ぶらぶら★アフリック

アフリカ・プロモーター、ンボテ★飯村がお送りする100%アフリカ仏族ぶらぶらトーク!

ボロレ疑惑~仏系巨大ロジスティック企業にかかる嫌疑

2016-04-19 07:30:59 | アフリカビジネス
ンボテのトーゴ出張中の話。選挙でもなければそんなにアフリカニュースではハイライトされる機会の少ないこの国。しかしその日、この国名が何度となく繰り返されていた。 ニュースが伝えているのは、「ボロレ社」をめぐり持ち上がってきた、ある疑惑についてであった。


ボロレ・トランスポート・アンド・ロジスティック社。世界に幅広く展開する陸海ロジスティックネットワーク。通信事業、広告、多様なビジネス。そして巨大な資本、政治力。。。この大企業を形容する言葉は尽きない。

西アフリカはグループ企業、「ボロレ・アフリカ・ロジスティック社」のテリトリーだ。港湾、鉄道、運輸界では独占的地位を持つ。なかんずくフランス語圏における絶大なる存在感は論を待たない。ある会議の昼食会で、西アフリカのある政府高官はこう述べた。「ボロレはギニア湾のほとんどの港の権益を握り、息も漏らさず内陸に物流を通している。アフリカの声を挟む余地はない」。またある仏関係筋からは「アフリカの政府はもとより、フランス政府でも御しがたい存在」との話も聞かれる。


そのボロレ社にかけられた嫌疑、捜査線上の舞台となっているのがギニアのコナクリ港とトーゴのロメ港なのだ。

(アビジャン港)


13日のフランス国際ラジオ放送(RFI)の記事は次のように伝えている。
ロメ・コナクリ港のコンセッション、ボロレ本社に捜査の手
Concessions des ports de Lomé et Conakry: perquisition au siège de Bolloré


8日(金)、パリに位置するボロレ本社に捜査の手。対財務・資金不正中央捜査局は、コナクリとロメの港湾コンセッション獲得の条件に関し、立ち入り調査を行った。

本件に関し、捜査はすでに10年にわたり行われてきた。これまで表に出てこなかったのは、ボロレに直接向いていなかったからだ。

当初、捜査の矛先は、アフリカにネットワークを広げるホテル業界大手、ペファコ社に向けられた。そしてその捜査の中で、ジャン・フィリップ・ドランなる人物が浮上。コミュニケーションを業とするアバス社の社長で、この会社の株式の60%をボロレ・グループのヴァンサン・ボロレ会長が保有していたのだ。

アバス社は2010年、トーゴのフォール・ニャシンベ大統領と、ギニアのアルファ・コンデ大統領の二つの選挙キャンペーンを請け負った。その年、ニャシンベ大統領が当選すると、ボロレはロメ港のコンテナターミナルのコンセッション契約を獲得した。そして2011年、つまりコンデ大統領当選の翌年に、ギニア政府はコナクリ港の既存のコンセッション契約を解約し、ヴァンサン・ボロレに信頼が託されることになった(その前には25年の契約交渉があったのだが)。それぞれ、仏系競合からは抗議の声が挙げられた。

ボロレ社がAFPにあてた声明では、「2011年以降、政治的なつながりは一切なかった」と断言している。また顧問弁護士は大統領選挙キャンペーンとコンセッション受注の関係は「確証がなく」、「幻想の域を出ない」と断じた。



また別の記事はこう論じている。
ボロレ社のロメ港コンセッション契約、トーゴ野党が釈明を求める
Concession du port de Lomé à Bolloré: l’opposition togolaise exige des comptes


パリに近い本部への立ち入り調査を受けたボロレグループ、新しいリアクションがあった。・・・トーゴでは、(ニャシンベ大統領が当選した)2010年にボロレ社がコンテナターミナルのコンセッションを獲得しているが、・・・これに対し、野党「変革のための国民連合」(ANC)党首で大統領候補だったジャン・ピエール・ファーブル氏が、当局に事実関係を釈明するよう求めた。

「ロメ港のコンセッションが譲渡されたとして驚くに当たらない。それは十分想像に値することだ。」とファーブル氏。



実はこんな話があるのではないか、ということは、過去から話題にはなっていた(特にコナクリ港)。しかし明確な形で捜査に至ったのは今回が初めてだ。

奇しくもこの週発売の'Jeune Afrique'誌、中綴じのEcofinanceコーナーでは、グルーブ企業の副社長に就いた現会長の子息、シリル・ボロレ氏(30)をハイライト、また同号の「値千金の回廊」(Logistique, des corridors qui valent de l'or)と題する記事でもボロレ社が取り上げられている。



東アフリカ、南部アフリカにもアグレッシブに攻勢をかけるボロレ社、お膝元の嫌疑は晴れるのだろうか?そしてその影響はいかに?絶大な力がゆえに、その行方には大きな関心と注目が集まっている。

(おわり)

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。