消防士 兼 旅人の日記

消防署での出来事、ダラダラした日常生活を綴ります。

心筋梗塞

2012-06-09 23:18:31 | 消防・救急
今日はお休み。とうとう梅雨入りしたようです。

雨男のくせに雨は嫌い。これが1ヶ月近く続くとなると、少々憂鬱な感じもします

今日も1日雨、家族皆が休みであり、天気が良ければ広い公園に行って子どもたちを思いっきり走り回らせようかと思いましたが、それも叶いませんでした。


今日のお話はタイトルにある『心筋梗塞』についてのお話。

過去に『どうしてこれで救急車?』のようなことは何度もご紹介していますが、今回は逆で『ためらわずに救急車を呼んでほしい』ことのお話です。


まず、心筋梗塞とは?を簡単に説明しますが、

心臓自身に栄養や酸素を送る冠状動脈が詰まってしまい、心筋の壊死を引き起こす病気。

心筋が壊死してしまえば心臓が血液を全身に送り出すと言うポンプ機能を果たせなくなり、最悪は死に至る病気です。


次に、どんな症状が出るか?ですが、

まず胸痛を訴える、これは8割方見られるとのこと。高齢者の方等では無痛性の場合もあり得ますが、大体は胸痛を訴える。胸が締め付けられるような感じともとれます。

そして胸だけが痛むのではなく、その痛みが広がるような感じ。(放散痛、ほうさんつうと言います)肩が痛い、お腹・背中が痛い、歯の痛みを訴える人もいます。

顔色は真っ青になり、冷や汗が出る。吐いたりなんてことも。

救急隊到着時に心電図を取ってみれば、心電図に著明な変化が見られることもあります。


予後ですが、救命士テキストから引用すると5年生存率は7割。梗塞範囲や部位にもよりますが、大体このぐらい。

ただ、早く病院に行って早期に治療を開始し血流を再開させてあげれれば、生存率は上昇すると言われています。

それに最近は手術で使用する器具も良質な物になっており、予後はさらに改善してきているとのことです。


これらを踏まえると、上記に挙げた症状に早く気がつき、早期に病院へ搬送して治療ができれば、大方生命の危機は脱することができる。

そのためには、少しでも疑ったら迷わずに救急車を呼んでほしいと言うことです。


・胸が痛い(そしてそれが肩、お腹、背中などに広がることもある)
・顔色が悪い
・冷や汗をかいている

こんなような症状があったら、迷わずに救急車を呼んで下さい。本人でも、周りに居合わせた人でも。

冷や汗が出て無くとも、顔色が悪くなくとも、なんか胸が重苦しいような感じがする。それでも構いません。

結果的に何でもなく軽症だったとしても、それは救急車の不適切な利用だとは思いません。『空振り』なら良いけれど、『見逃し』なら大変なことにもなりますのでね。


今日はそんな心筋梗塞のお話。狭心症でも同様あるいは似た症状が出ますが、同じようにためらわずに救急車を呼んでもらって構いません。

またの機会に、今度は『脳卒中』についての記事を書きたいと思います。


明日は仕事です。

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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
本当に (白熊)
2012-06-10 09:10:41
心筋梗塞本当に怖い病気だと思います。白熊の一番上の兄は小学生の時に心臓の 病気で亡くなっているので他人事ではありません。先日も夕方のニュースの番組中で救急車の要請について取りあげていました。自分なりに出来る事ムサシさんのブログ参考にしてしていきたいと思ってます。
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初めまして (ゴリラーマン)
2012-06-10 15:24:09
初めてコメントします!
今違う仕事をしてるけど今の仕事をやめて消防士になりたいのですが勉強は独学でしたいと思ってます!なにかコツとかあったら教えてください。
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Unknown (めだかちゃん)
2012-06-10 22:33:26

職場の救命講習会受講してきました。
消防士の友達は講師に来ませんでした。せっかく教えていただいた質問をしたくて楽しみにしてたのに…。
講師にはベテランの方と新人さんみたいな消防士さんが多かったように感じました。実践講義中AEDで電気ショック時に少し距離をとる際、ある先生が何メートル位離れればいいか質問してて、若手の消防士さんはちょっとあたふたしてました。


受講してみて、今まで上級救命講習会に受講したり参加してたのであまり手順が変わらないと言っていましたが多少戸惑ってしまいました。呼吸の確認も今までは『呼吸の確認123…』だったのに、今は『普通呼吸…』とかなんか少し呼び方が変わってて迷いました。

機会があれば
再度受講したいですね!

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白熊さんへ (ムサシ)
2012-06-12 20:51:27
救急車が必要だ!と思えば、迷わずに呼んで頂いて構わないものなのです。基本的には。

だけど、(どうしても)救急車が必要だ!救急車じゃなきゃダメだ!と言うのではなく、『とりあえず』な感じなのが多いのです。自分で行けたり連れて行けたり。

救急車じゃなくたって、わざわざ救急車で行く必要の無いことが多い。そこが今問題になっています。コンビニ受診もしかり。


そんなお話をこれからも続け、考えてみて欲しい。それを私は願っています。
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ゴリラーマンさんへ (ムサシ)
2012-06-12 21:11:00
初めまして、コメントありがとうございます。

消防に限らず、公務員試験における教養試験は多分野に渡り出題されますが、『広く浅く』です。つまり、あることに対してそこまで深くは突っ込まないと思いました。

50問あったとして、例えば日本史の問題は1~2問程度です。

50問の内訳は半分が知識分野(国語、社会、理科、英語、倫理、化学など)、後の半分は数的処理問題となります。数的分野は時間をかけてでも確実に取ることができれば、点数は上がってきます。

知識分野は前述のとおり、広く浅く。幅広く覚えておく必要がありますが、やっぱり限度があります。なので、私は世界史は捨てました。(と言うより、中国史だけはある程度勉強し、そこが出たらラッキーな感じ。ヨーロッパ史は完全に捨てでした)

そして、極論ですが、回答はマークシート式。分からずに当てずっぽでマークした所が運よく正解するかもしれません。

↑たぶん私はこのパターン(苦笑)試験終わって正直手ごたえなくて、本当に落ちたと思ってましたので…

私が消防士を拝命できたのは、正直運もあったと思います。
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めだかちゃんさんへ (ムサシ)
2012-06-12 21:21:59
あら、キラーパスは不発でしたか(笑)

本当ならば電気ショック後、すぐにまた心臓マッサージをするのです。あまり離れてしまうとその分タイムロスになりますので、患者に触れて無ければ大丈夫です。1mも離れれば問題ありません。

ガイドライン2005になった時も、より簡潔にがモットーでしたが、ここで2010になりさらに簡潔になりました。大事なのは心臓マッサージを絶え間なく続けること。

もっと大事なのは、そのような場面に出くわした時には勇気を持ってやること。講習を受講したからには、万が一の時には行動してほしい。それがお願いであります。
(過去に、施設単位で救命講習を実施したのに、いざ心肺停止で何も行われていなかったこともありましたので)


講習も、2年ないし3年ごとに定期的に受講なさってくれれば、ありがたいです
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