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コートジボワールとブルキナファソの不穏な関係~ソロとジダ(2)

2015-11-05 07:30:39 | アフリカ情勢
先日の記事でお話ししてから少し時間が経ってしまったが、ブルキナファソ政変劇をめぐる不穏な動きについて、続編を。ジブリ・バソレ元外相の関与はあったのか?コートジボワール国民議会議長、ギョーム・ソロの教唆はあったのか?外電情報から読み取れる内情について続けて見ていこう。

※まだお読みまでない方は前編からどうぞ↓
コートジボワールとブルキナファソの不穏な関係~ソロとジダ(1)


ソロとバソレのコンタクト。ジダ首相筋やブルキナファソ高官からの情報によれば、ソロにはクーデター勢力や旧コンパオレ派の同僚を支援する意図はなかったという。また両氏の関係筋によればソロはいつもバソレをアニキ分として慕ってきた。今回の政変劇の最中に会話が取り交わされてきたとしてもそこに不自然さはなく、ましてやクーデターへとは無関係、としている。


しかしブルキナファソ当局はソロとバソレの連携軸に強い関心を抱き、10月6日、ワガドゥグにあるソロの別邸を家宅捜索した。その結果、10着あまりの防弾チョッキを押収した。ソロの側近筋は、この家は仮の別宅にすぎず、ブルキナファソ当局のこじつけであると批判した。

ちなみに後日のJeune Afrique.の記事ではこの家宅捜索が、コンパオレ前大統領のシャンタル夫人邸、元大統領顧問ムスタファ・シャリ邸に対する誤捜査であったことが報じられている。

(ブルキナファソクーデター劇の登場人物。Michel Kafando, Yacouba Isaac Zida, Gilbert Diendéré, Chérif Sy, Pingrenoma Zagré.。Jeune Afriqueウェブサイトより。)



ソロにかけられる嫌疑にはいくつかの疑義がある。第一に、盗聴記録が本当にあるのか、あるとしたら本当に彼らの通話なのか。現代の技術では工作することも可能だ。

第二に、直前の数ヶ月間、盗聴部隊は特に大統領府ディエンデレの配下にあり、それは9月29日の国軍による攻撃まで続いてきた。なぜ、どのようなルートでそれが暫定政権当局の手に渡ったのか?取引があったのか、あるいは第三国が関与しているのか。謎は深まる。


再びソロとジダの関係に戻ろう。前号の記事でも触れたが、ソロとジダには古くからの関係がある。彼らが今日それぞれの地位にいるのは、お互いの関係があってのことなのだ。

話は2000年に遡り、当時アラサン・ワタラ氏(現コートジボワール大統領)が政権から排除された時分、コートジボワール学生連盟(FESCI)のリーダーであったソロは、ワタラ氏親派の幹部とともに国を追われ、ブルキナファソに逃亡する。ジダは彼らを庇護した。

2002年9月、ソロ率いる北部勢力(Force Nouvelle: FN)がコートジボワール北部で蜂起した時分、ディエンデレはコンパオレ政権の参謀長として右腕を務め、ジダはリエゾン将校を果たした。北部の反政府勢力はその後、コートジボワールの北半分を勢力下に収め、2010年に至るまで実効支配したが、この裏にはワガドゥグからの支援があったというわけだ。ジダの支援なくして、この実効支配はなかったと言えるほど、不可欠なものだった。

そして2011年、コートジボワール危機が「軍事的に」収束すると、ソロとジダはそれぞれの道を歩んでいく。


その後、二人の関係が決定的に崩壊するきっかけとなったのが2014年10月31日のクーデターであった。ソロはコンパオレの忠臣中の忠臣である。ジダが混乱に乗じて、トマ・サンカラ気取りで市民社会の反コンパオレ運動(Balai citoyen)と同調し、政権を自らのものとしようとしていることは、ソロには気に入らなかった。少なからずの反抗分子が国外に逃亡していることを暗示しつつ、それは大変危険なことだと指摘している。


コンパオレ政権倒壊の行き足に乗りたいジダ。クーデター未遂は、残存するコンパオレ体制の象徴を一掃するよい口上となった。ディエンデレの政変で、ジダは旧大統領派の精鋭、大統領警護隊(RSP)の解体を示唆。政変未遂に関与した勢力の一掃を図る時が来た、としている。「現実となったものが真実。最後に笑うものが笑う」と。


ジダはこのまた恩義も旧友にも背いてわが道を進むのだろうか。ソロは彼がそうすることを厭わない人物だと知っている。人呼んで「ずる賢くて野心的」、側近によれば2020年の大統領選挙に出馬する強い意志を持っているという(今回の選挙には、暫定政権からの立候補はできない)。

コートジボワール側の旧武装勢力派(現政権派)からすれば、彼らの家(chez eux)と思っていた隣国に、自分たちと敵対する政権が生まれるのではないかと懸念している。しかしジダもまたブルキナファソがどれだけ隣国に救われているか、知らないわけではない。ここに両者のこんがらがった糸を解く鍵がある。

(おわり)

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2 コメント

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Unknown (堀本隆保)
2015-11-06 00:32:44
ンボテさん そんなどろどろ話、あったんですか。ワタラさんは民主化の旗手とみたが、サンカラを抹殺した悪名?高いコンパオレに支援されていたんですね。でも、もういいかげんに内戦だけはやって欲しくないです。
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Re:Unknown (ンボテ)
2015-11-06 11:49:37
堀本さん、ディープなコメントありごとうございます。ワタラ大統領をめぐるストーリーについてもこのブログにいろいろ書いてきましたのでよかったら見てください。それにしてももう内戦のようなことは繰り返して欲しくない、本当にそう思います。
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