教国ですから、飲酒及び酒類の販売は一般に認められています。一般にと書きましたのは、日本のようにどこでもいつでも飲酒でき、販売できるいうことにはならないからです。当然ながらムスリム主体の地区でコンビニやスーパーにアルコール飲料が並べられることはありませんし、ムスリム向け飲食店でアルコール飲料がメニューとして提供されることはありません。

注:スランゴール州の州都シャーラムはムスリムが住民の多数派です。ところが2009年ごろビール販売を始めたコンビニが増えたことで、マレーコミュニティーからの訴えで社会問題になりました。その後州政府や政党が介入して、自主的に売らないようにする、例え売る場合でもムスリム客の目につかないような販売方式にするという収拾策が発表されました。

しかし華人地区であれば、営業免許を得た酒屋が営業できますし、スーパーの棚にビールが並んでいることはごく普通です。 観光客の多いクアラルンプール中心部の商業地区でもこれは同じで、加えて購買層が多様であるため酒類製品の選択がぐっと豊富になっています。 クアラルンプールまたはその近郊にある一部のアップタウンではワインショップなども人気あるそうです。

【最も一般的なアルコール飲料はビール】

さてマレーシアで飲まれるアルコール飲料として最も好まれる、一般的なのはビールです。マレーシアのビール市場は昔からごく最近まで外国資本である  2つのビール醸造会社グループが市場を2分してきました。即ち、第1位の Carlsberg グループと 2位の Guiness・Anchor グループです。


伝統の強さを誇るCarlsberg ビール  
次に2008年2月上旬に 英語紙Star 紙に載っていた記事から抜粋してみます:
マレーシアでビール市場占有率第一である Carlsberg ビール醸造マレーシアは今年は好調に復帰すると、自社予測をしています。「この何ヶ月か好調に反転して売り上げが増えました。」 「Carlsberg のマレーシアでの最も売れ人気ある ビールはグリーンラベル 製品です。最もよく知られており、最も長い間市場に出回ってきました」 「旧正月時期は華人ビール愛好家にとって大きな機会です。」 「今年の旧正月キャンペーンには、グリーンラベルの本来の色だけでなく、華人伝統の黄色と赤色も加えました。」

Carlsberg ビールの次の共同宣伝キャンペーンは、6月にある2008年ヨーロッパサッカー選手権です。 昨年11月から限定発売している Carlsberg 創立記念ビールは予想より良く売れました。 Carlsberg ビール製造マレーシアはさらに、メキシコ製 Corona ビールの販売、ライチ風味のシャンデーなどの発売も始めました。「マレーシアは世界で2番目にビール税率が高い国です。原材料の高騰も業界にとって逆風です」 とCarlsberg は訴える。 
以上記事から抜粋

伝統の強みなのか、宣伝と営業の上手さゆえなのか、ビールを売ってる店や飲み屋ならどこでも目につくのが Carlsbergビールですね。 Carlsbergビールの中で最も普及品と思われる、グリーンラベル缶ビール 320cc 入りのスーパーなどでの2008年2月時点での小売価格は RM 6.5 前後です、尚店によって価格に多少の違いはあります。円価に換算すれば、1缶200円を超すことになります。他の飲食品物価に比してビール値段はかなり高いマレーシアですが、それにも関わらずよく売れているように見受けられます。非飲酒者の視点から言えば、多少割高でも酒飲みはいとわないということなんでしょうね。

Intraasia注:この一文を書いた2008年当時に比べて、2011年時点では上記価価格より高くなっている。

【ビールコマーシャル・広告が許されるメディアと許されないメディア】

テレビではビールを含めてアルコール飲料の宣伝は全く許されませんが、英語紙と華語紙ではアルコール飲料の広告が頻繁に載っています。そしてその大多数はビール会社による広告です。新聞以外に目に付くビール広告といえば、非ムスリム向けの大衆食堂と屋台の店名看板または品目看板に大きく添え書きされたビール製品名や店の壁に貼られたビール製品ポスターでしょう。いうまでもなく、ムスリム用大衆食堂と屋台にこの種の広告はありません。 

シネプレックスでは毎上映回前に各社のビールコマーシャルがしつこいぐらい上映されます、もっともマレー映画の場合は違います。都会のシネプレックスに足を運ぶ映画鑑賞層にビール愛好家が比較的多いということなんでしょうか? とにかくシネプレックスで映画を見る度に、ビール会社のコマーシャルを”見させられます”。 ところでそのコマーシャルの作り方には西欧的調子が非常に鼻につくと感じるのは多分イントラアジアだけではないはずです。タイではテレビでもビール宣伝が盛んですが、西欧的調子ではありません。

上記に掲げた 「マレーシア産ビール」 の中でも書きましたように、当時はもちろんそしてつい最近までマレーシア独自のビール醸造は行われていませんでした。Carlsberg グループもGuiness・Anchor グループもスランゴール州にビール醸造工場を持ってビール醸造販売していますが、いずれも海外資本のためいわゆるライセンス生産ですね。つまりどの製品もマレーシアブランドのビールではありません。

【初のマレーシアブランドのビールが登場した】

イントラアジアは次に載せた記事を読むまで、マレーシアには独自のビール醸造会社はないものだと思っていました。しかしそれは間違いだと知りました。2008年2月上旬の華語紙「東方日報」に載った記事から抜粋翻訳します:

マレーシア製ビール Jaz beer の名前は華語の 「傑士」 をそのまま訳したものです。製造会社 Napex Corporation Sdn Bhd の社長は語る、「マレーシア人は 地元ビールJaz を支持して欲しい、そしてマレーシアビールが海外に進出できるように力を合わせましょう。」 外国のものは素晴らしい という態度は不要です、それが国産品をのけ者にしてしまう。」 社長は Jaz Beer の品質を確信し他の有名ビールに伍していくとしています。「Jaz Beer は市場の他のビールに比較して10%から20%は安い。しかし品質は同じであると保証します。値段が安いことは我社の方策です。Jaz Beerのアルコール分は5.5% 、市場の他のビールより0.5%アルコール分が高い。」

Jaz Beer は2007年5月に初の市場出荷を行いました、宣伝戦略では半島部北部と南部では好評でした。町部ではいろんなところですでに販売されています。今後クアラルンプールに進出します。 社長は語る、「わが社の計画は販売チェーン網を全国に拡大していき、マレーシアのビール市場に食い込んでいきます。」 「販売量は毎月伸びています今後の展望は良い。都市部はまだだが、各地の町部には浸透していきます。」 「Jaz Beerを飲んだ人が友人など人づてに直接紹介していくという戦略です。すでに多くのレストランでは Jazビールを提供しています。レストラン主などによれば、Jazビールを一度飲んだ客からは次に指定があります。味は変わらず安い。これが消費者がJaz を受け入れてくれる原因です」

会社経営陣は社会から提議された疑問に対して強調する、「わが社は営業免許を取得しています、そしてビール生産を許可されています。完全に合法です。」 Napex Corporation Sdn Bhd のビール工場は、スランゴール州ポートクランにあります。 取材のために工場を訪れた、華語紙 東方日報の記者は最後にこ書く、「(華語紙として一番最近に創刊された)東方日報は華語紙の中で最も伸びている新聞です。Napexの場合を見ると社員一同でマレーシア第一級のビールにしようという努力を感じる。 Jaz ビールが、東方日報と同じく将来マレーシアで最も伸びるビール銘柄になるであろうと信じます。」
以上記事から


イントラアジアはこの記事を読んだ時、えー、マレーシアで地元ビールの生産が始まっていたとは、とかなりの意外感を持って驚きました。ビールがよく飲まれる場である中華レストランなどにはこの何年もほとんど縁がないので、地元ビール出現を全く知りませんでした。読者の中には、すでに飲んだよ、という方がいらっしゃるかもしれませんね。 イントラアジアは決して禁酒主義者でも嫌酒主義者でもありませんが、身体が受け付ける酒量は限りなくゼロに近い非飲酒者なので、ビール味のことは全く語れません。ただ初の地元醸造ビールと知れば、一度ぐらいはコップ半分ぐらい味見してみたいものですなあ。

Intraasia注:しかしながら2011年の現在に至るまで、スーパー(複数)の棚にこのJaz Beerが並んでいるのを目にしていません。推測するに、そのビール会社は一般消費者相手の小売よりも、中華レストラン、酒場主体のビジネス方針を取っているのでしょう。


【マレーシアに地酒・地ウイスキーはあるのだろうか】

マレーシアに地酒・地ウイスキーはあるかという問いに、イントラアジアはあまり自信を持っては言えませんが、一応あると答えておきます。というのも以前クアラルンプール中心部にある古びた酒屋の店先にマレーシア産酒と思われる小瓶が置いてあるのを何回も目撃したからです。いずれも日本酒の一升瓶のような大きなビンではなくウイスキービン程度であり、いかにも地酒風の時代遅れのデザインのビンでした。また一部の酒販売免許取得店舗では、多分マレーシア産らしきウイスキー?の小瓶を売っていますね。 

推測するに、こういう地酒・地ウイスキーは半島部のどこかの華人町で昔からほそぼぞと製造されてきたのではないだろうか。味の面でも宣伝面でも輸入酒・ウイスキーに適うはずのない且つ酒造業免許を取得するのが極めて極めて困難となった現今、新たに酒造するような地酒製造家はもう出現しないでしょう。

【椰子酒 Toddy】


地酒といえば言えないことはないでしょうが、どちらかというと”どぶろく”と呼んだ方がぴったりとするのが、椰子酒 Toddyです。Toddy は白っぽい臭いの強いココナツ酒ですね。臭いを嗅いだだけで味の強さが推定されてとてもイントラアジアには飲めないですね。プランテーション農園がその発祥であり、その労働者が主たる消費者のようです、よって一般にインド人労働者階級の大衆アルコール飲料と捉えられています。 2007年11月ごろ、新聞に載った記事から抜粋してみます。

Toddy はココナツの木の発芽している若い花房から得た甘い樹液で、アルコール分を含む飲料です。少数の人たちにとって依然として人気ある飲み物です。とりわけプランテーション農園などを訪れると、仕事後の男たちが集まってToddy を飲みながら談笑しているのを見かけることでしょう。 ココナツプランテーションのオーナーでToddy製造業者は説明する、「ビールよりも安く、発酵してからすぐできます。1リットル当たり RM 1.50で販売しています。ビールの約10分の1の値段です。」 「多くの人が密造酒かまたはsamsu だと誤解しています。Toddyの製造に蒸留過程はありません。すべてナチュラルです。ただ違法なココナツ取りが水とサッカリンを加えて、Toddyの名前を汚している」

Toddy製造の免許を得るのは極めてたいへんであり、スランゴール州の KualaLangat郡ではこの製造者のほかは1人だけしか免許を受けていません。普通のココナツ木は樹液を、樹齢50年ぐらいに達するまで出すとのことで、木が若ければより甘くなるとのこと。 「しか木を好む、それは樹液が濃くなり味も異なるからです。」 採取した白い樹液には非常に甘くアルコール分は含まれていません、味はちょっとピリッとします。集めた樹液をプラスチックの容器に入れて、農園へ運びます。

「樹液は2時間置いておくと発酵します、最高アルコール分4%の芳香のあるワインになるのです。アルコール分を高めるために1日置いておくこともできます、長く置けばおくほど酸味がより増します。」
以上記事より

Toddy を売っている場所はごくごく限られているはずで、酒類販売免許を持ったスーパーや酒屋で探しても見つかる可能性はないでしょう。イントラアジアはクアラルンプールに昔からある古びた木造の Toddy酒場を知っています。他にもクアラルンプール内にあるのかどうかは知りませんが、ない可能性の方が高そうです。この Toddy酒場はなんとクアラルンプールの有名地 Bukit Bintang から至近距離の場所にあるので、いくらその場に昔からあって転居を拒んだとはいえ、その存在自体が奇跡的ともいえるぐらいです。

看板も一切なければ店舗らしい外観にも欠けます、しかし夕方、週末ともなればたくさんのインド人が集まって来て飲んでいます。店の外にはたくさんのバイクが停めてあり、さらによくタクシーが何台か停めてあります、もちろん勤務を終えたであろう運転手が飲んでいるのですよ。外から眺めると、インド人客に混じって華人も1、2割りぐらいその中に混じっています。まさにどぶろく酒場といった風情です。

Intraasia注:2011年の現在でもこのToddy酒場は営業しています。

若い時からほとんどアルコール類を飲まない、でもいくつかの国でホステスのいるクラブやラウンジやカラオケなどに一時期よく出入りしたIntraasia のお酒にまつわる話題でした。酒飲みでなくても、酒の話題はお伝えできるのです(笑)。

おしらせ
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