このブログでもしばしば綴ってきたが、マリ情勢がいよいよ怪しい。ちょうどアルジェ和平合意が結ばれてから一年。しかし遅々として履行が進んでいない。そんな中で、北部におけるイスラム武装勢力の帰還、国連マリ統合多次元ミッション(MINUSMA)やマリ国軍に対する敵対行動の頻発化が危惧される。
他方、もっと心配に見えるのが、質的な変化。一つには武装勢力の内製化。過去、外来と言われた武装勢力は、もはやよそ者ではない。そこに住むマリ人を取り込んで広がりを見せている。もう一つはフロントラインの南下。武装勢力の影響は、ニジェール川を超え、過去の南北分断ラインも超え、モプチ州やブルキナファソ極西部、コートジボワール極北部にも及んでいる。
ベナン、ニジェール、ブルキナファソ国境が交差する国立公園パーク・ドゥブルベが、一つのアジトとなっていることがテロ実行能力拡大の一つとも指摘される。このような中でバマコ(マリ)、ワガドゥグ(ブルキナファソ)、グランバッサン(コートジボワール)での襲撃テロは敢行された。
パルク・ドゥブルベ(Parc W)にはいってはいけません〜西アフリカの動物事情(6)
ここへきて、さらに注目される動きがいくつかある。
一つは武装勢力のマリ内製化における最大の組織、マシーナ解放戦線(FLM: Front de libération du Macina)が、初めてとなるビデオメッセージを発出した。
Le Front de libération du Macina menace la France et ses alliés dans une vidéo(RFI)
FLMはマリ南部に本拠を置くプール族系武装勢力。このRFIの記事では、「ジハードグループ」と紹介されているが、これには疑義もある。首謀者アマドゥウ・クファもプール系のフラニ族。北部イスラム武装勢力アンサール・ディーンを率いるイヤド・アグ・ガリと親しく、またサヘル最大のイスラム武装勢力「マグレブ諸国のアルカイダ(AQMI)」やその傍系でモクタール・ベルモクタールが率いる「アル・ムラビトゥーン」とも共闘関係にあると警戒されてきた。
しかし、このFLM、これまで公式なメッセージや声明を出してこなかったため、その存在を含め疑義が向けられてきた。今回のビデオメッセージは、2015年に姿を現してから初めてのメッセージとなる。
このクリップでは、上記のアンサール・ディーンとの同盟関係、AQMIとの連繫関係を明言し、自らを「南部における一部隊[Katiba du Macina d'Ansar Dine]と称している。
ビデオには約二十人の戦闘員が映されており、そのいずれも肌の色が黒い。そのうちの一人、かなり若年のメンバーが、プルアール語とアラビア語で、フランス、アメリカ、その他すべてのマリへの侵略者に対する敵対行動を予告した。
またシェイク・ヤヒヤを名乗る男が、マリ二いる外国人を襲撃すると警告。モプチの西700キロに位置するナラでのマリ国軍襲撃事件の犯行も自らのものであると声明したという。
このビデオメッセージ、武装勢力がブラックアフリカンに内製化されていることを特に主張した構成であると受け止められる。
(つづく)
他方、もっと心配に見えるのが、質的な変化。一つには武装勢力の内製化。過去、外来と言われた武装勢力は、もはやよそ者ではない。そこに住むマリ人を取り込んで広がりを見せている。もう一つはフロントラインの南下。武装勢力の影響は、ニジェール川を超え、過去の南北分断ラインも超え、モプチ州やブルキナファソ極西部、コートジボワール極北部にも及んでいる。
ベナン、ニジェール、ブルキナファソ国境が交差する国立公園パーク・ドゥブルベが、一つのアジトとなっていることがテロ実行能力拡大の一つとも指摘される。このような中でバマコ(マリ)、ワガドゥグ(ブルキナファソ)、グランバッサン(コートジボワール)での襲撃テロは敢行された。
パルク・ドゥブルベ(Parc W)にはいってはいけません〜西アフリカの動物事情(6)
ここへきて、さらに注目される動きがいくつかある。
一つは武装勢力のマリ内製化における最大の組織、マシーナ解放戦線(FLM: Front de libération du Macina)が、初めてとなるビデオメッセージを発出した。
Le Front de libération du Macina menace la France et ses alliés dans une vidéo(RFI)
FLMはマリ南部に本拠を置くプール族系武装勢力。このRFIの記事では、「ジハードグループ」と紹介されているが、これには疑義もある。首謀者アマドゥウ・クファもプール系のフラニ族。北部イスラム武装勢力アンサール・ディーンを率いるイヤド・アグ・ガリと親しく、またサヘル最大のイスラム武装勢力「マグレブ諸国のアルカイダ(AQMI)」やその傍系でモクタール・ベルモクタールが率いる「アル・ムラビトゥーン」とも共闘関係にあると警戒されてきた。
しかし、このFLM、これまで公式なメッセージや声明を出してこなかったため、その存在を含め疑義が向けられてきた。今回のビデオメッセージは、2015年に姿を現してから初めてのメッセージとなる。
このクリップでは、上記のアンサール・ディーンとの同盟関係、AQMIとの連繫関係を明言し、自らを「南部における一部隊[Katiba du Macina d'Ansar Dine]と称している。
ビデオには約二十人の戦闘員が映されており、そのいずれも肌の色が黒い。そのうちの一人、かなり若年のメンバーが、プルアール語とアラビア語で、フランス、アメリカ、その他すべてのマリへの侵略者に対する敵対行動を予告した。
またシェイク・ヤヒヤを名乗る男が、マリ二いる外国人を襲撃すると警告。モプチの西700キロに位置するナラでのマリ国軍襲撃事件の犯行も自らのものであると声明したという。
このビデオメッセージ、武装勢力がブラックアフリカンに内製化されていることを特に主張した構成であると受け止められる。
(つづく)
アフリカでの実際の生活や、日本のニュースだけでは分からない話があり興味深く読ませていただいています。
いろんな事があると思いますが、ンボテさんご自身もお気をつけてお過ごしください。
いつも貴重な情報をありがとうございます。