白寿を目指す抗衰老ライフへの誘い

慣れ親しんだ新容器野菜養液栽培に別れを告げ、新たに取組んだ老人の終末課題の経過発信を続けさせて頂きます。

日本ニンニクの謎

2013年03月07日 | ニンニク

ニンニクの原産地は中央アジアの黒海とカスピ海に挟まれたコーカーサス山脈地帯とされ、その品種数は、600種を越えると言われています。そして、ニンニクは、その優れた滋養強壮作用が早くから認められ、その栽培の歴史は大変古く、紀元前6世紀頃には既に栽培されて居たとあり、シルクロードに沿った形で、西はヨーロッパ方面に、東はアジア方面にと各地に広まって行ったと言われています。

 

ーGourmet Garlic Gardens-より

しかし、今日の栽培されているニンニク品種はそれ程に多く無く、精々数十種と言いい、学名ではAllium sativum var.ophioscorodonAllium sativum var.sativumとの大きく2つの系統に分かれていて、前者はハードネックガーリック、後者はソフトネックガーリックと呼ばれています。

 

―ソフトネック代表種のアーティ チョークー

その違いを言えば、ニンニク本来の一般的な品種はハードネックガーリックであり、ハードネックガーリックから、南欧等の比較的温暖な地域等での気候や温度等に適する品種が、長い栽培の過程で選択固定され、出来上がった品種がソフトネックガーリックであると言います。

 

―パーセリン(Porcelain)ガーリック-

しかも、最近の今世紀に入ってからの研究から、ニンニクは10種類のはっきり異なる種からすべてが進化している事が明らかにされたと言います。

 その中のハードネック種が、パーセリン(Porcelain)、パーブルストライプ( Purple Stripe)、マーベル パーブルストライプ(Marbled Purple Stripe)、グレイズパーブルストライプ( Glazed Purple Stripe)、 ロカンボール( Rocambole)と呼ばれるの5種であり、それに、弱い花茎が発生するソフトネック種に近い、クレオールアジアチックターバンの3種に加えて、欧米ではアーティ チョーク シルバースキンと呼ばれているソフトネック種であると言います。

 

ロカンボール( Rocambole)―

形態的には、ハードネック種は、一般的に比較的大きな鱗茎を形成し、リン片は4-6個に分かれ、花茎が発生して開花結実するタイプであり、ソフトネックガーリック種は、多くの品種でリン片が10数個以上に分かれ、花茎が発生しないタイプであり、収穫後、柔らかい葉柄を編んで、ガーリックブレイドして欧米では良く飾られているニンニクです。

 

パーブルストライプ( Purple Stripe)-

そのニンニク、日本には奈良時代に朝鮮半島を経由して渡来したと言われていますが、どんなニンニクが伝わって来たのか詳しい資料が見当たらないので良くは分かりません。

それに、何分、ニンニクは独特の匂いが憚られ、又、仏教文化の影響もあってか、密かに栽培されて来た長い歴史が有り、鱗片に依る栄養繁殖で育てるのですが、ニンニクの優良な品種が選別されて固定されて来たとは一寸考え難いのです。

 

―アジア系のクレオールガーリックー

今日、日本で栽培されているニンニク品種は、南北に長い日本列島の気候条件の違いの所為か、暖地型の品種と東北地方を中心とした寒地型品種にはっきり分かれています。

 暖地型品種では、主に九州地方や四国地方で栽培される「上海早生(しゃんはいわせ)」、長崎県・壱岐市が発祥と言われる「壱州早生(いっしゅうわせ)」沖縄で栽培されている極早生の品種の「沖縄早生(おきなわわせ)」、それに、静岡県西部で古くから栽培されている品種の遠州極早生(えんしゅうごくわせ)等があるのですが、どれも、そのリン片数が12個前後であり、一個あたりのリン片の大きさ自体が寒地型の品種よりも小さく、略、同じ系統種ではないかと思われます。

 ところが、其の他の暖地型に、「島ニンニク」と呼ばれ、古くから琉球地方で栽培されて来た、粒が小さく、鱗茎がリン片数で20個前後にも分かれる品種があり、前記の暖地型品種とは明らかに異なる古典的な固定種と言えそうで、これぞ日本の「ソフトネックガーリック」に近い種ではないかと思われます。

 

-琉球地方の島ニンニクー

これらのニンニクの暖地型品種は、地理的にも朝鮮半島や中国大陸に近く、其の気候風土に適した品種が、奈良時代以降の後代に渡って来たとも考えられますが、各々の地域毎で密かに栽培されて来た事もあってか、品種の選別固定も余り進まず、今日に至っているのではないかと思われます。

 扨て、表題の「日本ニンニクの謎」と申し上げたのは、お気付きの方も居られると思いますが、東北地方でも、青森、秋田、岩手、山形の辺りで、古くから栽培されて来た日本の寒地型ニンニクの存在です。その中でも、特に優れた形質のお蔭で、日本のニンニクの総生産量の約7割を占めるようになった寒地型ニンニクが、「福地ホワイト六片種」と命名されたニンニク品種です。

 

ー福地ホワイト六片種ー

その特徴は、大玉でひと粒ひと粒が大きく、りん片の外皮が白くて見栄えが良く、そして糖度が凝縮されつつ辛みとのバランスがよく、にんにく特有の香りがマイルドであると言います。

 この品種、言うまでも無く欧米で、ハードネック種の中の「パーセリンガーリック」(Porcelain garlics)とよばれる品種に近く、真っ白な白磁器を思わせる美しい外皮に包まれた大粒のニンニクであり、其の形と色の良さから、世界でもそう呼ばれている品種に最も近いニンニク種では無いかと思われます。

 

―乾燥中の八木ニンニクー秋田物産サイトより

これが、アジアで発達した「アジアチック」と呼ばれる系統種であるならば、何時頃日本に入って来て、何故、東北の青森の一地方に限って定着発展したのか誠に謎であります。

尤も、先に揚げた日本の一連の暖地型のニンニクは、一般に早生種と呼ばれているように、品種的にはアジアチック ガーリックと呼ばれ、最も早く収穫できるニンニクであり、それだけにタマネギの早生種同様に、貯蔵期間が大変短いのが特徴と言います。

 

―最上赤ニンニクーおいしい山形HPより

尚、興味深いのは、東北には、「福地ホワイト六片種」が市場で大成功を収めた事もあって、他のご当地ニンニク種が名乗りを上げて登場して居ます。それも、「福地ホワイト六片種」と同様に、昔から各々限られた地域で栽培されて来たニンニクですと、ネット上でも紹介されています。

それが、秋田県の「八木ニンニク」と岩手県での「八幡平ニンニク」であり、又、山形県の「最上赤にんにく」です。

勿論、これらのニンニク種、「福地ホワイト六片種」とはそれぞれ違いがあるのですが、其の理由も亦、一種のミステリーです。

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