アフリカ・フランスサミット(→関連記事)が進行する中、12月5日、ニューヨークでは国連安全保障理事会で中央アフリカ情勢が審議された。
同日のフランス紙'Figaro'は、このニュースを大きく取り上げている。
(写真・12月5日付Figaro紙)
忘れ去られた暗黒大陸、中部アフリカに位置する中央アフリカ共和国。崩壊国家の系譜には言いたいことがたくさんあって、語り尽くせない(→参考記事「祝・中央アフリカ共和国独立記念日」)。
きょうは、ンボテの前職柄(自衛業、関連記事はこちら)、恐縮ながら背景情報をすっ飛ばして、いきなり軍事作戦にフォーカスしたい。
この日の安保理は極めて重要なセッション。アフリカ連合管轄下に置く「中央アフリカ支援国際ミッション」(Mission Internationale de Soutien à la Centrafrique: MISCA)に、国連憲章第7章(強制力による紛争の解決)に基づく軍事介入のマンデートを与える決議を全会一致で採択した。
この部隊は、すでに中央アフリカに展開する「中央アフリカ展開多国籍軍(Force Multinationale d’Afrique Centrale : FOMAC ※略称、訂正しました)を、国連マンデート下に移行させるもの。アフリカ連合管轄とし、作戦期間は12ヶ月。人員は原員の2500名から、3600名に増強される。
しかし最も重要なのはこの先。安保理はこれに加え、MISCAの支援を行うとの「建て付け」で、仏軍にも軍事介入のマンデートを付与した。マリへの軍事介入から約11ヶ月。再び仏軍による強制力が発動する。
この仏軍の作戦概要は、12月4日の仏紙'Le Monde'で報じられている。作戦名は'SANGRIS'(サングリ)。中央アフリカの森林に生息するエキゾチックな蝶の名を冠した。
作戦目的は上述のとおり、MISCAの支援だが、実際には主要地域をコントロール下に収め、中央アフリカの治安と秩序を物理的に回復することにあるといってよいだろう。主要な作戦の期間は4~6ヶ月とされる。
以前より首都バンギのムポコ空港には約400名の仏軍が駐留。先週末には、このサングリ作戦とは別に増強され、600名が駐留する。
域内に駐留する仏軍は、 この600名を含みざっと2800名規模。チャドに950、ガボンに900、そしてカメルーンに350だ。仏は安保理決議を待たず、本国からの動員を含め準備を開始、この作戦には約1200人を動員見込み。今回の主力作戦部隊と見られる第2海兵歩兵連隊(Rima)と、第8海兵歩兵空挺連隊(Rpima)のうち2個中隊をカメルーンのドゥアラに移送。部隊はすでにカメルーンを通過し、一部はバンギにすでに到着した。また空輸作戦にはペイロードで優位なアントノフ輸送機による輸送部隊を動員する。
主要作戦正面は、第一に首都バンギの防衛。イスラムを主体とする武装勢力(Séléka)と、キリストを主体とする武装自警団(Anti-Balaka)の間に入り、暴力と蛮行を止め、秩序を回復すること。第二は北西部の二つの主要国道、カメルーン、チャド回廊の統制確保だ。
南西部についてはSélékaの動向は必ずしも活発でないことから、主要正面とはなっていない(ただしこの地域も戦闘が散発し、またJoseph Konny率いるウガンダ系武装勢力LRA及びその残党が蛮行を働いてきた地域である)。
仏軍将官によれば、「本作戦は電気ショックを与えるようなもの。武装勢力が感電を恐れれば、抑止力となる」と作戦の性質を語った。
(つづく)
同日のフランス紙'Figaro'は、このニュースを大きく取り上げている。
(写真・12月5日付Figaro紙)
忘れ去られた暗黒大陸、中部アフリカに位置する中央アフリカ共和国。崩壊国家の系譜には言いたいことがたくさんあって、語り尽くせない(→参考記事「祝・中央アフリカ共和国独立記念日」)。
きょうは、ンボテの前職柄(自衛業、関連記事はこちら)、恐縮ながら背景情報をすっ飛ばして、いきなり軍事作戦にフォーカスしたい。
この日の安保理は極めて重要なセッション。アフリカ連合管轄下に置く「中央アフリカ支援国際ミッション」(Mission Internationale de Soutien à la Centrafrique: MISCA)に、国連憲章第7章(強制力による紛争の解決)に基づく軍事介入のマンデートを与える決議を全会一致で採択した。
この部隊は、すでに中央アフリカに展開する「中央アフリカ展開多国籍軍(Force Multinationale d’Afrique Centrale : FOMAC ※略称、訂正しました)を、国連マンデート下に移行させるもの。アフリカ連合管轄とし、作戦期間は12ヶ月。人員は原員の2500名から、3600名に増強される。
しかし最も重要なのはこの先。安保理はこれに加え、MISCAの支援を行うとの「建て付け」で、仏軍にも軍事介入のマンデートを付与した。マリへの軍事介入から約11ヶ月。再び仏軍による強制力が発動する。
この仏軍の作戦概要は、12月4日の仏紙'Le Monde'で報じられている。作戦名は'SANGRIS'(サングリ)。中央アフリカの森林に生息するエキゾチックな蝶の名を冠した。
作戦目的は上述のとおり、MISCAの支援だが、実際には主要地域をコントロール下に収め、中央アフリカの治安と秩序を物理的に回復することにあるといってよいだろう。主要な作戦の期間は4~6ヶ月とされる。
以前より首都バンギのムポコ空港には約400名の仏軍が駐留。先週末には、このサングリ作戦とは別に増強され、600名が駐留する。
域内に駐留する仏軍は、 この600名を含みざっと2800名規模。チャドに950、ガボンに900、そしてカメルーンに350だ。仏は安保理決議を待たず、本国からの動員を含め準備を開始、この作戦には約1200人を動員見込み。今回の主力作戦部隊と見られる第2海兵歩兵連隊(Rima)と、第8海兵歩兵空挺連隊(Rpima)のうち2個中隊をカメルーンのドゥアラに移送。部隊はすでにカメルーンを通過し、一部はバンギにすでに到着した。また空輸作戦にはペイロードで優位なアントノフ輸送機による輸送部隊を動員する。
主要作戦正面は、第一に首都バンギの防衛。イスラムを主体とする武装勢力(Séléka)と、キリストを主体とする武装自警団(Anti-Balaka)の間に入り、暴力と蛮行を止め、秩序を回復すること。第二は北西部の二つの主要国道、カメルーン、チャド回廊の統制確保だ。
南西部についてはSélékaの動向は必ずしも活発でないことから、主要正面とはなっていない(ただしこの地域も戦闘が散発し、またJoseph Konny率いるウガンダ系武装勢力LRA及びその残党が蛮行を働いてきた地域である)。
仏軍将官によれば、「本作戦は電気ショックを与えるようなもの。武装勢力が感電を恐れれば、抑止力となる」と作戦の性質を語った。
(つづく)