相談料・着手金無料 新潟の弁護士による交通事故ブログ(新潟県の交通事故) 

弁護士齋藤裕(新潟県弁護士会)のブログです。交通事故の記事をまとめました。お悩みの方は025-211-4854にお電話を

中間利息控除はいつからするか(交通事故)

2014-02-28 17:48:27 | 傷害事故

 交通事故の損害賠償では、中間利息控除というものが行われます。

 中間利息控除とは、将来発生する損害を一時金で払う場合に、加害者側が運用利益分について得をするので、その分を損害額から差し引くというものです。

 例えば、今10万円をもらえば、その10万円を運用して10年後にはより大きなお金にすることができます。ですから、10年後に10万円もらうよりも今10万円をもらう方が得になります。交通事故の損害賠償については、将来発生する損害を一括で払わせる場合もあります(今後10年間発生する介護費用や逸失利益を、現時点で一括で払わせる場合など)。そのような場合には、被害者は、本来であれば将来もらうべきものを現時点でもらうことになりますから、その分運用利益について得をすることになります。その得をする分を損害額から控除するのを中間利息控除というのです。判例上、年5パーセントの割合で中間利息を控除すべきとされています。

 問題は、中間利息控除をいつからするかです。

 考え方は3つあります。事故時説、症状固定時説、紛争解決時説(判決等の時点から中間利息控除をする)です。

 大阪地裁田中俊行判事「判例の立場を前提とした損害論と中間利息控除の基準時 上」が挙げる例によると、ある特定の条件で考えた場合、事故時説では1464~1496万円、症状固定時説では1869万円、紛争解決時説では2307万円が支払われるべき金額となります。事故時説と紛争解決時説とでは倍近く違ってくることになります。

 現状では症状固定時説が趨勢だと考えられています。

 しかし、中間利息控除が、被害者側が運用利益分について得をし、その分加害者が損をするのを防ぐためにあるのであれば、紛争解決時説が正しいと思います。2005年に事故に遭い、2010年に症状固定し、2014年に解決し、2030年までの逸失利益が賠償されるケースを考えてみましょう。2014年に解決し、2030年までの逸失利益が支払われる場合、被害者は2014年にやっとお金をもらえるのです。ですから、2014年以前には運用利益というものはありません。そうだとすると、2014年以前について中間利息控除をする根拠は全くないと思われます。

 紛争解決時説については、紛争解決が遅れれば遅れるほど被害者が有利となり解決が遅れる結果となる、訴訟提起時だけではなく終結時にも計算しなおさないといけないので面倒という批判もなされています。

 しかし、通常、ゴネて解決を遅らすのは保険会社です。紛争解決時説を取ったからといって被害者が紛争解決を遅らすと考える根拠はありません。

 面倒という点については、2回計算するだけですから、それほど大変だとは思いません。

 私自身は最近は紛争解決時説で主張していますし、何とかそのような実務が定着すれば良いと思います。

 

 

 交通事故でお悩みの方は当新潟合同法律事務所の弁護士(新潟県弁護士会所属)にご相談下さい。交通事故の相談料は無料です。まずはお電話(025-245-0123)かメールをなさって下さい。

                       弁護士 齋 藤 裕(新潟県弁護士会所属)

新潟の弁護士による交通事故ブログトップ

 

 

 

 

 

 

 

 


せき髄の障害について その5(第2級、第3級の判断基準)

2014-02-24 12:32:39 | 傷害事故

 せき髄障害で第2級となるための要件は

a 中等度の四肢麻痺が認められること

b 軽度の四肢麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について随時介護を要するもの

c 中等度の対麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について随時介護を要するもの

のいずれかに該当することです。

 中等度の麻痺についてはhttp://blog.goo.ne.jp/niigatanoikoutuujiko/e/a85ca1235bc98ccda7cfc5944083f22cをご覧ください。

 軽度の麻痺とは、障害のある上肢又は下肢の運動性・支持性が多少失われており、障害のある上肢又は下肢の基本動作を行う際の巧緻性及び速度が相当程度損なわれているものをいいます。

 上肢においては、障害を残した一上肢では文字を書くことに困難を伴うものがこれに当たります。下肢においては、日常生活は概ね独歩であるが、障害を残した一下肢を有するため不安定で転倒しやすく、速度も遅いもの又は障害を残した両下肢を有するため杖若しくは硬性装具なしには階段を上ることができないものがこれに当たります。

 第3級となるための要件は

a 軽度の四肢麻痺が認められるもの

b 中等度の対麻痺が認められるもの

のいずれかに当たることです。

 

 交通事故でお悩みの方は当新潟合同法律事務所の弁護士(新潟県弁護士会所属)にご相談下さい。交通事故の相談料は無料です。まずはお電話(025-245-0123)かメールをなさって下さい。

                       弁護士 齋 藤 裕(新潟県弁護士会所属)

新潟の弁護士による交通事故ブログトップ

 


せき髄障害について その4(第1級)

2014-02-23 15:29:26 | 傷害事故

 せき髄の障害で、「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの」とされると、別表第1・第1級の後遺障害の認定がされます。

 具体的には、

a 高度の四肢麻痺が認められるもの

b 高度の対麻痺(両下肢の麻痺)が認められるもの

c 中等度の四肢麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について常時介護を要するもの

d 中等度の対麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について常時介護を要するもの

のどれかに該当する場合です。

 なお、麻痺が高度とは、障害がある肢の運動性・支持性がほとんど失われ、その肢の基本動作(下肢なら歩行や立位、上肢なら物を持ち上げて移動させること)ができないものをいいます。

 具体的には、

 完全硬直又はこれに近い状態にあるもの

 上肢では、三大関節及び5つの手指のいずれの関節も自動運動によっては可動させることができないもの又はこれに近い状態にあるもの

 下肢では、三大関節のいずれも自動運動によっては可動させることができないもの又はこれに近い状態にあるもの

 上肢では、随意運動の顕著な障害により、障害を残した肢では物を持ち上げて移動させることができないもの

 下肢では、随意運動の顕著な障害により肢の支持性及び随意的な運動性をほとんど失ったもの

を言います。

 麻痺が中度とは、障害のある肢の運動性・支持性が相当程度失われ、障害のある肢の基本動作にかなりの制限があるものを言います。

 具体的には、

 上肢においては、障害を残した肢では仕事に必要な軽量の物(概ね500g)を持ち上げることができないもの又は障害を残した肢では文字を書くことができないもの

 下肢においては、障害を残した肢を有するため杖若しくは硬性装具なしには階段を上がることができないもの又は障害を残した両下肢を有するため杖若しくは硬性装具なしには歩行が困難であること

が該当します。

 

 交通事故でお悩みの方は当新潟合同法律事務所の弁護士(新潟県弁護士会所属)にご相談下さい。交通事故の相談料は無料です。まずはお電話(025-245-0123)かメールをなさって下さい。

                       弁護士 齋 藤 裕(新潟県弁護士会所属)

新潟の弁護士による交通事故ブログトップ

 


三条市・新発田市での弁護士による法律相談

2014-02-22 13:36:52 | 三条・新発田での法律相談、その他出張相談

 2014年3月11日火曜日(午後)に三条市内での弁護士による法律相談を実施いたします。

 2014年2月28日金曜日(午前)には新発田市内での弁護士による法律相談を実施いたします。

 ご希望の方はメールでお問い合わせください。

 時間、場所などについてはメールでお問い合わせください。

 交通事故、借金(債務整理)の相談料は無料です。

 離婚、相続、労災などの相談料は5000円(税込)をいただきます。

 その他の日時をご希望の方もご遠慮なくメールにてお問い合わせください。

                     弁護士  齋 藤 裕(新潟県弁護士会所属)

新潟の弁護士による交通事故ブログトップ   


 


せき髄の障害について その3(障害の認定方法)

2014-02-22 12:03:54 | 傷害事故

 自賠責においては、せき髄の障害認定は、身体所見およびMRI,CT等によって裏付けることができる麻痺の範囲と程度に基づき行われます。ということは、原則として、症状があっても、MRI等による裏付けがなければ、その症状に対応した障害認定がされないこともあり得るということです。

 MRIでは、椎間板が脊柱管内へ脱出しているか、靭帯の損傷、血腫の形成などを見ることになります。

 CTでは、骨折・脱臼、棘突起列の乱れ、椎体の変形などを見ることになります。

 ただし、せき髄損傷に伴う胸腹部臓器の障害や脊柱の障害による障害の等級が麻痺により判断される障害の等級より重い場合には、それらの障害の総合評価により等級が認定されることになります。

 3級以上の障害については、介護の要否・程度も踏まえて認定されることになります。

 

 交通事故でお悩みの方は当新潟合同法律事務所の弁護士(新潟県弁護士会所属)にご相談下さい。交通事故の相談料は無料です。まずはお電話(025-245-0123)かメールをなさって下さい。

                       弁護士 齋 藤 裕(新潟県弁護士会所属)

新潟の弁護士による交通事故ブログトップ

 

 

 


せき髄の障害について その2(神経信号の流れ)

2014-02-14 14:29:35 | 傷害事故

 脊髄は、脳から筋肉、身体の各部から脳に神経信号を伝えます。

 脳からの神経信号は、脊髄→運動神経根(前根)→脊髄神経を経由して筋肉に伝わります。運動神経根は脊髄の前の方にあります。

 身体各部からの神経信号は、脊髄神経→感覚神経根(後根)→脊髄を経由して脳に伝わります。感覚神経根は脊髄の後ろの方にあります。

 脊髄の中央には角と呼ばれる部分があります。

 前の方にある運動角(前角)には、脊髄から来た信号を神経根に伝達する神経細胞があります。

 脳からの情報は皮質脊髄路→運動角→神経根→脊髄神経という経路で伝わります。

 後ろの方にある感覚角(後角)には、身体の各部からの信号(痛みなど)を受け取る神経細胞があります。

 感覚角で受け取った痛みや温度に関する情報は外側脊髄視床路、腕や脚の位置に関する情報は脊髄後索を通じて脳に伝達されます。

 

 交通事故でお悩みの方は当新潟合同法律事務所の弁護士(新潟県弁護士会所属)にご相談下さい。交通事故の相談料は無料です。まずはお電話(025-245-0123)かメールをなさって下さい。

                       弁護士 齋 藤 裕(新潟県弁護士会所属)

新潟の弁護士による交通事故ブログトップ


せき髄の障害について その1(せき髄とは?)

2014-02-13 19:46:41 | 傷害事故

 せき髄は、脳と身体の各部をつなぐ神経の経路です。

 せき髄は、チューブ状で、それ自体は傷つきやすいものです。そこで、せき髄は、脊椎(椎骨)でできた背骨(背柱)で守られています。

 椎骨と椎骨の間には軟骨でできた椎間板があります。これが衝撃を和らげる役割を果たしています。

 せき髄を守っている脊椎は、頸椎、胸椎、腰椎、仙椎の4つの領域に守られます。その損傷箇所によって症状が出てくる場所も違ってきます。以下、下の図を見ながらお読みください。

 C2から5が損傷すると呼吸機能に影響が出てきます

 C5から6が損傷すると肩より下の筋力が低下します

 C6から7が損傷すると胴体以下、手の一部が麻痺します

 C7から8が損傷すると脚、胴体、手が麻痺します

 C8からT1が損傷すると脚・胴体の麻痺、指等を動かす筋肉の筋力低下が生じます

 T2からT4が損傷すると脚・胴体の麻痺、乳首より下の感覚喪失が生じます

 T5からT8が損傷すると脚・胴体下部の麻痺、胸郭から下の感覚喪失が生じます

 T9からT11が損傷すると脚の麻痺、へそより下の感覚喪失が生じます

 T11からL1が損傷すると股関節・足の麻痺・感覚喪失が生じます

 L2からS2が損傷すると脚の筋力低下・しびれが生じます

 S3からS5が損傷すると会陰部のしびれが生じます。

 どこが損傷しても、重度の損傷があると、膀胱が腸の制御機能喪失が生じるとされます(以上、メルクマニュアルによっています)。

 

 交通事故でお悩みの方は当新潟合同法律事務所の弁護士(新潟県弁護士会所属)にご相談下さい。交通事故の相談料は無料です。まずはお電話(025-245-0123)かメールをなさって下さい。

                       弁護士 齋 藤 裕(新潟県弁護士会所属)

  

 


高次脳機能障害について その25(MTBIについて)

2014-02-12 20:33:15 | 傷害事故

 軽度脳外傷(MTBI)は、Mild Traumatic Brain Injuryの略です。

 これは、比較的軽微な脳外傷です。

 WHOによると、脳に衝撃を受けてから、混乱や失見当識、30分以下の意識喪失、24時間以下の外傷後健忘期間、局所神経兆候、けいれん、手術を要しない頭蓋内病変のうち1つ以上が見られる場合にMTBIとされます。外傷後30分以降経過している場合については、グラスゴースケール13-15の場合にMTBIとされます。

 MTBI患者の大多数は1年以内に回復すると考えられています。そのため、MTBIであるからといって直ちに高次脳機能障害とされることはありません。しかし、脳が器質的に損傷を受けている可能性もあるとされています。ですから、自賠責の手続きでは、症状の経過、検査所見等も併せ慎重に検討されるべきとされています。

 ですからMTBIに該当するような場合でも諦めないで、認定申請や異議申立をした方が良いと思います。なおMTBIについて高次脳機能障害として認めたと考えられる裁判例としては、名古屋地方裁判所平成22年7月30日判決があります。

 

 交通事故でお悩みの方は当新潟合同法律事務所の弁護士(新潟県弁護士会所属)にご相談下さい。交通事故の相談料は無料です。まずはお電話(025-245-0123)かメールをなさって下さい。

                       弁護士 齋 藤 裕(新潟県弁護士会所属)

 

 


高次脳機能障害について その24(「日常生活状況報告」について)

2014-02-11 11:05:56 | 傷害事故

 高次脳機能障害の有無・程度の認定にあたっては、医師による検査、診断が重要です。しかし、ご家族が作成する「日常生活状況報告」も重要な資料となることがあります。

 「日常生活状況報告」は、患者の家族等が、患者の「日常活動」、「問題行動」、「日常の活動および適応状況」等について評価をするものです。

 「日常活動」は、「起床・就寝時間を守れますか」等の質問について、0から4の段階に分類して評価します。0は、「問題がない」、1は「多少問題はあるがあらかじめ準備をしておいたり、環境を整えておけばひとりで安定して行える」、2は「確実に行うためには、周囲からの確認や声掛けが必要」、3は「周囲の人が、行動を共にしたり、具体的なやり方を示す等、言葉以外の直接的な手助けが必要」、4は「準備、声掛け、手助けなどを行っても、指示を守れなかったりするために、周囲の人が後始末をしなければならない場合」です。

 「問題行動」は、「顕著な子どもっぽさ、年齢にそぐわない甘えや依存がありますか等」等の質問について、0から4に分類して評価します。0は「ない」、1は「稀にある」、2は「およそ月に1回以上ある」、3は「およそ週に1回以上ある」、4は「ほぼ毎日ある」です。

 「日常の行動および適応状況」は、「1 家庭、地域社会、職場、または学校などの広い領域において、問題なく良く活動・適用している」から「10 最低限の身辺の清潔および健康維持を持続的に行うことができない」の10段階で評価するものです。

 その他、症状が社会生活・日常生活にどのような影響を与えているかを記載する自由記載欄もあります。

 これらについては当然正確に記載することが必要です。記載をする人が全部の事情を把握しているとは限らないので、他の親族、知人にも話を聞きながら記載したら良いと思います。書き方が分からなかったら弁護士に相談しても良いと思います。

 

 交通事故でお悩みの方は当新潟合同法律事務所の弁護士(新潟県弁護士会所属)にご相談下さい。交通事故の相談料は無料です。まずはお電話(025-245-0123)かメールをなさって下さい。

                       弁護士 齋 藤 裕(新潟県弁護士会所属)



新潟の弁護士による交通事故ブログトップ

 

 

 

  


高次脳機能障害について その23(軽微な障害を残すものとは何か?第14級の具体的認定基準)

2014-02-10 10:45:28 | 傷害事故

 MRI,CT等による他覚的所見は認められないものの、脳損傷のあることが医学的に見て合理的に推測でき、高次脳機能障害により4能力(意思疎通能力、問題解決能力、持続力・持久力、社会行動能力)がわずかに能力喪失している場合には、第14級に認定されることになります。

 それでは、わずかに能力喪失しているとはどのような場合でしょうか。

 意思疎通能力については、「特に配慮してもらわなくても、職場で他の人と意思疎通をほぼ図ることができる」、「必要に応じ、こちらから電話をかけることができ、かかってきた電話の内容をほぼ正確に伝えることができる」という場合です。

 問題解決能力については、「複雑でない手順であれば、理解して実行できる」、「抽象的でない作業であれば、1人で判断することができ、実行できる」という場合です。

 持続力・持久力については、「概ね8時間支障なく働ける」という場合です。

 社会行動能力については、「障害に起因する不適切な行動はほとんど認められない」という場合です。

 

 交通事故でお悩みの方は当新潟合同法律事務所の弁護士(新潟県弁護士会所属)にご相談下さい。交通事故の相談料は無料です。まずはお電話(025-245-0123)かメールをなさって下さい。

                       弁護士 齋 藤 裕(新潟県弁護士会所属)

新潟の弁護士による交通事故ブログトップ