数日前の早朝、バイクで出勤する主人を見送っていたとき、あまり聞き慣れない鳥の鳴き声がしました。
声のするほうをみると、スズメぐらいの大きさで、同じように茶色がかった鳥が、路上近くで大きな声で鳴きながら、バタバタしています。
羽を広げると先のほうには、草色~黄色っぽい模様があって、やはりスズメとは違うようです。
どうしたのかな?とそばに寄ってみると、すぐ近くに小さな動くものが…。
そう、お察しの通り、ヒナがいたのです。
どうやら巣から落ちてしまったようで、毛は生えているものの、まだ飛び立てないヒナの周りを、親鳥が必死で鳴きながらバタバタしています。
どうしたらいいんだろう…
野鳥はヘタに人間が手を出すと、人間の匂いのついた子は育てないって聞いたことあるし…。
でも、そこは車道で、車が通ったら轢かれてしまいます。
とにかく、もう少し安全な場所に移動させなきゃ、とそっと手ですくい取り、家の中に入って義母に「ヒナが地面に落ちていて、親鳥が周りを鳴きながらバタバタしていた」と言って、手のひらの中のヒナを見せました。
親鳥がいるなら、そのあたりの植え込みのところに放したほうがいい、人間が手を出さないほうがいい、と義母もやはり私が最初に漠然と思ったとおりのことを言います。
じゃあ、そうするわ、ともう一度外へ出て、植え込みに放したすぐあとに、すごい勢いでカラスが上空から急降下してきて、ヒナのいるあたりをかすめました。
親鳥が体当たりする勢いでヒナを守ろうとしました。
ふと、左側を見ると、今度は路上に小柄な茶色い姿が動きます。
あ、仔ネコ? いえ、よく見ると違います、ネコにしては胴が長すぎます、そう、イタチです!
うちの庭でもたまに見かけたりしますが、こんな路上に朝っぱらから大手を振って出てくるとは!
相次ぐ危険を目の当たりにして、このままヒナをここで放してしまったらひとたまりもない、と怖くなってしまって、とにかく保護することにしました。
親鳥は空高い電線の上で、するどい声で鳴いています。
注意:声が小さいので、ボリュームをアップされた場合、必ず元に戻して下さいね。
小さな段ボール箱にタオルをひいて、そっと入れて家の中に連れて入り、この先どうしたらいいか、ネットで検索しました。
参考にしたのはこちらのページ「レスキュー&育て方」
タオルは爪が引っかかって骨折することがあるからダメだそうで、新聞を細く裂いてクッションに。
保温のためにペットボトルにお湯を入れてタオルで包んで簡易暖房。
水分と栄養の補給に、とりあえず砂糖湯を、割り箸でくちばしの横にちょんと。
はむはむ、してくれました!(2時間おきに必要らしいです。)
その間にドッグフードを一粒ふやかして、ふやけてからやはり割り箸でくちばしの横にちょんと。
これは食べたこと無かったようで、口は動きませんでした。
この日は義母が出かける用事があって、送っていくためにこのあと1時間ほど留守にして、帰ってから箱を開けて、2日目の砂糖湯を。
ペットボトルの暖房はむっくりと効いていて、箱のフタを開けるとホワ~っと温かで、小さくうずくまっていたヒナは、ピョンとボトルの上に飛び乗りました。
2回目の砂糖湯も、うまい具合にはむはむしてくれて、このあとどうしたらいいものか、動物園に保護センターが有るのを知っていたので、電話して聞いてみました。
その担当の方のお話では、やはり野鳥を人間の手で育てるのは無理で、親がそばに居るようなら、そのあたりに放して親に育ててもらうのがベスト。
もし、ひどくケガしていたり、弱っているようだったら、動物園のほうで応急の手当てをしますが、そのあとはやはり、自然界に放す、ということになります。
カラスやイタチがすぐそばに居て、とても危なそうなんですが…と聞いてみましたら、自然界ではそういうことは当たり前のことだそうです。
それをくぐり抜けた子が生き延びられるということなんですね。
2回目の砂糖湯を飲んだあと、元気に鳴き声をあげています。
とりあえずのカロリーも補給できて、保温状態でゆっくり休んだせいか、とても元気そうです。
これなら、親も探してくれているうちに放したほうが、親元に早く帰れそうです。
最初に見つけた家の外の道路に出て、箱の蓋を開けてひな鳥の鳴き声を聞かせ、
電線の上でそれに呼応するように親鳥が鳴くのを確認してから、庭にそっと放しました。
すぐに親鳥は庭の木にやってきて、盛んに鳴いています。
人がそばに居ると、親が警戒してヒナに近づけないそうなので、私は家の中に入り、縁側から親鳥の声がすると、ときどき観察していました。
低い枝に止まり、地面に降り立ったり、またすぐ木に飛び移ったり、しきりに鳴きながら活発に動いています。
そんなことを繰り返しながら、多分親鳥はヒナを見つけてくれたのでしょう。
(そう願いたいです。)
この日は、なっちゃんが庭に行ったら、ヒナを見つけておもちゃにしてなぶりこかしにするのは目に見えていたので、行けないように通行止めにしておきました。
夕方、もう親鳥の声もしなくなったので、一度庭をぐるっと見てヒナが行き倒れになっていないか確認して、大丈夫そうだったのでなっちゃんを放しました。
そのすぐあとをついて回りましたが、なっちゃんも何も見つけることができなかったので、きっとあのヒナは無事にお家に帰れたのでしょう。
今回、私は思わず手を出してしまいましたが、本当は野鳥のひなを人間が拾い上げたりしたらいけないそうです。
詳しくは、日本野鳥の会の「ヒナを拾わないで!!キャンペーン」を見て下さいね。
〈補足〉あとからこの鳥の名前を調べてみたら、どうやらカワラヒワという鳥だったようです。