さいとうゆたか法律事務所 離婚ブログ

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離婚15年後の結婚前の姓への変更が認められた事例

2016-01-30 18:18:23 | そのほか

 離婚をした場合、結婚により姓を変えた人は、何もしなければ結婚前の姓に戻ることができますし、婚氏続称の届出をすれば結婚時の姓であり続けることもできます。

 離婚し、婚氏続称の届出をし、その後に結婚前の姓に戻りたい場合には、戸籍法107条1項の規定に基づき家庭裁判所の許可を得て元の姓に戻ることができる可能性があります。

 東京高等裁判所平成26年10月2日決定は、離婚し、婚氏続称の届出をし、その15年後に結婚前の姓に戻したいと許可が申し出られたという事案について、戸籍法107条1項の定める「やむを得ない事由」という要件を満たすとして、結婚前の姓に戻すことを認めました。

 この事例は、子どもが学校に通っていることとの関係で婚氏続称がなされたもののその子どもも平成24年には大学を卒業していること、申立人が両親と同居し両親の姓の屋号で近所づきあいをしてきたこと等の事情を踏まえ、婚氏続称を認めました。

 この事例では、家庭裁判所は姓の変更を認めませんでした。よって限界事例ということができます。離婚後15年もたった場合には結婚前の姓に戻すことは簡単ではないということでしょう。そうはいっても、現実には、東京高裁の事例のように、子どもの関係で婚氏続称をせざるを得なかったという人も多いと思います。そのような場合にはかなり丁寧に結婚前の姓に戻す必要性を説明する必要がありそうです


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離婚とマイナンバー

2016-01-29 12:12:43 | そのほか
 マイナンバーの通知カードは世帯毎にまとめて送付されるのが原則です。これは、家族は常に円満であり、家族内で相互のマイナンバーを認識しても問題は生じないという考えが前提にあります。

 しかし、当然、夫婦は常にいつまでも円満でいるわけではありません。一旦夫が妻の、妻が夫のマイナンバーを知った後で離婚するということもあり得ます。

 離婚すれば他人同士です。この場合、他人にマイナンバーを知られていることになります。離婚の経過によっては大きな不安感を持つ人もいるでしょう。

 しかし、マイナンバー法では、簡単にマイナンバーを変えることはできません。マイナンバー法7条2項は、「個人番号が漏えいして不正に用いられるおそれがある」場合にのみマイナンバーの変更ができるとしています。
 政府の逐条解説では、「個人番号利用事務や個人番号関係事務の際に本人から個人番号の提供を受けた者が、当該個人番号を本人以外の第三者の利益のために不正に利用する目的で漏えいした場合や個人番号が記載された個人番号カードが盗まれて当該個人番号カードが不正に利用される危険性がある場合、詐欺、暴力などで個人番号を他人に知られ、当該個人番号を不正な目的で使用される場合」が変更できる場合としてあげられています。しかし、ここで「不正に利用する目的で漏えい」したのか、するのかは、漏えいされる側としては分からないことではないでしょうか。このような厳しい要件で解釈した場合、マイナンバーの悪用は防ぐことができないと考えられます。

 むしろ、本来は、離婚等により他人が自己のマイナンバーを知っている状態となった場合、離婚の経過の中で多少でも対立的な状況があれば、マイナンバーの変更を認めるべきだと思います。

 この点、実際にどのような場合にマイナンバーの変更を認めるのかについて実例はまだつみあがっていません。これから実務をつくっていく段階です。

 離婚等により他人が自己のマイナンバーを知ることになり、不安を感じている方は、積極的にマイナンバーの変更を申し出た方がよいと思います。どうしたらよいか分からない場合には当新潟合同法律事務所の弁護士(新潟県弁護士会所属)に御相談ください。
                            弁護士 齋藤裕(新潟県弁護士会所属)

独身とウソをついて未婚女性と付き合ったことによる損害賠償

2016-01-11 17:33:07 | そのほか

 付き合っていた相手に騙され、相手に配偶者がいるのに独身だと信じていた場合、つきあっていた相手に損害賠償請求できる可能性があります。

 東京地裁平成27年1月7日判決は、既婚男性が独身であるかのように装って未婚女性と付き合い、性的関係を持った事案について、既婚男性に不法行為による損害賠償義務(慰謝料100万円)があることを認めました。

 なお、裁判所は、付き合い始めた当初、既婚男性は妻と1年以上別居し、連絡もなかったなどの事情があり、未婚女性と真剣な交際をするつもりがなかったとまでは言えないとしました。

 しかし、その後、既婚男性が妻との関係を修復し性交渉も持つに至っており、それ以降については未婚女性の人格権を侵害するものとしています。

 つまり、裁判所は、単に既婚であることを隠していただけでは人格権侵害を認めなかったのです。裁判所は、既婚だけではなく、実質的な夫婦関係があることを人格権侵害の要件としました。

 しかし、実質的な夫婦関係がある場合でもない場合でも、結婚を念頭に付き合いをしていた未婚女性の思いが裏切られることにかわりはなく、実質的な夫婦関係の有無を人格権侵害の要件とすることには疑問もあり得ます。


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義理の親子間の金の貸借と離婚

2016-01-05 11:28:36 | 離婚とお金

 義理の親子間で住宅資金等の貸し借りがなされることは多くあります(妻の親から金を借りるなど)。義理の親子間であるため、曖昧な条件で貸付けをすることが多いですが、子ども夫婦が離婚した場合にはトラブルになることが多いのです。

 東京地裁平成27年7月29日判決は、このような事案についての判決です。
 
 同判決自体は控訴審判決であり、借主が破産免責を受けているので、貸主側の請求を認めないという結論になっています。

 注目すべきは、同判決で紹介されている原審判決です。

 義理の親が義理の子に住宅資金として金を貸し付けた、借用書には「育児を終え、社会復帰ができ次第遅くとも3年後から始め、15年の間に滞りなく250万円を返済していくことを約束します」との記載があります。

 原審判決は、義理の親子間の信頼関係が基礎となった貸金契約であり、子どもの離婚により義理の親子関係が解消した場合、期限が到来するという黙示の合意がなされていたとの判断を示しています。義理の親子間の金の貸し借りについて離婚によりすぐにお金を返さないといけないということです。

 借用書が作成され、一応期限らしきものも記載されている場合に、原審判決のように離婚で貸金の期限が到来すると割り切って良いのかどうか疑問もあります。そうはいっても、金を貸す段階で、離婚の場合には期限が到来するとは書きにくい事情も理解はできます。義理の親子間の金の貸し借りについては今後も検討が必要だと思われます。


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不貞相手の勤務先上司に対する文書発信と名誉毀損

2016-01-04 18:18:37 | 離婚とお金

 自分の配偶者の不貞相手に制裁を受けてもらいたいとの思いから、不貞相手の勤務先に不貞の事実を知らせる手紙を書きたいとの相談を受けることはよくあります。しかし、そのようなことをすると名誉毀損として賠償責任を負う場合があります。

 東京地裁平成27年6月3日判決は、妻が、夫の不貞相手の勤務先の上司に、不貞の事実を記載した文書を送付したという事案について、名誉毀損として損害賠償を命じています。

 この文書は、特定の上司宛となっており、不特定多数に向けられていたものではありません。しかし、会社としての対応を求める内容となっており不特定多数に伝達されることが想定されていた、実際にその特定の上司以外の者にも内容が伝わったとして、裁判所は名誉毀損を認めました。このあたりは疑義のあり得るところのようにも思います。

 また、夫と不貞相手とは営業担当者と取引先という間柄であり、妻が会社に対応を求めること自体完全に不合理とは言えない状況もありました。しかし、裁判所は、妻の代理人弁護士が不貞相手に内容証明を発送した同日のうちに妻が勤務先の上司に手紙を出していることから、妻には不貞相手に社会的制裁を与える意図があったとして、手紙の発送は正当化されないとしました。


 自分の配偶者が不貞などした場合、腹が立つのは当然のことです。しかし、対応は弁護士に任せた方が無難ということかと思います。


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