福島ズボラーヌ

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大阪市福島区(並びにその周辺)をうろうろ徘徊。

福島ズボラーヌ日記(13年1月)

2013-01-11 | ■その他
このお正月休み中に、日本橋の文楽劇場まで文楽公演を見に行って来ました。
お目当てはもちろん、「逆櫓の松」が登場する『ひらかな盛衰記』。

昨年は文楽協会の補助金問題が大きな話題となりました。
その際に「大阪の文楽劇場はいつもガラガラだ」と言う話を聞いていたのですが
チケット予約の電話を入れた際に聞いたところ、予約は好調とのこと。
初日は早々に完売したのだそうです。
私が行った日も「満員御礼」の看板が立っていました。



初春公演は2部制で、私が行きましたのは第二部。
午後4時開始の公演です。終了は午後8時。
(1/16より第一部に変わります。午前11時開演)

途中で10分、30分の休憩が入り、ほとんどのお客さんがお弁当持参です。
私も好物の大阪寿司(すし萬の筥寿司)を持っていきました。
ちなみに「すし萬」の発祥の地は福島。
梅田橋の北詰というから、中之島合同庁舎の北側あたりかな?
福島生まれのお寿司を食べて、福島が舞台のお芝居を見る…という福島尽くし。

文楽鑑賞は今回が二度目。
(前回は東京の国立劇場小劇場9月公演
残念ながら、12月公演はチケット取れませんでした)
敷居が高いとか小難しいとか思っていた文楽でしたが、
実際に見に行てみると、分かりやすく面白かった。
昔の言葉と言っても大阪弁なので、耳に入りやすく
視覚情報もあるので結構分かります(字幕も出るし)。
敷居を高くしていたのは「古典は難しく退屈」だと思っていた自分自身でした。

でも、いきなり見に行ってもよく分からず、楽しめないかもしれない。
私は事前に本を読んだり、ネットであらすじをチェックしたりしました。
(オチが分かっていても楽しめるというのが名作古典のすごさ)
今回も手持ちの本を再読。
個人的にオススメなのは人気作家三浦しをんさんの著作です。

文楽の若手技芸員を主役とした小説「仏果を得ず」、
文楽初心者向けのカジュアルなエッセイ「あやつられ文楽鑑賞」。
どちらにも、今回の第二部で演じられる「ひらかな盛衰記」「本朝廿四孝」が出てきます。
エッセイに登場する技芸員さんも出演されているので、
「ああ、本に出て来た人やー」と思いながら鑑賞しました。
事前に本を読んだり調べたりするのは面倒に思われるかもしれませんが、
スポーツ観戦の前にルールの概要をおさえておくのと同じようなものです。

行く空の
難波潟、芦火焚く家の片庇、家居には似ぬ里の名や、福島の地はおしなべて、
世をうみ渡る舟長のあるが中にも権四郎とて年も六つを十返りの、
松右衛門といふ通り名は養ひ婿に譲りやる…


福島が舞台の「ひらかな盛衰記」の「松右衛門内の段」「逆櫓の段」。
物語に出てくる福島はのどかな漁村(平家物語の時代)。
入り口に大きな松の木のある漁師の家、逆櫓の練習をする場面では青い海。
今の福島とは全然違う。
昔と今では大阪湾の海岸線は大きく異なっていますし
かつては安治川あたりは大阪湾の一部みたいな感じだったのかも?

「逆櫓の段」では追手に追われた松右衛門が
究竟の物見櫓、ござんなれ」と
自宅の松の木にのぼるシーンがあります。
今の「逆櫓の松」はヒョロヒョロ松ですが
かつては立派な大木だったらしい。
原作者はその松を見て、このシーンを思いついたのかもしれません。
人形が木を登るのは大変なことで、この段の見どころの一つでもあります。

四方をきつと見渡せば北は海老江、長柄の地、東は川崎、天満村、南は津村、三つの浜

淀川が付け替えられる前の話なので、
当時の海老江は淀川区・西淀川区と地続き。
たぶん、今とは全然違う景色が見えたのでしょう。

余所の千年は知らねども、わが身に辛き有為無情、
老ひは留まり、若きは逝く
世は逆まの逆櫓の松と朽ちぬその名を福島に枝葉をいまに残しける。


興味のある方は、文楽劇場で昔日の福島の風景を味わってみてください。
「本朝廿四孝」もきれいなお姫様や可愛い白狐が出てきて、面白いですよ。

国立文楽劇場(独立行政法人日本芸術振興会)」
住所:大阪市中央区日本橋1-12-10

初春文楽公演
場所:国立文楽劇場
期間:2013年1月3日(木)~2013年1月25日(金)(1/15は休演日)
備考1:第一部、第二部に分かれています。
備考2:一幕だけを観覧できる「幕見席」もあります。『ひらかな盛衰記』だけなら1500円(約2時間)。
    詳しくはこちら→「国立文楽劇場《初春文楽公演》 幕見のご案内


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