ねもじゅんの壁面四分儀座

「雨曝しなら濡れるがいいさ だって、どうせ傘など持って無いんだ」 by イースタンユース 

青木繁と《海の幸》

2007年09月28日 08時20分50秒 | 美術
青木繁と《海の幸》
夏の特別展示-青木繁6作品
2007年7月18日~9月30日
ブリジストン美術館



是非1度、実際に「海の幸」の本物を観てみたい。そんな思いが叶いました。この絵は普段、石橋美術館(福岡県久留米市)に置いてあるらしいんですよね。だから東京にいる自分としては、ちょっと遠いところにありました。


1904年の作品。ずいぶん古い時代のものなんだなぁ。下書きの格子線なんかもそのまま残されていたり、なにか別の大きな壁画のための下絵のような、荒々しい仕上げ。下書きの線も前面に浮き上がるように書かれているし、色も雑に見えるほどにしか塗られていない。


自分は九十九里の漁師の姿を書いているのかな、と勝手に思っていたのですが、解説を読んでみると九十九里のある千葉県ではあっても、南の先端の町、館山市布良海岸が舞台なんですね。(あんまりどうでもいい話ではあるけどね…)



他に青木の作品に「わだつみのいろこの宮」という、日本神話を題材にした作品もありました。ボーッと浮かび上がるような、ゆらめくような画面。荒っぽい雰囲気の溢れる「海の幸」と比較してずいぶんと静的な作品ですね。絵の前で長い時間見入ってしまいました。


常設展示もエジプトの古代美術から最近の作品まで取り揃えてあり見応えがありました。


ただ…どうしても困ったことがありました。


ご婦人方の私語が非常に多く、特に青木作品の展示してある小さな部屋ではワンワンと声が響いてしまい、絵に集中して観ることが出来ませんでした。何度も他の部屋に行って時間をずらして再挑戦をするも、また別の人のおしゃべり…


いつからこんなにしゃべりながら鑑賞する習慣ができたのでしょうか。


武井桂子 木版画展

2007年09月25日 18時17分54秒 | 美術
木版画って大好きなんですよね。同じものが複数できるっていう面白さ。木をもりもりと彫っている姿、バレンを持って組み敷くように摺る様子…想像しただけでワクワクしてくる感じです。


武井の作品は何年も前から大好きで観てきました。綿密なスケッチをもとに、単純化と様式化という過程を経て繰り広げられる版画の世界。


単純化されたことによる鋭い表情と同居するように、どこか温かみを感じるのは、木版だからでしょうか。それとも彼女の眼差しから来るものだからでしょうか。


作品がどこか遠くに存在するものではなく、自分の居間に、自分の部屋に飾りたくなるような、親しげな様子です。


今回の展示はすでに終わってしまいましたが、きっとまた出会えることでしょう。


武井桂子 木版画展
2007年9月9日~24日 茨城県つくば美術館


森の住人 きのこ 武井桂子


茨城県つくば市地域情報サイト