ぼっち日和。。 1巻/今村朝希

今村朝希「ぼっち日和。。」1巻読了。




タイトルから予想は出来ますが、一人ぼっちの女の子のお話です。
こういう悲惨な状況っていうのは
ある種シンパシーも感じやすいし、可愛さも演出しやすいし便利な訳ですが
このお話の独自性っていうのは
友達ゼロから始まって、ゼロのまま延々続くっていう、そのあまりの報われなさ（笑）。
一応複線っぽいのはバラ撒かれてますけど
なんせ出来たのは人外っ娘一人、それも妖精さんって言う想像以上に悲惨な状況で。可哀相と思うのと同時に
そんな妖精と戯れたり
必死に友達が欲しい、って願ってる様がいやにキュンキュン来たりする、そんな漫画。

ここまで応援したくなる主人公も珍しいですよね。
全体的に女性作家らしく
雰囲気がファンシーで絵を観てるだけでも楽しいんですけど
そんな詩春の心の変遷を見守るのも相応に楽しくて、時折成果が出ると嬉しくなってしまう感じもあり。
きっと学生時代に
ぼっちだった人が読んだらかなり共感出来るんじゃないでしょうか。
作者本人がそういう性質らしく
更に九州在住という事で九州弁の女の子を登場させたりと
作者の実体験や生活感も反映させてる感触で、そこもまた馴染み易くて良い感じです。
個人的に凄く気に入ったのでこの感想で気になった方には是非お手にとってほんわかして欲しい、って所で。

何より素敵なのは絵柄だったり雰囲気が素朴で可愛くて嫌味も無く
みんながみんな優しかったり
でも
偏見的な人間や恐がりもいたりで優しいだけじゃないし
でも空気感が素敵なので、そこまで悪い人達ではなく自然にそうなってたり
誤解してるだけなんだな、って。
だから冷たい雰囲気ではなくむしろ温かい。側に置いてちょくちょく読みたい感じのコミックス。
女性作家の持ち味フルに生かして柔らかいタッチだったり、賑やかな画面作りだったりで
その点でも飽きずに読めて良い。
それは逆にシンプルさって部分とは結びつき難い要素ですけど
多分好きな人は徹底的に好きな感じの作品だと思います。取り合えずぼっちで可愛いもの好きの方は
要チェック・・・ってそれは主人公の詩春と同様ですね（笑）。新人の一冊目とは思えない完成度でした。
この調子で2巻以降もよろしくお願いします、って〆で。相当に気に入った。




にしても表紙は本当に素晴らしいですね。
ここまで素晴らしい表紙は中々ないですよね。
内容と完全に一致。