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「混ぜるなキケン?!」季節の変わり目にご用心〜農耕民と放牧民(6)

2017-04-07 08:30:16 | アフリカ情勢
日本では冬から春への変わり目、三寒四温の毎日といったとこだろうか。

当地、西アフリカのギニア湾岸は灼熱の毎日。これでもかと太陽が照りつける。そして湿度90%、不快指数は最高潮!

なんて茶化している場合ではない。当地は不快な季節が続いているが、いまが乾季の最終期。もうあとひと月あまりすれば雨が降り出してくるだろう。季節の変わり目。


アフリカではとても「四季」を感じる場面はない。基本は「二季」。乾季が、雨季かだ。この季節の変わり目には要注意だ。何にって?カゼに?お肌に?いやいや、事情は少し奥深い。

(空撮、ニジェール・ブルキナ国境)



西アフリカのサハラ砂漠周辺のサヘル地方では、「二季」がはっきりしすぎている。雨季の最後、9月に雨が降ったあと、基本的には翌年の5月前後まで、雨が降らない。降雨が少ないのではない。全く、ほとんど一滴も降らない。

大地は雨季に蓄えた水分で、めいいっぱいの潅木と草を育てる。毎年の年末は、ステップでも緑が残る季節だ。農民は一斉に種をまき、牧民は家畜にいっぱいの水を飲ませる。

しかし季節が進み、2月、3月となると、次第に水は渇き、草は枯れ、サヘルの大地に再び茶褐色のモノトーンがやってくる。放牧民は自然と牧草と水を求め、南に下っていく。


昔はよかった。国境もなければ、土地権も水利権もない。しかし近代国家が形作られるようになると、土地や水は誰かのものとなり、さまよえる民はだんだん周辺領域に押しやられていく。

乾季の後半、特に四月に入ってからは、マリやブルキナファソの放牧民がコートジボワールやトーゴなど、ギニア湾沿岸諸国の領域に移動し、放牧をすることが許される。いや、歴史的に許されてきた。

しかしここへきて、大きな問題が生じつつある。


放牧民の多くはプール系といわれる部族。東はセネガル、モーリタニアから、西はチャド、スーダンに至る広域に暮らし、歴史的には家畜という財産を持った「富裕層」であった。しかし「近代国家」が形作られたいま、上述のように、伝統的な放牧民は周辺領域に追いやられている。限られた土地と水を巡り、農耕民と放牧民がぶつかり合うシーンが相次いでいる。

季節の変わり目にご用心。

近代国家の形成ののち、さらに現代的事情により、この季節の変わり目が危うくなっている。「混ぜるなキケン?!」続きは次回に。

(つづく)




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