アフリカ情勢のログが続き、連載が中断となっていたシリーズ、「パリを歩けば」。本日から残り二話を掲載。
(前号までのあらすじ)
パリを訪問したンボテ、さっそくタクシーでカメルーン人ドライバーとの小さな出会いを経験する(第一話)。そしてパリのアフリカを求め、久々にChâteau Rougeを訪問。しばしのプチ・アフリカを楽しんだ(第二話)。
Château Rougeを堪能したンボテは、戻って仕事を続けることにした。
でも、もうちょっとだけ寄り道しようか?
そう。Château Rougeは、パリ18区。ここは治安が悪い地域があることでも知られているが、実はパリで一番の人気スポット、観光地としてもかの有名なモンマルトルの丘に隣接する。18区はかように多様性に富んでおり、性格の異なるカルティエが狭い範囲にひしめき合う。
ンボテはモンマルトルからパリ市街を眺めて、常宿に戻ることとした。ここはンボテもパリで好きな場所の一つだ。
アフリカ話じゃないじゃんって?まあ、少しお待ちを。
そして丘の上に立つ教会の広場では黒山の人だかりが。なんだろう?そう、大道芸が行われていた。しかしこれがかなりスリリングなものだった。
丘の上につづく長い階段。そのてっぺんにある門の上で、サッカーボールを巧みに操り、リフティングをしている黒い人がいたのだ。
そして彼はリフティングを続けたまま、高い電灯の上まで登りつめていったのだった。
15分ほど続いたパフォーマンスが終わると、いっぱいの観衆で溢れる広場は拍手喝采の海となった。そして彼を取り囲み、一斉に握手を求め、チップを投じた。
なんという平衡感覚、身体能力!これはアフリカ人に違いない。ンボテも彼と話してみることにした。ひととおり観衆と握手を終えた彼に近づいた。小柄で屈託のない笑顔を浮かべる彼は、まだまだ若そうな男の子だった。
ンボテ「ブラボー!感動した。すごいね~。」
パフォーマー「メルシー、メルシー!」
ンボテ「個人的な話ですまないが、お国はどちらなんだい?」
パフォーマー「ぼくはギニアという国の出身なんだ。キミはアフリカのこと、知っているかい?」
ンボテ「もちろん知っているさ、だから話しかけたのさ。その上、ぼくもちょうど先月、コナクリを訪問したばかりだ。タナムリー!」
パフォーマー「タナムリー!ほんとう??そりゃビックリだ。うれしいよ、ギニアを知ってる人に出会えるなんて。自分は高地ギニア地方(Haute Guinée)の出身なんだ。何もないいなかだったけど、むかしからサッカーだけは誰にも負けなかった。いまはここで演技をして、お客さんに喜んでもらって、身を立てているんだ。」
ンボテ「ギニアにはたまには戻っているの?」
パフォーマー「そんなに頻繁じゃないけど、いったりきたりだよ。兄弟たちにも励まされてる。」
ンボテ「こんど、詳しくお話を聞かせてくれよ!」
パフォーマー「もちろんさ、ぼくの連絡先はここ。」
名刺を差し出して、にこやかに答える彼。
最後に記念撮影をパチリ。
パリか、はたまたコナクリか。再会を誓ってモンマルトルの丘をあとにした。パリで感じるアフリカの旅。この話はまだ先に続くのだった。
(つづく)
(前号までのあらすじ)
パリを訪問したンボテ、さっそくタクシーでカメルーン人ドライバーとの小さな出会いを経験する(第一話)。そしてパリのアフリカを求め、久々にChâteau Rougeを訪問。しばしのプチ・アフリカを楽しんだ(第二話)。
Château Rougeを堪能したンボテは、戻って仕事を続けることにした。
でも、もうちょっとだけ寄り道しようか?
そう。Château Rougeは、パリ18区。ここは治安が悪い地域があることでも知られているが、実はパリで一番の人気スポット、観光地としてもかの有名なモンマルトルの丘に隣接する。18区はかように多様性に富んでおり、性格の異なるカルティエが狭い範囲にひしめき合う。
ンボテはモンマルトルからパリ市街を眺めて、常宿に戻ることとした。ここはンボテもパリで好きな場所の一つだ。
アフリカ話じゃないじゃんって?まあ、少しお待ちを。
そして丘の上に立つ教会の広場では黒山の人だかりが。なんだろう?そう、大道芸が行われていた。しかしこれがかなりスリリングなものだった。
丘の上につづく長い階段。そのてっぺんにある門の上で、サッカーボールを巧みに操り、リフティングをしている黒い人がいたのだ。
そして彼はリフティングを続けたまま、高い電灯の上まで登りつめていったのだった。
15分ほど続いたパフォーマンスが終わると、いっぱいの観衆で溢れる広場は拍手喝采の海となった。そして彼を取り囲み、一斉に握手を求め、チップを投じた。
なんという平衡感覚、身体能力!これはアフリカ人に違いない。ンボテも彼と話してみることにした。ひととおり観衆と握手を終えた彼に近づいた。小柄で屈託のない笑顔を浮かべる彼は、まだまだ若そうな男の子だった。
ンボテ「ブラボー!感動した。すごいね~。」
パフォーマー「メルシー、メルシー!」
ンボテ「個人的な話ですまないが、お国はどちらなんだい?」
パフォーマー「ぼくはギニアという国の出身なんだ。キミはアフリカのこと、知っているかい?」
ンボテ「もちろん知っているさ、だから話しかけたのさ。その上、ぼくもちょうど先月、コナクリを訪問したばかりだ。タナムリー!」
パフォーマー「タナムリー!ほんとう??そりゃビックリだ。うれしいよ、ギニアを知ってる人に出会えるなんて。自分は高地ギニア地方(Haute Guinée)の出身なんだ。何もないいなかだったけど、むかしからサッカーだけは誰にも負けなかった。いまはここで演技をして、お客さんに喜んでもらって、身を立てているんだ。」
ンボテ「ギニアにはたまには戻っているの?」
パフォーマー「そんなに頻繁じゃないけど、いったりきたりだよ。兄弟たちにも励まされてる。」
ンボテ「こんど、詳しくお話を聞かせてくれよ!」
パフォーマー「もちろんさ、ぼくの連絡先はここ。」
名刺を差し出して、にこやかに答える彼。
最後に記念撮影をパチリ。
パリか、はたまたコナクリか。再会を誓ってモンマルトルの丘をあとにした。パリで感じるアフリカの旅。この話はまだ先に続くのだった。
(つづく)