マレーシア マイセカンドホーム  -シニア世代の海外ロングステイ-

マレーシアにロングステイする”マレーシアマイセカンドホームプログラム”の情報と解説のブログ。最新更新 2017年4月

平均的厚生年金受給額でマレーシア中流生活ができる

2010年10月30日 | 総論と分析と考察
現在ものすごく久しぶりに、約20年ぶりです、日本にまとまった期間滞在していることから、毎日ではなくても新聞に目を通す機会がよくあります。こう書きますと読者の中には、インターネット時代の今日、マレーシアなど外国にいてもウエブ上で日本の各新聞を容易に読めるではないか、さらに主要都市に住んでいれば日本の(紙の)新聞購読もできるではないか、とお思いになる方が少なくないことでしょう。 

そこで説明しておきますと、Intraasia の長年のあり方として、海外に住んでいる時は日本語のメディアにはまったく目を通さないからです。マレーシアでいえば、マレーシア各言語メディアの伝える日本に関するニュースとIntraasia 主宰のホームページ、ブログなどに書き込まれる読者からの書き込みとメールがIntraasia の得るほとんどすべての日本情報と知識です。

[平均的厚生年金受給者の年金収入額に興味をおぼえた]
さてこの数ヶ月日本で読んだ新聞や雑誌や単行本に載っていた、現代日本の状況説明・解説と統計数字に興味をおぼえたものがかなりあります。そのたくさんある中の1つに、平均的厚生年金受給者の年金収入額は 年額201万円という数字があります。

現在すでに年金受給者ということですから、その年齢層は団塊の世代及びそれ以前の世代になりますね。日本の高度成長時代に刻苦精勤して長年厚生年金を納められてきた方々ということでしょう。なおIntraasia は団塊の世代の直後世代なので、理論上はあと数年で厚生年金が受給できます。しかし厚生年金を納めた年数が10年にもはるか満たない一桁年数なのでその額は微々たるものです。

自分のことはさておいて、この受給平均年額201万円という額を紙上で目にしたとき、ほーかなりの額なんだなあと思いました。もちろんそれは理論上の我が受給予定額の微額さを下敷きにしたものですが、現代日本では年収200万円に満たない層が軽視できないほどの比率を占めているという、別の事実も知っていたからです。

ということは、年額200万円または月額16万7千円という金額は、十分とはいえなくてもそれなりに価値ある額といえるのではないでしょうか。この金額は、日本で暮らす以上にマレーシアなど東南アジアで暮らせばより重みを増すことになります(ただし高物価のシンガポールは除きますよ)。

[月収5千リンギットはマレーシアの中流層といえる]

月額16万7千円をマレーシアリンギットに換算してみましょう。円高の現在のレートを安全に見込んで ¥100 = RM 3.0 で計算してみます。¥100 = RM 3.5 などという時期も1年ほど前にはありましたが、外国為替は安全なレートで計算するのがいいでしょう。

16万7千円は RM 5,010 つまり約5千リンギットになります。月収5千リンギットという額は、マレーシア社会では都会の中流階層世帯の月収となります(中流といってもその範疇が幅広いことはいうまでもありません)。マレーシア人世帯であれば、家族数5人が平均的であり、多少とはいえ所得税も納めるはずです。つまり世帯としての可処分所得は5千リンギットもありませんし、若年世帯であれば子供たちの教育費などにある程度の割合も割かなければなりません。

一方マレーシアマイセカンドホームプログラム適用者の場合はもはや子供に手のかからない夫婦2人のケースが圧倒的多数派でしょうから、1人あたりの額から考えてマレーシア人世帯よりずっと楽な家計となりますよね。さらに以前の当ブログで強調しましたように、マレーシアマイセカンドホームプログラム適用者が受け取る日本の年金額にはマレーシアの所得税は課されません。従って世帯としての可処分所得は丸々5千リンギットということになりますね。従って同じ月収5千リンギットでも、中流マレーシア人世帯の場合より日本人引退者夫婦世帯の方がずっと家計面では楽である、と言って間違いないでしょう。

別の表現をすれば、マレーシアマイセカンドホームプログラム適用者は月収5千リンギットあれば、マレーシアで十分中流生活ができるということです。こう書きますと、いや月5千リンギットでは足らない、不十分だという、現在滞在中のプログラム適用者からの反論も当然出てくることでしょう。個人差があるのでそういう声は否定しませんが、Intraasia がこのブログで対象にしているのは、幾分控えめな生活スタイルを実行し、生活のあらゆる面にまで日本的それを期待しない思考の持ち主たる、マレーシアマイセカンドホームプログラム希望者・考慮者なのです。

外国に住んでも相当なる日本的生活スタイルを期待する、あらゆる面で”日本”を外国に持ち込んで暮らそうとする方たちは、Intraasia の想定する海外居住者の像から外れます。これはこのブログだけでなく、Intraasia の主催する主媒体であるホームページでは長年貫いてきた方針です。

外国に中長期滞在する以上、何国人であれその人の自国とまったく同じ環境は期待できないし、期待すべきではない、その滞在国に”ある程度”あわせる必要がある、というのがIntraasia の一貫した主張です。こう書くと曲解されそうですから、誤解なきように付け加えれば、Intraasia のような非日本的スタイルで暮らすべきだと主張しているのではありませんよ。

Intraasia は、海外ロングステイを斡旋してビジネスにしているエージェントでも団体でもありません。その種のエージェントや団体やそういうエージェントや団体の声をそのまま載せているマスコミとは常に一線を画した立場であり、ビジネス目的の彼らの論点とは違ってあたりまえです。Intraasia は常に生活者としての立場と視点からホームページやブログを主催しています。

[5千リンギットの生活を机上で検証]
さて本題である月受領年金額5千リンギットつまり月収5千リンギットのマレーシアロングステイ生活に戻りましょう。
5千リンギットの中から、まず最大支払い項目であるコンドミニアムまたは住宅の賃貸用に2千リンギットを計上します。日本人のマレーシアマイセカンドホームプログラム適用者の大多数はコンドミニアム生活がご希望のようですね。2千リンギットではクアラルンプールの上流地であるKLCC地区やモンキアラ地区で物件を賃借するのはまず無理でしょうが、何もそんなところだけにこだわる必要はないですね。

以前にも書きましたように、コンドミニアムの供給は一般的に過剰状態であり、有名外国人居住地でない地区なら2千リンギット出せば、賃借できる物件は数多くあります。近くに高架鉄道の駅がある地区、マレーシア基準から中流階層主体の地区、ショッピングセンターに近い場所などなど、住居を探される方はその希望項目に重要度順位をつけて探していきましょう。大事なことは、1週間や2週間で探そうとせず、1,2ヶ月の期間をかけるつもりでゆっくりと探しましょう。日本にいながらエージェントにすべて任せるようなことはしない、マレーシアに到着してからしばらくはホテル暮らししながら探すまたは住居探し期間だと割り切って、十分に時間をかけて探しましょう。だってその後何年もお住みになるはずだからです。

マレーシアのコンドミニアムの各ユニットは日本のそれより床面積が広く、複数のバストイレが備わっているのが普通です(ストゥディオタイプを除く)。コンドミニアムと銘打てば、外部の者の出入りをチェックする守衛所は必須ですし、その多くがプール付きだといえるでしょう。もっともコンドミニアムにも当たり外れはありますから、よく下見しましょうということです。

次いで食費にうつります。副食を含めて月1千リンギットみておきましょう。Jusco で日本食材を時々買っても1千リンギットあれば足りるはずです(昔から日本食は一切口にしないIntraasia ですが、それでも店に並んでいる食材などの値段からある程度の推測はできます)。 なお1週間に複数回日本レストランで食事するような夫婦には1千リンギットでは足らないことになります。

光熱費に関しては以前のブログで詳説してありますので、それをご覧ください。

通信費を計上してみましょう。、インターネット接続代として 約RM 100, 携帯電話はよく使っても RM 200ぐらいに抑えます。海外通話においては、日本にいる家族や友人との国際電話はできるだけインターネット上で使えるSkype を使って節約すればいいのです。固定電話の基本料金は月RM 50弱 程度です。

交通費、これに関しては自動車を所有される方は、恐らく高架電車やバスの公共交通利用者よりも月間交通費は高めになることでしょう。もちろん交通費のかかり方は、滞在される方の行動様式次第でものすごく変化するので、平均的交通費というものの算出はむつかしくなります。ただクアラルンプール圏であれば、公共交通費として1ヶ月RM 200 を見ておけばいいのではないでしょうか。1ヶ月の乗り放題の定期的仕組みもありますからね。

頻繁にタクシーを利用される方は当然ながら、交通費がかなり高くなるのはいうまでもありません。ガソリン代と有料道路通行料と駐車場代が日本のそれに比べて数分の1かそれ以下であっても、自家用車があればその便利さからつい多用しがちだからです。高架電車とモノレールは誰にでも利用しやすいのですが、バスとなると慣れるのに時間がかかります。これはバスという交通機関の持つ性格上仕方のないことですから、失敗を恐れず乗り廻ってみることですね。

その他雑費として数百リンギットをみておきます。

上記の品目をざっと合計すると、大体4千リンギットになります。月予算額である5千リンギットまでにはまだRM 1,000の余裕があります。この1千リンギットは交際、娯楽、小旅行、などにあてる、または上記項目で予算オーバー額を補充するなどに使うとしておきましょう。例えば予算RM 500 もあれば2人で数泊の小旅行もできますし、数ヶ月間この予算を貯めて、数ヵ月後毎にちょっと贅沢な小旅行もできるわけです。ゆったりとした席のシネプレックスで映画を見ると1人約RM 10、あちこちにあるカラオケボックスでは平日日中なら1人あたり1回RM 50 ぐらいではないかな。なお女の子のいるラウンジやクラブはいくら安くても数百リンギットはかかります。

[医療についてひとこと]

おそらくマレーシアマイセカンドホームプログラム適用者のどなたにも多かれ少なかれ関係あるのが、医療の問題です。医療費だけをみれば、国立の病院または診療所は補助金のおかげで安く抑えてありますが、混雑度はかなり高いのが普通です。それよりも、マレーシア生活にある程度慣れられたとしても、国立病院・医院はプログラム適用者にはいささか利用しづらい面があります。一方白人や日本人などが好む私立の有名な病院や専門医院はかなりの高料金を覚悟する必要があります。つまり1回の診察と薬代で数百リンギットとの請求はごく普通です。

そこで以前のブログでも書きまたしように、マレーシアマイセカンドホームプログラム適用者の方は、ぜひ日本の海外旅行者保険にあらかじめ加入されることをお勧めしておきます。そうすれば高医療費も保険で担保できるからです。なお日本の医療保険に加入されている方も、海外での入院だけでなく通院治療も担保される海外旅行者保険は入っておくべきでしょう。マレーシアの都市部では通常の一般医院は数多く開業していますが、専門医の開業医となると日本よりはるかに数少ないのです。これは眼科や耳鼻科を含めて専門医自体の数の少なさが原因でしょう。そこで専門医に診てもらう際には、有名病院などへ行くことになりがちです。つまり医療費がかなり高くなることは避けられません。

持病などをお持ちのために日本でかかりつけの専門医がある方は、少なくとも年1回は日本で診てもらった方がいいのではと思います。これはマレーシアの医療水準うんぬんということはさておいて、医療サービスのあり方とその捉え方に違いがあるからです、言語面で不自由が感じられる方はなおさらでしょう。

[まとめとして]
こうしてマレーシア生活での必要支出金プラス非必須の使い道をざっと検討してみました。厚生年金の現在での平均受給額である月額16万7千円という金額、つまり換算した額である5千リンギットあれば、夫婦2人のマレーシアロングステイ生活を中流クラスとしてそれなりに享受できるといえるでしょう。もちろん、そんな金額では全然足らないという意見の方もいらっしゃるでしょうし、マレーシア的中流では不十分だという方もいらっしゃることは承知しています。

海外ロングステイをされる、なさりたい全ての方が満足できるような論を述べるのは、Intraasia には不可能だと言っておきます。いや、誰であれ、どんな団体やエージェントであれ、全ての方を満足させる説明などできるはずありません。ですからIntraasia は八方美人的解説ではなく身の丈を知った論を展開して、マレーシアでのロングステイをなさりたい方の一助になりたいと願っております。

これまでの日本滞在ではずっとネット接続ができない状況にあるため、久しぶりの更新になりました。