旅限無(りょげむ)

歴史・外交・政治・書評・日記・映画

チャイナの陸路と海路 其の参

2010-03-19 15:03:22 | チベットもの
■専門家の間ではインド洋に「真珠の首飾り」が出現したという言い方をするそうです。つまり、インドを除くインド洋諸国に平和に聞こえる「港湾正義」の名目で大金をばら撒いているチャイナが着々と海の軍事拠点を並べている現実があるという話です。「真珠」の粒は東からミャンマーのシットウエー、バングラデシュのチッタゴン、スリランカのハンバントタ、パキスタンのグアダールと連なり、インド亜大陸を完全に包囲して締め上げるように配置されているそうです。

■ミャンマーのシットウエー港からは雲南省の昆明を経て重慶に達する石油パイプラインの工事は既に始まっていて、それを西側から扼しながらインドを睨むのがチッタゴン港、グアダール港はホルムズ海峡の出入り口という戦略的に極めて重要な場所にあります。驚くことに「首飾り」は東にも延びてタイ南部のクラ地峡を掘り抜いて運河化しようという大計画が静かに進行中とか……。この計画は半世紀以上も前に、まだ広島・長崎の現実を米国が隠し、御用学者に「放射能の危険は無い」と言わせていた頃、冗談のような「原爆の平和利用」を目指す計画の中に含まれていたことがあったはずです。

■スエズやパナマを開削した苦労を原爆で一挙に解決できる!と馬鹿な学者が吹いたホラ話でしたが、真面目に明るい未来を語る啓蒙書にも載っていたのですから恐ろしい話であります。何でも大型化した原爆を5発だか10発並べて仕掛け花火みたいに爆発させると、驚くほど簡単にインド洋と太平洋がつながってしまうのだとか……。でも、実際には放射能汚染の恐ろしさが知れ渡ると同時にシンガポールやマレーシアなどのマラッカ海峡を米櫃にしている国々の大反対もあって立ち消えになった夢の原爆工事となったのでした。チャイナは何を使って開削する心算なのでしょう?

■うかうかしていると、チャイナにいちいち仁義を切って挨拶しないとインド洋を通れなくなるかも知れませんなあ。海賊被害が深刻化したら、インド洋から撤退した民主党政権はどうするのだろう?と考えれば冗談では済まない話でありましょう。友愛の旗を掲げても海賊たちは見逃してはくれないでしょうからなあ。
-------------------------------------------
■こちらのブログもよろしく
雲来末・風来末(うんらいまつふうらいまつ) テツガク的旅行記
五劫の切れ端(ごこうのきれはし)仏教の支流と源流のつまみ食い

チベット語になった『坊っちゃん』―中国・青海省 草原に播かれた日本語の種

山と溪谷社

このアイテムの詳細を見る

------------------------------------------

最新の画像もっと見る