超進化アンチテーゼ

悲しい夜の向こう側へ

MO'SOME TONEBENDER「STRUGGLE」 全曲レビュー

2011-02-21 03:29:32 | 音楽





久々の全曲レビューです。今回はMO'SOME TONE BENDERの「STRUGGLE」です。
去年の暮れに出たアルバムですね。



ここに辿り着くまでのモーサムのアルバムって言うのは打ち込み主体だったり
歌モノ主体のアルバムだったりと割と彼らのパブリックイメージの範疇に入る事を避けてきたというか
それは逆にひねくれてるな~って思えるものだったんですが
今回の「STRUGGLE」っていうのは、そこから再びイメージに近い暴走ロックアルバムに仕上がっていて。
でも守りに入った感じがしないのは
やっぱり地力が付いてるというか、基本的なバンドの体力が全然違う気がして。
回り道をしていたからこその解放、っていう気持ち良さがあります。
それもやっぱり前2枚を作った影響もあると思うけど。
単なる原点回帰って印象には収まらない、彼らの作品の中でも随一にキレのいい作品になったのでは、と。

惜しむらくは都合上ツアーに参加できなかった事ですね・・・。
でもまたワンマンとかライブがあった際には是非見に行きたい。ベスト盤も出ますよ。
って事で以下。





1.Hammmmer

いきなりガッツリくる轟音ロック・ナンバー。
オルタナっていうよりはノイズそのものって感じの歪み切ったアレンジが痛快です。
深みのある沼にハマってるような
鈍い衝撃がある曲。
つまらんいざこざを捨て置いていっちょやってやれよ、みたいな。「獣になろうぜ」ってフレーズが素敵。



2.youth

モーサムのキラーチューンって突き抜けてると思うんです。
例えば「アンハッピー・ニューエイジ」とか「13HOT DOGS」とかでも顕著な
あの独特の突っ走り感。
メロディが頭の中を一直線に駆け抜けていくような、爽快感。
それを改めてグシャッとしたアレンジでやってみた、って感じのこの曲。
はっきり言って・・・名曲です。
このアルバム以前に、モーサムの歴史から見ても。歌詞もモーサムそのもの、みたいな。
或いは思春期の男子全開、みたいな。
ここまで耳を惹くメロを作れるのは素直に凄い。そして夜に似合います。



3.Junk

タイトルがもうそのまんま。ゴミ。クズ。でもだからどうした?みたいな。
歌詞の中にもオオカミって単語が出てきますが
歌や演奏自体もオオカミのようにこの世界に噛み付いてるかのよう。
グシャグシャなロック・ソングです。
単純にスカッとする。



4.けだるいDays

うって変わって沁み入るようなポップ・ソング。
別に感動を狙って作ってる訳じゃないと思うけど
それでも何となく感動したり、
何となくいいなあって思えたり。そういう曲が一番素敵なのかもしれない。
シンシンと雪が降ってるイメージなんかもあったり。



5.Drum Song

ジリジリと焦げ付くようなミディアム・ロック。
遅いテンポが逆にガムシャラ感を煽ってるような、そんな曲。
アルバムの中では割と地味なポジションなんだけど
こういう曲はこういう曲で必要、というか基本的にアグレッシヴなアルバムなので
谷のような役割を果たしていると思う。
もちろん単体で聴いても良し。



6.教祖様はスレンダー

こういうクレイジーなモーサム待ってたんだよ!的な。
めちゃくちゃに語り倒すポエトリー部分から一瞬だけ冷静に歌う部分、
更にヒステリックなサビに突入、と
モーサム特有のカオス感をたっぷり楽しめる曲です。落ち着きのないギターも格好良い。



7.PURR

sonic youthのカバー。前述の通りいきりたった曲の多いアルバムなので
「Drum Song」同様に中立的な曲が必要、という事でバランスをとったのかな、って。
勿論カバー自体も相当に出来が良い。
シングルで切れるくらいに。
演奏のダイナミックさが刺激的だわ。



8.アイデンティティ

「アイデンティティはいらないや ハッピーエンドはいらないや
 シンパシーとかいらないや 矢でも鉄砲でも持って来い」

とても潔い咆哮が胸を刺す、これまたいかれた感じのロックナンバー。
まるでハリネズミのように周囲を威嚇するその精神は
元来のロック精神そのもの。
誰に認められなくても、好かれなくてもいい。ただやりたいようにやるだけ。
それは刹那的なのかもしれないけど
それも一つのやり方、生き方ではありますよね。それでいてキチンと格好良いのがまた粋っていうか。



9.Black In,Black Out

「ちゃんちゃらおかしいぜ」

日常生活に於いてちゃんちゃらおかしいぜ、って思う事ありますよね。
くだらねえ、とかどうでもいいぜ、とか。
そういう言葉ってロックに乗せて歌うにはもう抜群の相性でね。
そんな気持ち良さを十二分に体感できるバッキバキのロック・ナンバーです。
サビの叫びっぷりもまた衝撃的でした。
精神状態ギリギリというか。



10.七月二十日

インスト。次の曲に向けての繋ぎ。
しかしただのインタールードと侮るなかれ、最初は大人し目だったバンド演奏が
途中から一気にヒートアップしてどんどんと神々しいオーラを纏っていく。
その移り変わりが何より面白い曲。
当然単体で聴いても全然格好良いと思う。クラムボンの「KANADE Dance」に近いかも。



11.Kingdom Come

それまでの曲がジェットコースターだったりコーヒーカップのような、
所謂遊園地のアトラクションだとしたら
この曲は正に閉園(閉演)の瞬間というか、終わっていく物悲しさが表現されてると感じます。
でもその分何かが始まっていくような
始めたいって思うような。
そんな希望的観測も少しだけ入ってるような。そんな曲だって今は思います。思えます。






本当はもう説明する必要ないくらい、これがロックでしょ?って本人らが言ってるような
そんな堂々とした・・・そう堂々としてるんですよね。
きっぱりしてるって言い換えてもいいけど、何一つ負い目がないっていうか
これでダメならもうダメだ、って感じの潔さがあって。
 実際リスナーとしてもこれを聴いて欲しいって気持ちは強いんですよね。
ここまで強度の高いロックアルバムってそうそうないと思うから。
それこそロックのレジェンド的なバンドの作品と比べても全然並んでいける
文字通りタフなアルバムに仕上がったんじゃないかと思います。
ハードでコアなアルバムですけど、聴けばまず間違いなく感じるところあると思う。

一本筋の通った、問答無用で音楽の刺激が伝わってくるようなアルバムです。大傑作。





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2 コメント

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もーあつ! (ラクダ)
2011-02-21 22:48:56
ちょっと視聴しただけであったモーサムのニューアルバム!

視聴段階で破壊的でヒリヒリしていて格好いい!と感じていましたが、どうやらその格好よさは半端じゃないようで…。
うわ~買いたい!

hammerのキレ具合は相当ヤバかった印象があります。タワレコにある視聴機での視聴なのに五回くらいリピートしてしまってw


あの~それでお願いというか頼みといいますか。
西京さんのことをmyブログで紹介してもいいでしょうか?
こんな凄い方がいて~、こんな影響を受けて~、師匠なんです~。のような感じでの紹介です。
僕はべた褒めに書いてしまう傾向があるので、そういうのは西京さんが嫌かもしれないので確認をと。
できればお願いします。書かせて下さい!><
返信する
かっちょいいですよ! (西京BOY)
2011-02-22 00:13:44

ラクダさんいつもコメント感謝です~。


>格好よさは半端じゃないようで
初期のテイストを更に強化したっていうか
一回り大きくなって帰ってきた感はあります。
どこから聴いても完全なロック・アルバムって印象ですね。
端的に傑作じゃないかと思います。

個人的には「youth」がめちゃくちゃいいですよ。一発で名曲って判断しました。出来ました。


紹介に関してはご自由に良いですよ。
ただまあ自分では自分の事凄いとか思うことはないんですけどね・・・。
ずっと手探り状態ですから。
それでも自分の文章を気に入ってくれる方が居る、ってのはありがたいものですね。
頑張らねば、と思います。
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