ぶらぶら★アフリック

アフリカ・プロモーター、ンボテ★飯村がお送りする100%アフリカ仏族ぶらぶらトーク!

農耕民と牧民(1)~サヘルで危ぶまれる共存関係

2016-05-10 07:30:33 | アフリカ情勢
きょうから何回かに分けて、西アフリカで高まっているある緊張についてお話したい。


ンボテの住むコートジボワール。高い経済成長と紛争からの驚異的なV字回復を見せ、海外投資もますます旺盛。しかしこのブログでも何度も繰り返しているが、アキレス腱は「国民和解」と「社会統合」にある。特に後者は容易な課題ではない。コートジボワール危機により顕在化した問題のみならず、この国には社会的、伝統的なモザイクが存在してきたからだ。


そんな中、一つ注目される動きが常に視界にとどまってきた。ここ1~2ヶ月、この国の極北西部、ブルキナファソ国境に近い内陸部、乾燥帯に近い気候に位置するブナという町の周辺で、コミュニティ間の諍いが物理的な衝突へと発展し、継続している。

もともとこの地域にはロビ族を主とする農耕を営む定住民と、プール族を主とする移動放牧が共存。しばしば水や土地、耕作物への被害などを巡る衝突が生じてきた。その古傷が再び再燃したのだ。

RFIウェブサイトより


今回の衝突の始まりは3月24日から25日にかけて。交戦は斧や銃器を持ち出すなど激化し、車両や市場も放火された。小さな辺境の町は一晩で約20名の犠牲者出す事態に苛まれた。600人規模のコートジボワール治安当局と、国連コートジボワールミッション(ONUCI)のセネガル舞台が駆けつけ、展開した。

その後も衝突は繰り返され、これまでに死者33人、負傷者約50人、そして避難民約2,000人が生じている。


こうした事態を受け、4月30日、アラサン・ワタラ大統領は、首相、国防大臣、内務大臣をつれた「異例の」ハイレベルミッションでブナを訪問。ロビ、マレンケなど主要部族の首長と対話を行い、すべての当事者に冷静を呼びかけた。

そしてワタラ大統領のメッセージ。
「このような衝突を繰り返さないためにも、和解に向けて動き出さなければならない。放牧民、農耕民がぶつかり合わないよう、境界を設ける措置をとる。そして放牧に関してはもっと現代にあった畜産業に移行していかなければならない。」

大統領は事態の平静に尽力することをコミット。出身地にも近い北東部の問題、ここでも指導力を発揮、といったところだ。

しかしこのメッセージには大きな危険が潜んでいる。特に赤字部分は特に注目される。社会と暮らしの変容と伝統的営みへのインパクト。社会的権力構図の変化。これはコートジボワールに限ったことではではなく、サヘル全体を取り巻く深い問題となっている。そしてそれが過激派思想にもつながっていると指摘する向きもあるのだ。


(つづく)

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