パーキングエンジェル

ずいぶん前、ロミロミのクムが、
「いろんなところにエンジェルがいて、わたしたちを助けてくれるの。」
と言っていた。

たとえば駐車場、
ものすごく混んでいるパーキングなのに、自分の時だけ偶然ぽっかり１台空いている。
こんな時は、エンジェルが助けてくれたんだって。
たとえばショッピング、
グローサリー満載のカート。
車のドアを開ける為に、カートを車の脇に止めた。
止まっていたはずのカートが目を離したすきに動き出して、見たときには向かいの車にぶつかりそう！！
ぶつかる！と思ったその時、カートがぴたりと止まった。
これもパーキングエンジェルの仕事。

そんな話を、茶目っ気たっぷりに話してくれた。



ホテルへの出張マッサージで、車を道路沿いのコインパーキングに停めた。

コインを入れようとメーターを見ると、
「ラッキー！」
なんと２時間３０分も時間が残っていた。
直前にこの場所に車を停めた人が、必要以上にコインを入れていたらしい。
「パーキングエンジェル、ありがとう。」

今日はラッキーディ！

「でも、待てよ。」

道路に沿って、ナナメに停めるこのスタイルのパーキングは、自分の停めた車のコインメーターの位置が右なのか左なのか、よく迷う。
パーキングスペースの地面に書かれている数字がパーキングメーターに振ってあるのだが、あわててたりすると隣のメーターにコインを入れてしまうことがある。

「もしかしたら、隣の車が間違えてコインを入れたのかも。」

そう思って隣を見ると、案の定、時間切れの赤いサインが出ていた。

間違えたのかな、それとも単純に時間切れなのかな？
ちょっと悩んで、
もともと自分のメーターに入れるつもりで手のひらに握っていたクォーターを、隣のメーターに入れた。

もし、わたしのスペースと間違えて入れたのなら、当然わたしも入れておくべきだわ。
もし、単純に時間切れだとしたら？
それでも、自分がエンジェルに助けてもらった分、他の人にお返しするべきよね。

わたしのメーターに残っている２時間３０分のコインを隣のメーターに入れた。
これで、安心。

ペイフォワード（良いことの先送り）ができて、ちょっとハッピーな気分で、出張マッサージを終えた。

さて、車に戻ってみると。

「！！！？？？」

メーターは２時間３０分のまま！

これって、
メーターが壊れてたって事？


パーキングエンジェルは、たまにこういうイタズラもするらしい。



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