Nikkoh の 徒然日記

ゲイ(=男性同性愛者)の Nikkoh が、日々の雑感やまじめなこと、少し性的なことなどを、そこはかとなく書きつくります

女性専用車への疑問

2012-08-23 23:04:03 | 男性差別 V (社会の制度に関わること)
関東圏や関西圏の鉄道会社を中心に、女性専用車 が導入されています。
(東海圏では、平日朝夕ラッシュ時の名古屋市営地下鉄東山線にのみ存在)
JR西日本の大阪環状線やその他一部の路線では、平日昼間帯や土休日にまで実施しています。

僕は、この女性専用車を疑問視しています。
もっときつい言い方をすると、女性専用車両に反対 しています。

その理由は色々とあるのですが、論点を整理して述べてみようと思います。


1.タテマエとしては痴漢対策だけど…

女性専用車が導入されている理由は、タテマエとしては、痴漢対策ということになっています。
「痴漢被害を減少させるために」存在しているのが女性専用車ということになっているのです。
しかし、これはあくまでもタテマエだと僕は思います。
そもそも女性専用車は痴漢対策として機能しませんし、他にも様々な問題があります。その詳しいことについては、以下で述べていくことにします。

では、ホンネの部分は何か。これは一部のわがままな女性のエゴだと思います。彼女らは 男性を排除したいだけ なのです。あるいは、【 女性 = 弱者 = 守られるべき存在 】という幻想 に基づいた、不当な女性優遇であり、男性への差別だと思います。憲法14条が国民に保障する法の下の平等に完全に反しています。

まず、男性を嫌悪し、「一緒の空間にいたくない」と曰うわがままな人は、公共交通機関を使うべきではありません。公共の場にいろいろな人がいるのは当たり前です。
また、《 男性恐怖症 》の方などは、決してわがままではなく、たいへん辛い思いをされているかもしれません。しかし公共の場である以上は、男性を排除するなどということは不可能です。
( 僕もかつて《 (若年)女性恐怖症 》だった時期があります。でも電車にはがんばって乗っていました。確かに辛かったけど、公共の場である以上、いくら僕が恐怖症でも、女性を排除することはできないからです )

※ なお、女性専用車に法的拘束力はなく、鉄道会社には男性の乗車を拒む権限はありません。できるのは、あくまでも協力を要請するというのみです。その要請を受諾するか拒否するかは、その人の自由意志に委ねられます(街頭募金等と同じですね)


2.女性専用車は痴漢対策としては機能しない

女性専用車は痴漢対策としては機能しません。少し考えてみれば分かることです。
例えば、8両編成のうち1両を女性専用車に設定したとしましょう。残りの7両は普通車両です。

※ 前項の最後に補足したとおり、現実の女性専用車は強制力を伴うものではありませんが、ここではタテマエ通り痴漢対策であり、名称通り100%女性しか乗っていないものとして話を進めます。

すると、1両は100%女性のみの車両となり、その車両に乗っている女性は男性から痴漢行為を受けることはあり得ないことになります(とはいえ痴漢被害を受ける可能性じたいはあります。次項参照)
一方、残りの7両にも女性は乗っています。男女混合での乗車となります。
人口の男女比から考えても、乗客の男女比率も半々程度であることが多いと推測できます(路線によって時間帯によって大きな差異はあるでしょうけれども)。
にもかかわらず、女性は乗れる車両が8両あり、男性は乗れる車両が7両しか無くなるので、一般車両7両の男性乗客の比率は明らかに上がりますし、混雑率も女性専用車を設定していないときに比べて上がるかもしれません。
女性を獲物とする男性の痴漢にとって、これはかえって好都合です。
というのは、痴漢行為は混雑度が激しければ激しいほどしやすくなりますし、男性乗客の比率が上がれば、痴漢をしない一般の善良な男性に紛れやすくなります。
つまり、一般車両での痴漢被害は逆に増加するだろうと考えられるのです。
これでは、痴漢対策になっているとはいえないと思います。また、痴漢えん罪対策にもなっていません。むしろ逆行しているといえます。痴漢も痴漢えん罪も増加させてしまっている恐れがあります。
本気で痴漢対策(あるいは痴漢えん罪対策)に取り組むのならば、もっときちんとした効果の出る方法を模索すべきです。ここに着手しないのは、明らかに怠慢です。


3.痴漢被害に遭うのは女性だけ?(痴漢をするのは男性だけ?)

痴漢の被害に遭うのは女性 で、痴漢をするのは男性 だと、決めつけていませんか?
これは明らかに間違っています。

(1) 女性から男性への痴漢
女性から男性への痴漢行為も当然世の中には存在しています。
実際に、僕の周囲の複数の男性が、女性に痴漢をされたことがあると述べています。
件数としては男性から女性への痴漢行為よりも少ないかもしれませんが、明らかに存在するという事実は見逃してはなりません。
《 女性性善説 》という名の偏見により、女性は悪いことをしないと思いこんでいる人々もいるようですが、決してそんなことはありません。悪いことをする人は、男女問わず居るのです。客観的で冷静な見極めが必要です。

(2) 同性への痴漢
僕はゲイです。だから、万が一、僕が痴漢行為をするとすれば、その対象は同性である男性ということになります。女性に痴漢をすることはまずあり得ません。だからもし100%女性のみの車両があるのならば、僕なんかはそちらへ乗せられるべき人間なのかもしれません。
(もちろん、僕にはきちんとした理性があるので、男性への痴漢行為は絶対にしません。これは断言します)
レズビアンの女性が仮に痴漢をするとすれば、やはり対象は同性である女性になるでしょう。先ほど100%女性のみの車両を作っても痴漢被害は起こると述べたのは、このことを意識してのことでした。

同性愛者はただでさえ偏見の目で見られ、嘲笑・忌避・差別されているので、さらにそれを悪化させないように強く言っておきますが、そういう卑劣な行為をする輩はごくごく少数 です。圧倒的多数の同性愛者は痴漢行為などしません。
異性愛者でも、痴漢はごくごく少数で、それ以外は痴漢などしない人々だと思うのですが、これは同性愛者でも全く同じです。
全く同じなので、ごくごく少数は痴漢をしてしまう人も出てきてしまい、結果的に、同性間でも痴漢行為は存在するのだという点をご理解下さい。

以上述べたとおり、痴漢行為は男性から女性へのものだけではなく、女性から男性,男性から男性,女性から女性というすべてのパターンがあるということです。
この点をきちんと認識していれば、痴漢対策として女性専用車を導入するなどという愚かな発想はそもそも出てこないはずなのです。


※ ここでとりあげた問題は、DV や セクハラ に関しても全く同じ構図が成り立つといえます。これらも男性が加害者,女性が被害者のケースばかりに目が行く風潮がありますが、実際には女性が男性に行うDVやセクハラも多数ありますし、同性間でもDVやセクハラは存在します。



4.そもそも《 女性 》って何?

僕は同性愛者です。同性愛者には性別違和が存在せず、性的指向が同性へ向かうだけです。
僕の場合、身体は明らかに「男性」、かつ性自認も明らかに「男性」であり、そこに違和感はありません。男性として生きていますし、これからもそうしていきたいです。ただし、性的指向は男性へ向いています。恋をしたり性的に惹かれたりするのは男性です。

よく同性愛と混同される、性同一性障害(GID)は、性別違和があって、そこに苦しむのです。例えば、身体は男性だけれども心は女性であったりするわけですね。見かけの性別と心の中の性別が違うのです。ちなみに、GID の人たちの中にも、異性愛者と同性愛者がいます。

また、世の中には、《 Xジェンダー 》 という人々もいます。性自認として、「無性」,「中性」などといった、「男性」でも「女性」でもないものをもっている方々です。

他にもさまざまな性のあり方があります。実に多様なのです。
そういった状況に鑑みたときに、《 女性 》という言葉はそもそもどういう風に定義するのがいいのでしょうか。
そこを議論すると大変なことになってしまいますね。《 女性 》とはそもそも何なのかという、根本的な問題に立ち返らねばならなくなってしまいます。そう簡単な問題ではないことはお分かりいただけると思うのですが、どうでしょう。

「女性専用車」と言うけれど、では GID の人たちは、あるいは Xジェンダー の人たちは、どうすればいいのでしょう? どう扱うつもりなのでしょう? そこまで考えてこういう制度をつくったのでしょうか。
到底そうは思えず、この点だけでも大きな欠陥だと言わざるを得ません。


※ (主にトランスジェンダーの当事者の方へ)僕は同性愛の当事者ではありますが、トランスジェンダーの当事者ではありませんので、もしかしたら理解不足や事実誤認があって、不快な部分があったかもしれません。その場合、どうかお許し下さい


5.問題山積なうえに男性差別にしかなっていない

以上述べてきたとおり、「女性専用車」にはさまざまな問題点があります。
ポイントをもう一度列挙しておきます。

・ そもそも痴漢対策として機能していない
 (むしろ痴漢や痴漢えん罪を増加させかねない要素がある。他車両の混雑率の上昇など)
・ 加害者=男性,被害者=女性 という固定観念にとらわれている
 (実際には男性が被害者となるケースや、同性への痴漢もある)
・ GID や Xジェンダー などセクシャルマイノリティの存在を考慮していない
 (《 女性 》の定義は? どうやって判断するのか? 明確でない)
・ 痴漢対策はタテマエであり、ホンネは男性を排除したいだけ。エゴイズム
 (【 女性 = 弱者 = 守られるべき存在 】という幻想の下で公然と男性差別をしている)

「女性専用車」は問題だらけなうえに、効果があるとも考えられず、加えて、男性に対する差別にしかなっていません。
このような点を考えたときに、僕は「女性専用車」に対して疑問を持たざる得ませんし、「女性専用車」に対しては《 反対 》の立場をとります。
痴漢や痴漢えん罪を本当に減らすことができる方法が真剣に模索されるよう願います。

※ 11月26日追記
この記事の続編を執筆しました。よろしければあわせてお読みください。

続・女性専用車への疑問


同性愛(ノンアダルト) ブログランキングへ

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 同性愛を嘲笑の対象にされる... | トップ | ハッシュ! »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。