中国貴州省とそこで暮らしている苗族トン族等の少数民族を紹介しています。

日本人には余り馴染みのない中国貴州省と、今私が一時滞在中の雲南省や大理白族自治州大理古城について

左思著「三都賦」とライチ(妃子笑)と楊貴妃

2016年06月28日 | 少数民族の食べ物

雲南省大理州では今頃がライチの最盛期なのか路上で果物を売っている人達もライチを売り始めました。大理州では、一斤6元から7元程度で売っています。当然、貴州省に滞在中にもライチは見かけた事もありますし、何度かライチを食べましたが値段がどの位したかは覚えていません。

 このブログでも触れたのですが、蒟蒻についての記述のある「左思」と云う人が著した「三都賦」の「蜀都賦」の中に、実は、「荔枝」「龙目」と云う果物の話も出て来ます。「旁挺龙目,侧生荔枝」と記してあり、「荔枝」(注:ライチ)に付いては、その実が紅くなると食べられる等と書いてあります。また、ライチに似た果物に「龙目」と云う果物があるとも記されていますが、これは所謂竜眼との事です。

 荔枝(ライチ)は、中国では「妃子笑」「貴妃笑」と云う様な呼び方がされる場合がある事を貴陽市に滞在して居る折に知りました。これは「楊貴妃」がライチが大好物で、ライチが食べられる季節になると玄宋皇帝が楊貴妃の為にライチを遠く四川からわざわざ取り寄せ、そのライチが長安城に届いた事を知った楊貴妃が嬉しさの余り、ほほ笑んだ事から「貴妃笑」とも云われる様になったとの事。

唐代の詩人「杜牧」の絶句の一節に「一骑红尘妃子笑 无人知是荔枝来」と云う件があり、この妃子とは云うまでも無く楊貴妃で、荔枝とはライチの事です。それでライチが「妃子笑」と呼ばれる様になったそうです。ライチは「一日で変色し、二日経つと香りが変わり、三日経つと味が変わる。四五日経つと食べられなくなる」と云われる程傷みやすい果物だったので、遠く四川省から当時の都長安迄ライチを運ぶのはとても大変だった様です。その昔、楊貴妃が長安でライチを食べたのは矢張り今頃だったのかもしれません。

 

路上で果物を専門に売る人達もライチを売り始めました。一斤6元から7元。6月初旬にも農貿市場等にも、ライチが並んだのですが一週間程で姿を消しました。実が枝に付いている物と、実が枝から取れた物と両方売っています。

 

 「百度」で検索をかけるとライチは元々中国が原産地の事で、広東省、福建省、広西省、四川省、台湾等が主な産地の事です。貴州省、雲南省でも一部で採れるが量は少ないとの事です。また、竜眼はライチと同じ科の植物とも。今ではライチはアメリカ、ヨーロッパ、アジア等へ輸出されているとの事。尚、中国では、乾燥させたライチも売っています。

楊貴妃は四川省生まれと云う事もあり、幼い頃も四川省産のライチを食べていただろうとの事。但し、以前、中国中央テレビを見て居たら、この楊貴妃が食べたと云われるライチは四川省産の物か、それとも広東省産の物かが問題となっていました。良く知られている様にライチは大変傷み易い果物で、4、5日も経つとダメになると云われています。その当時の交通事情等を考えると広東省からライチを取り寄せるのはかなり難しかった様で、その番組では、楊貴妃は矢張り四川省産のライチを食べていただろうと推測していました。但し、その番組中では、若し実の付いたままのライチの木を運べば、広東省からもライチを長安まで運ぶ事が出来て、楊貴妃は広東省産のライチを食べていたかも知れないとの事です。

 

新聞等に拠ると、6月、7月がライチの最盛期の様ですが、今年は地域により雨が多く、値段も概ね高いとの事。枝付きの物と枝から落ちた物の両方売っていますが、当然枝付きの方がやや高い様です。それでも、大理では、一斤6元から7元と大変安くなっています。貴州ではどの位したか覚えていません。

 

左思著「三都賦」の中の蒟蒻

 



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