goo blog サービス終了のお知らせ 

精神世界と心理学・読書の旅

精神世界と心理学を中心とした読書ノート

濃密な経験から語られるコミュニケーション実践論

2017-02-11 10:00:51 | 自己啓発
◆『コミュニケーション力 (岩波新書)

他の著者の、コミュニケーションや対話に関する本もいろいろ読んでいるが、書かれている内容や、踏まえられている実践や経験の濃密さは、齋藤氏のこの本が群を抜いている。学生時代の「対話」に費やされた情熱や、大学の教室などでの膨大な実践での経験が凝縮されている。

この中で紹介されたいくつもの方法が、それぞれ独立の本となっている。『偏愛マップ』や『質問力』がその例だ。

現代の若者に欠けている対話やコミュニケーションの力、かつての日本には満ちていたが、現代の教育現場に欠けている身体に深く根差した教育力など、今の日本に欠けている大切なものを取り戻すために、この人の紹介する数々の実践的な方法を、もっと普及させるべきだと思う。

読書は一冊の本にまとめなさい

2009-06-27 18:42:18 | 自己啓発
◆『読書は1冊のノートにまとめなさい 100円ノートで確実に頭に落とすインストール・リーディング

同じ著者のベストセラー『情報は1冊のノートにまとめなさい 100円でつくる万能「情報整理ノート」 (Nanaブックス)』の続編である。

前著に比べるとあまり新鮮味はないかも、と思っていたが、とんでもない。著者が積み上げてきた方法はシンプルかつ合理的で、誰もが無理なく自分なりの工夫を加えて、楽しく、長続きできそうなのがよい。私もさっそくやり始めたが、こんな方法ならもっと以前からやっていればよかったと切に思った。そうすればもう少し蓄積が出来ただろうに。しかし、今からでもおそくはない。これまで読んだ本も含めて、この方法でせっせとノート作りしている。それで着実に何かが残っていく感じがする。

前著『情報は1冊のノートにまとめなさい 100円でつくる万能「情報整理ノート」 (Nanaブックス)』の要点は、A6のノートに、職場とプライベートと分けずに、メモを書くだけでなく、思いついたアイディアや企画など何でも順に書き入れるということだ。記入内容のそれぞれに090211などの日付と「企画:新しい旅のブログのアイディア」等の見出しをしっかり書き、時系列でどんどん書き込んでいく。日付と見出しだけはエクセルなどでパソコンに入力し、必要な時の検索に役立てる。これだとすべて一冊の小さなノートですむので、必要なメモをとるにも、ふと思い浮かんだアイディアを記入するにしても、すばやく負担を感じずにかんたんに書ける。誰もが使っているだろうメモ帳を、ちょっと意識してシステマックにすればきわめて有効なツールになるということだ。

読書は1冊のノートにまとめなさい 100円ノートで確実に頭に落とすインストール・リーディング』のアイディアはは、同じくシンプルで、コクヨの手のひら大の105円のノートに、ジャンルそのほか一切を問わず、1ページないし2ページで読書ノートを作っていくだけのことだ。ノートの仕方は「ねぎ間式」、大事だと思った箇所の引用とそれについての感想を、読んだところから次々書き重ねていくだけ。引用のあとにかならず一言でも自分の感想を付す。ノートと感想を交互にいれていくからねぎ間式。

小さいノートに1・2ページの分量なので大した書き込みはできないが、それでも何もノートをとらないよりははるかによい。これぐらいだったらめんどうくさがらずに気楽に記入できる。その本の私にとってのエッセンスがノートに残るわけだ。ノートが小さいからどこへでも持っていける。場合によっては電車の中で読んでいて印象に残ったところはその場でノートを取れる。

ノートをとることで記憶に残る。忘れないうちにその下に感想を書く。あとでまとまったレビューをするにも素材が出来上がっているわけですこぶる便利だ。いつも手元に持っていられるから、閑なときに復習することもできる。人と会話中に忘れたことなど、必要なときにとりだして確認することも出来る。

きわめてシンプルだが、試してみる価値はある方法だ。

『マインドマップ読書術』松山真之介(ダイヤモンド社2005年)

2007-08-04 22:24:37 | 自己啓発
マインドマップ(Mind Map)という手法がある。トニー・ブザンが提唱した、図解表現技法の一つだという。「表現したい概念の中心となるキーワードやイメージを図の中央に置き、そこから放射状にキーワードやイメージを繋げていくことで、発想を延ばしていく図解表現技法」とのこと。本書は、この手法を読んだ本の読書ノートとして使おうという内容である。

確かに、本を読んだすぐあと、あるいは読んでいる最中でも、忘れないうちに読み取ったことをメモすることは重要だ。しかし、文章で書くのはまとまった時間がいるし、単語の羅列程度ではものたりない。そんな時、マインドマップで本の裏表紙の反対側にでも図解しておくと、あとで文章化するにも非常に便利だ。実は、この文章もマインドマップ化したものを元に書いている。とても書きやすい。

マインドマップの手法が、単なる図解と違うのは、思考の流れにそったリアルタイムの構造化ができるということだ。あらかじめ整理されたものを図解するのではなく、図に記入しながら思考が整理されたり、新たなアイディアが生まれたり、発想の拡大が生じるということだ。幹をなす部分から枝へと樹系の構造で描いていくが、思考の流れや転換や飛躍をそのまま表現していけるので、非常にクリエイティブな作業になる。

読んだ本についてこれを行う場合も、本の内容を忠実に写すのではなく、そこから自分が得たインスピレーションを自由に追加していってよい。それでこそ、本を読むことがより創造的な営みとなる。常に新たな発想を付け加えつつメモをとることで、本の読み方が変ってくる。速読をした後のアウトプットという意味も持つだろう。

本の裏に乱雑に描いたマップをもう一度白紙に書き写してもよい。しかし、その時にはまた新たな発想が付け加わっているだろう。そうして出来上がった用紙をファイルすれば、立派な読書ノートになる。

マインドマップの技法そのものは、本のまとめ以外に様々な場面でつかえる。会議の場での様々意見をマインドマップにしながら、自分の意見をそこに展開していくのもよい方法だ。現在の自分の心を構造化し、視覚化するのもよいだろう。ヴィパッサナー瞑想でいう心随観をグラフィックに行うという発想だ。あるいは、短期、中期、長期の自分の目標なり必要な行動なり、やりたいことをマインドマップかするのもよい。大いに利用すべきだ。ある意味で、これは心の曼荼羅を描く作業だろう。

『齋藤孝の速読塾』齋藤孝(筑摩書房2006年)追加

2007-07-29 13:09:47 | 自己啓発
いくつか、これはやってみたいということを追加しておく。

1)速音読
読んでも頭に入ってこない時にやるといいという。これをやると、脳がひじょうに高速回転して、黙読するより速く読めるとか。自分の口の限界まで、早いスピードで音読する。できるだけ息を長くして、一息で3から4行読む。「速音読」は、見て、聞いて、理解するという、さまざまな脳の機能を使い、脳を分割利用するので、脳を活性化するという。

2)外国語の本の「速音読」
英語の本を一冊、1時間でも2時間でも音読を続ける。音読して6~7割理解できるものを何回かこなしてから、ワンランク上にすすむ。

3)呼吸法とセットにして読む
ゆっくりリズムカルに呼吸しながら読んでいると、息がスーッと止まっているような静かな状態が訪れ、それが集中状態とピッタリ重なるという。

リズムは、鼻から3秒程度吸って、軽く2秒、息を止め、次に口をすぼめてゆるやかに10から15秒かけて長くゆっくり息を吐く。一分間に3・4回というペースである。

呼吸はゆっくりなのに、脳と目が速く動くという連動になれると、集中しながら脳はフル回転させることができるという。

呼吸を意識しながら集中して本を読むことは、読むことを瞑想として行うということで私にとってもきわめて重要だ。

◆これは教える技術としてぜひ使ってみたいのだが、句読点のところでどんどん交代させながら、本を生徒に読ませるのは、きわめて効果があるという。眠る生徒、サボる生徒が出ず、生徒も読んだという充実感を感じるという。

この他にも、自分の読書に取りいれてやってみたいノウハウがたくさん詰まった本だ。さすがである。

『齋藤孝の速読塾』齋藤孝(筑摩書房2006年)

2007-07-28 22:03:18 | 自己啓発
かつて『速度勉強術』宇都出雅巳著 (すばる舎 2007年) という本を読んだ。すみからすみまでゆっくり一度読むよりは、ざっとでもよいから何度も反復してよんだ方が記憶や理解ができる、という主張。ざっと読んで本の全体像をつかんでおくことは、非常に大切だ。重要箇所を拾って何回も回転させて読む速読法は、私にとって画期的で、それ以来本の読み方も読書への意識も確実に変った。この読書法に変って大きな喜びを得たが、ただこの2週間ほどは、また昔の読み方が懐かしくなり、迷いが生じていた。

齋藤孝のこの本を読んだおかげで、また「高速回転法」としての速読法の素晴らしさを再確認し、意欲を取り戻す形となった。もちろん、この本独自のよさもあるので、速読法に疎い人も、すでに多くの速読法に詳しく、いろいろ試みている人にも、充分に読む価値があると思う。

ポイントは、キーワードを絞り込んで、それをひたすらマークしていく方法と、引用すべきベスト3を見つけるという目標をもって読む「引用ベスト3方式」である。

「高速回転速読法」の問題は、「ざっと読む」時にどの部分をざっと読むかだ。目次を読んだり、前書き・後書きを読んだり、何回か、ページを最後までめくっているうちに重要箇所や興味を引く箇所が出て来るのも確かだが、なおどこを読んだらよいのか明確にならない時もある。

そんなとき、「キーワード・マーク法」は役に立つ。その本のキーワードベスト3を探しておいて、ともあれキーワードにマークをつけていくのだ。内容を理解している否かは気にしない。キーワードをつける作業に間に無意識にうちに様々な情報が飛び込んでいるからだ。そうすると、その本の重要箇所も見えてくる。

そうやって重要箇所が分かったら、今度は、引用する価値のあるベスト3を探しながら読んでいく。そういう目標を設定することで、その本の本当に重要な箇所をさらにしぼりこんで行くことができるだろう。

このよう重要箇所をピックアップして読んでいく速読法は、やってみるとその素晴らしさがよく分かるのだが、この本は、そういう速読法の、知っていて損はない他の様々なテクニックが随所に散りばめられており、私には本当に参考になった。

たとえば、重要箇所が分からなくとも、とりあえず一ページにつき一文、目に飛び込んだ文章を読んで行く。なるほど、これなら、迷うことなくともあれ「ざっと」最後まで読める。これを繰り返すことで自ずからそのページの本当に重要な箇所を即探し出せる力がつく。

このようなテクニックを使ってベスト3を決めたら、ルーペ感覚でそこをフォーカスして、少し詳しく見ていく。そして「引用ベスト3箇所」は何回か人に話すことで完全に自分の見につけてしまう。

著者は、速読法をヘリコプターでの移動にたとえている。「ペリコプターで重要な荷物を拾いながら、いちおう最終目的地まで飛ぶ。最重要な身もつは最初の一回の飛行で拾ったので、次のフライトでは二番目に重要なのを拾います。それを4回、5回とやっているとその風景を覚えてしまいます。」

ヘリコプターのように何度も飛べば、地上を一歩一歩、歩いていたのでは見えない風景を、何度も繰り返して見ることになり、目に焼き付けてしまう。まさにこれが速読法の醍醐味だろう。