猫とマンガとゴルフの日々

好きな物を題名に↑ 最近はゴルフとグルメお出かけ主体に。以前は1960年~70代マンガを紹介していました。ネタバレ有り。

ささや ななえ傑作集 「私の愛したおうむ」

2008年02月27日 14時42分46秒 | マンガ家名 さ行
     ㈱白泉社 花とゆめコミックス 1975年12月20日初版 これは 1976年5月20日の第2版

収録作 「私の愛したおうむ」 「本町51番地」 「薔薇よ薔薇よ」 「ユマ」 「木枯らしにふたりだけ」 「フェリシア」 「かもめ」 の7編

                  夜さん からお借りしています。

          ささや ななえ とは - はてなダイアリー


 りぼんコミックデビューの作家 第3弾 ささや ななえ氏です。私がささや氏の名前を認識して読み始めたのはデビューされてからずっと経ってからで、ビックコミックフォアレディ連載の 「おかめはちもく」 の頃から。アレは面白かったですよ~。主婦の日常を 昔からある家庭まんが の枠に収まらずに表現した、やっとこんなマンガが出る世の中になったのね、と大人のマンガ読みにはプチ感慨ものの、家庭コメディでした。

 ですが、ささや氏は当時でも、もっと前から少女マンガ誌で活躍されていたベテランだったのですね。りぼんコミックでデビュー以来、りぼコミ や りぼん でも描いていたので、何作かは読んでいるはずですがあまり憶えてない。
 初期の社会派的な作品や少女マンガには珍しい地方の普通の少年の話などもあったようです。(現在 夜さんからお借り中) 
 途中ミステリーがヒットして、そういう作品ばかり頼まれるようになったとエッセイマンガでぼやいていたのを以前読みました。(笑)


 この本の中には7編の短編が入っていますが、最後にデビュー作の 「かもめ」 が収録されています。デビュー時の絵柄は石ノ森章太郎氏そっくりで、女の子は水野 英子氏似です。当時マンガ家志望の人の何割もがそういう絵を描いてました。かくいうわたしも真似て描いてました。(とてもへただったけれど) 上のはてなダイアリーにも、石ノ森氏に憧れていたとありますね。


                  

 「かもめ」 あらすじ

 第二次大戦時、ドイツ国内の海岸で脱走してきたユダヤ人の少年を助けた少女とその弟。海岸にある洞窟に隠し、ドイツ兵の目をくらませていったん家に帰ります。ユダヤ人の悪口をいう父親に 同じ人間なのにどうして、と食って掛かりますが、その父親にドイツ兵に知らされて隠し場所を知られてしまいます。
 初めから、ここには死にに来たんだと言っていた少年は追い詰められ、少女に笑いかけながら崖から海に飛び込みました。死体に取りすがって泣く少女。父親達に同じ人間なのに、と又、問いかけながら・・・。

 というようなお話で、デビュー作で重いテーマに挑んでいます。少女マンガ家のデビュー作といえば、もっとねぇ、軽いラブコメとか学園ものとかあるでしょうに、なんて思いますが、そこは りぼんコミック というか、後々も社会的なテーマで描いている (最近も児童虐待テーマ有り) ささや氏ならではというか。

 一方、表題作の 「私の愛したおうむ」 は継母や周囲全般との人間関係に悩む女の子の独白で進む内向的な作品。暗いです、救いがないです、ちょっと最後になって明るさが・・・。
 作者も作品の横の欄 (掲載当時は宣伝スペースでしょうか) で自分が東京へ出てきた当時の 鬱的 な感情を描いてみたと言ってます。これ、問題作だらけのりぼんコミックでなく りぼん 掲載なんですが、背伸びしたい小学生高学年・中学生の女の子に衝撃を与えたのではないかと思います。自我が強くなって来るこの頃は、わたしなんて 誰にも愛されないのじゃないか、とか世の中に居場所の無い感覚がふっとあるのです。主人公の思いつめる様子がいじらしいですね。

 他の5編も、学園物とかもありますが、やっぱりちょっと暗い影のちらつく作品やミステリーホラーっぽいものもあって、ハッピーエンドは1篇だけかな~。当初から一筋縄でいかないお話を描く作家さんですね。最近のものはあまり読んでいないので、ちょっと読んで見たくなりましたが、う~ん虐待をテーマにした 「凍りついた瞳」 か~、引くかも・・・。
 

コメント (7)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 2月23日 (土) は強風・お通... | トップ | 外猫 クロちゃん »
最新の画像もっと見る

7 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
んんん~~~ (つる)
2008-02-27 22:57:05
「わたしの愛したおうむ」ははじめてささやさんの名前を意識した作品だったと思います。
りぼん本誌で読みました、泣いた泣いた、目が溶けるほど。小学校高学年だったかな。
あんまり自分に重ねた、という感じではなかったんだけど(継母でもなかったし特に寂しい思いをしたようなこともなかったので)それでもこの道子の感じた悔しさ・悲しさ・寂しさには感情移入して。
このお義母さんが道子のことをあまり可愛い顔してない、みたいに言いますよね、そんなこと聞いたらどんなに傷つくだろうとは思うのに自分はたぶんさして罪悪感もなく友達とはこんなふうな話し方ってするだろうとも思えてイタかった。
ラストについてなんかあるんですよね…あの優しい同級生の男の子のこと、え~と「おうむがいなくなっても僕がついてるから」みたいなことを言わせろ、って担当に言われたけどゼッタイそうしたくなかった、とかそんな話。
1~2年前に「ささやななえ作品集」というのを見つけて①②の二冊を買って久々に読みました。
この作品集には萩尾さんとの対談、竹宮さんとの対談が収録されてて面白いです。
竹宮さんのマネージャーだった増山法恵さんが「かもめ」を読んでこの人は私たちと同じものを読んできた人だ、そういうニオイがする、と竹宮さんに話してたとか。石森さんの「竜神沼」とかですね。
萩尾さんもりぼんコミックで「かもめ」を読んだ時その新人の次作を心待ちにした、とかとか。

この当時『大泉サロン』にまだ高校生だった坂田靖子さんが出入りしていて、北海道のささやさんの℡番号を書いていて、それを見て北海道旅行をした萩尾さんが「ファンです」と電話したんだそうです。「萩尾といいます」と聞いてささやさんも「あの」萩尾さんだとすぐにわかって迎えに行ってそのまま萩尾さんはささや邸に一週間滞在したとか。そのときにバスの中で「あそび玉」の続編のストーリーを萩尾さんに聞いたけどささやさんも萩尾さんご本人も内容を覚えてなくて、「あそび玉」続編はついに描かれなかったので「幻のあそび玉続編」なのだそうです。

ささやさんが当時文通していた漫画家さんの家が金沢でお豆腐屋さんをやっていて、そこへ毎日お豆腐を買いに行ってた坂田さんがささやさんの連絡先を知っていたんだって…  大泉サロンの話はトテモ面白い。。

萩尾さんがささや邸に行った翌年ささやさんは大泉サロンに「二度」遊びに行ったそうですが、「二度」のそれぞれが「6ヶ月」ずつ。盆と正月に実家に帰ったほかはほぼ一年入りびたり。この頃描かれた「ダートムーアの少年」は萩尾さんと竹宮さんと山田ミネコさんが手伝っていて、それぞれの個性が面白い作品になってます。北海道のささや邸はとても居心地が良いのだそうで、いろんな人が遊びにいってるそうです。最長滞在記録は山田ミネコさんの一ヶ月、とか。

「わたしの愛したおうむ」で強烈に印象付けられたささやさんが、少しあとに読み始めた「少女コミック」で「アギオン―鷹―」の新連載で載っていて『アレ?りぼんの人が…』と思ったのを覚えてます…フリーになった頃だったんですね、きっと。りぼんで描いてた頃とは作風が違って(私が読んだ範囲としては。りぼんでは現代日本の普通の中高生のを描いてるという印象だったので)昔の外国が舞台のお話でとても面白かった。それなのに連載三回で「第一部完」となっていたので続きを楽しみにしてたのについに描かれませんでした。。

>途中ミステリーがヒットして、そういう作品ばかり頼まれるようになったとエッセイマンガでぼやいていたのを以前読みました

私もそれ読みました~。もっといろんなの描けるのに!と言ってましたね。だけどささやさんの怖い作品はホントに怖くて面白かった…ほかのも面白いけど。
ささやさんとそのお姉さまはいろいろ「見る」人たちらしいですね。山岸さんの「幽霊談」で読みました。

「凍りついた瞳」は…重いです、私も一冊しか読んでない、続きを読むのは気が重くて。。
「ミノタウルス」とか「サラの遺言」とかのシリーズが楽しくて不気味で面白かったです。「ミノタウ『ロ』ス」にしたかったんだって。いろいろあって変えられなかったんだそうです。。。また見てきたよ~に語ってしまいました…あ~~ん、「白い部屋のふたり」にも絡みた~い!
返信する
書いて書いて~。 (トミー。(管理人))
2008-02-28 12:49:50
 つる様
 見てきたよ~に書いてくださ~いつるさんのコメ読むの楽しみですよ~
 自分の記事がきっかけで、いろいろな方から情報を仕入れようと欲をかく管理人でございます~

 ささや氏は 「おかめはちもく」 以前を全然読んでいなかったので、夜さんに大量に貸してもらってこれから本格的に読もうと思っているところです。 「化生曼陀羅」 前から読みたくてね~。

 ところで、ささや氏は現在 ささやななえこ と名前を変えてますね、画数か何かの都合なのでしょうが、見るたびにまだ違和感が・・。そのうち慣れるのでしょうか。
返信する
うん、 (つる)
2008-02-29 13:16:13
「ななえこ」さん、慣れませんですね。。

ずっと以前に石森さんが「石ノ森」さんに変えたことに何か逸話があって竹宮さんが字を換えたりささやさんが名前を変えたりしたのかな~とかぼんやり思ってました。
水樹さんはナントナク、萩尾さんの大ファンだったから、萩尾さんの名前のように本名から「子」を外してペンネームにしてたのを、年を経て自分自身を自分自身として受け入れようという心境の変化から本名にもどしたのかな~とかこれまたぼんやりと思ってました。



「化粧曼荼羅」はたぶん読んでないな~。読みたいな~。。
私は丁度「おかめはちもく」あたりから読まなくなってました、ささやさん。面白かったんですけどね、「おかめ~」も。…どっかでは何か控えないとど~にもならんかったので。。『傍目八目』の意味はこの作品の冒頭ではじめて知りました。
返信する
泣きました ()
2008-03-07 00:40:03
これは非常に印象的な作品です
主人公の気持ちがず~~んと来ましたね
思春期って、自分が誰からも、親からすらも
愛されいないんじゃないかと思ったり
人と引き比べて劣等感にさいなまれたり。。。
自意識過剰で色々考えすぎる時期だから
ストレートに感情移入しました

ささやさんのヒロインは身近で等身大で
思春期の心の表現力が素晴らしいのよ!
大好きな作家さんです
ホラーも良いけど
本当はこういう庶民的な話の方が力を発揮する人だと思うのよね
「おかめはちもく」もいい味出してました

ホラーでは「たたらの辻に・・・」がピカ一です
「化粧曼荼羅」は私の好みからすると
ちょっと暗いです
でも、お読みになりたいならお貸ししますよ~
つるさん!

返信する
当時に。 (トミー。(管理人) )
2008-03-07 09:18:13
 夜様
 当時私が中学生くらいでこれ読んでいたら泣きまくっていたかもね~。実際は高校生だし、もう少女マンガは読んでいなかったからリアルでは読んでいないんですが、あと3年くらい前だったらず~んと来ていた。
 今読んでも自分が大人で良かったなと思うもん。

 年により読んだ感想は違うけれど、当時の自分の感情を思い出して思いにふけります。
返信する
懐かしく、そして嬉しい・・・ (kei)
2017-11-16 13:14:40
探検バクモンという漫画関係のテレビを見て
私の愛したおうむ(←子供時代、孤独だったぶつけようのない悲しみを共有してくれたマンガ)を思い出し
ネットで検索してみたら このHPが見つかりました。
東京在住、50代、既婚、子なし、の者です。
ささやななえさんと わたしの愛したおうむについて
語ってくださりありがとうございます。
あの時代に抱えてた切ない思いが蘇ります。 
返信する
ありがとうございます。 (トミー。)
2017-11-17 22:41:47
 kei様
昔の記事にコメントありがとうございます。
借りていたコミックスなので、再度読むことはできませんが、又この記事を読んで思い出しました。
暗かったですが、印象的でしたね~。
又何か気になるマンガ記事が有りましたら、コメントお願いいたします。
返信する

コメントを投稿

マンガ家名 さ行」カテゴリの最新記事