Michael君(マイケル・グルーバー)がドンを演じる舞台版と、ジーン・ケリーがドンを演じたオリジナルの映画版。基本的なストーリーはどちらも同じなのですが、違うところがけっこうあるんです。今回は、その違いについて、お話しますね。(写真は、シアトルでのステージ・フォトです。「Fit as a Fiddle」で熱演を見せるMichael君(向かって右)とマイケル・アーノルドさんです。)
注: 「Singin' in the Rain 雨に唄えば」を見たことのない方で、ストーリーを知りたくないという方は、この記事を読まないようにお願い致します。ストーリーのクライマックスは伏せてありますが、個々のエピソードはわかってしまいますので。
全体的に共通した違いとしては、映画版の方が、歌やダンスのないシーン(普通のお芝居のシーン)が多いということです。その方がストーリー的にはわかりやすいと言えるかも知れませんが、舞台の方が、歌やダンスが多い分、よりミュージカルらしい楽しさを味わえます。
また、映画だと同じ人物が続けざまに出ているところでも、舞台は、衣装換え等があって続けて出られないために、他の人物に変わっているところがあります。
それと、ダンスの振付ですが、映画の方が危険度の高い見栄えのする振付が多いです。これは、映画の場合、失敗しても撮り直しがききますが、舞台は、毎日の公演で毎回成功させなくてはなりませんので、どうしても失敗の可能性が低い振付になってしまいます。例えば、コズモの「Make'em Laugh」を、もし映画と全く同じにやったとしたら、ドナルド・オコーナーが撮影終了後入院してしまったように、舞台のコズモ役の俳優さんも毎回入院するはめになってしまいますよね~・・・。それに、映画だと、真上から撮影したり俳優さんをアップにしたりできますが、舞台ではそれはできません。また、撮影所のスタジオに作られた広々としたセットで踊るのと、広さに限りのある舞台で踊るのでは、自ずと振付も変わってくるわけです。
それでは、それぞれのシーンの違いを見ていきましょう~!
オープニング
映画:雨の中を、ドン、コズモ、キャシーの3人がレインコートを着て傘を差し、歩きながらタイトル・ソングを歌っているところから始まり、タイトルロールに変わる。
舞台:カーテンが下りた状態で、オーバーチュアーが流れる。
チャイニーズシアター前
映画:ドンの芸人時代の回想シーンのナンバー「Fit as a Fiddle」の後、撮影所でのドンの下積み時代のエピソードが入る。
舞台:「Fit as a Fiddle」の後、ドンとリーナの新作映画のプレミア上映になる。
プレミア終了後
映画:ドンとコズモは、車でパーティ会場に向かうが、途中でパンク。ドンは、ファンにもみくちゃにされ、キャシーの運転する車に飛び乗る。ズタボロになった燕尾服を着替えるためにサンセットまで送ってもらうが、車の中で仲違いをし、降りる時に燕尾服のすそがドアにはさまり、燕尾服が破れてしまう。
舞台:ドンは、一人で歩いてパーティ会場に向かう。途中でファンの女性に追いかけられ、ベンチで本を読んでいたキャシーと出会う。仲違いをして立ち去ろうとしたドンにファンが気がつき、燕尾服の袖を引っ張って破いてしまう。
パーティ
映画:ドンは、タキシードで登場。再会したキャシーが立ち去った後、彼女を追って、ダンサー達の控え室に駆け込む。キャシーが出て行ったと知り、外まで追うが、キャシーは車で走り去ってしまう。
舞台:ドンは、片袖のない燕尾服で登場、上着を脱いでしまう。再会したキャシーが立ち去った後、彼女を思いながら、「You Stepped Out of a Dream」を歌う。
(この曲は、映画にはありません。舞台版だけです。とてもロマンティックでメロディアスな美しい曲で、Michael君の歌声の素晴らしさを心ゆくまで堪能できます♪)
パーティからしばらく経った撮影所
映画:ドンとコズモが、さまざまな撮影中のシーンを通りぬけながら、キャシーのことを話す。
舞台:ピアノのところで、ドンとコズモがキャシーのことを話す。
「ビューティフル・ガール」の撮影シーン
映画:いろいろなトーキー映画の映像が映し出された後、「ビューティフル・ガール」の撮影シーンが始まり、撮影を見ていたコズモが出演しているキャシーに気がつき、ドンを呼びに行く。
舞台:撮影が終わった後、キャシーの歌のオーディションをすることになり、伴奏のためにコズモが呼ばれる。そこで、キャシーに気付いたコズモが、スタッフにドンを呼びに行かせる。キャシーが、「You Are My Lucky Star」を歌う。
トーキーの撮影風景
映画:リーナだけでなく、ドンもいる。リーナの声がうまくマイクに拾われずスタッフが苦労するシーンは、普通にマイクを使って撮影している。
舞台:ドンはいなくて、リーナだけ。リーナの声がうまくマイクに拾われないシーンは、リーナ役の女優さんが、マイクの方を向いた時は大声を出し、反対を向いた時は小さな声を出す・・・というように演技している。
雨がいつ降り出すか
映画:映画の試写会が失敗に終わった後、ドン、コズモ、キャシーがドンの家で話している時、すでに外はどしゃ降り。
舞台:ドンの家のシーンが終わった後、雨が降り始める。
ドンが雨の中で歌って踊るタイトル・ソングのシーン
映画:キャシーの家の前まで運転手付の車(タクシー・・・?)で送ってきたドン、キャシーが家に入った後、車を帰してしまう。そして、雨の中で歌って踊った後、傘を通行人に渡して、そのまま歩いて去っていく。
舞台:歩いてキャシーを家まで送り届けたドン、雨の中で歌って踊る。最後は、街燈のポールに飛び乗って、ポーズを決める。そのまま幕が下り、幕間の休憩になる。
後半(基本的なエピソードはだいたい一緒なのですが、順序がだいぶ違います。)
映画:新作をミュージカルにしようと、ドンとコズモが社長を説得。映画のタイトルを決め、モダンなシーンを入れようという話をする。続いてキャシーが歌を吹き込むシーンになり、その歌にあわせてリーナが演技をする。演技をするリーナのアップがそのまま試写の映像になり、試写を見終わった社長に、ドンがモダンなシーンの説明を始め、ここで、「Broadway Rhythm/The Broadway Ballet」になる。「Broadway Rhythm」もドンが歌う。その後、リーナの声をキャシーが吹き替えるシーンになり、そこにリーナが現れて、キャシーが吹き替えることも、ドンとキャシーが愛し合っていることも、全てリーナにばれてしまう。
舞台:リーナの歌をキャシーが吹き替えるシーンから始まる。リーナが歌っているシーンを見ながら、それにあわせてキャシーが歌う。そこにリーナが来て、キャシーが吹き替えることも、ドンとキャシーが愛し合っていることもばれてしまう。怒って立ち去るリーナ。コズモは、リーナにばれてしまったことを社長に報告に行く。不安がるキャシーに、ドンが「You Stepped Out of a Dream」を歌ってやる。場面はリーナの部屋に変わり、リーナが「What's Wrong With Me」を歌う。(これも、舞台だけのナンバーです。リーナ役のリサさんが、会場を爆笑させてくれました♪)社長に報告に行ったコズモ、社長と一緒に新作のタイトルを考える(ドンは、いない。)。そして、モダンシーンを入れようと提案し、コズモが、「Broadway Rhythm」を歌い、続いてドンの「The Broadway Ballet」になる。
クライマックス(詳細は書きませんが、1カ所違いが・・・)
映画:クライマックスで歌われる歌が、「Singin' in the Rain」。
舞台:クライマックスで歌われる歌が、「Would You」。
フィナーレ
映画:ドンとキャシーが「You Are My Lucky Star」を歌い、ドンの横顔が「Sigin' in the Rain」の看板に描かれた絵に変わり、その看板の前でドンとキャシーがキスをするシーンで終わる。
舞台:ドンとキャシーの影絵がスクリーンに映し出され、暗転。フィナーレは、キャストメンバーがおそろいの黄色いレインコートと赤い傘で、雨の中を歌って踊る。最後にメインキャストが登場し、挨拶した後、ドンとキャシーのキスシーンで幕となる。
以上が主だった違いですが、それ以外にも、同じシーンでも映画と舞台でぜんぜん印象が違ったり、衣装が全く違ったり・・・と、違うところがけっこうあります。映画は映画の良さを、舞台は舞台の良さを生かした形になっていますから、どちらがいいということではなく、それぞれの違いを楽しむことが出来ると思います。
映画版は、すでにDVDとして国内でも発売されていますから、気軽に楽しむことができますが、舞台は、なかなか見る機会がないのが残念です・・・。もし、機会がありましたら、舞台の「雨に唄えば」、ぜひご覧になって下さい。できれば、Michael君のドンで・・・♪
注: 「Singin' in the Rain 雨に唄えば」を見たことのない方で、ストーリーを知りたくないという方は、この記事を読まないようにお願い致します。ストーリーのクライマックスは伏せてありますが、個々のエピソードはわかってしまいますので。
全体的に共通した違いとしては、映画版の方が、歌やダンスのないシーン(普通のお芝居のシーン)が多いということです。その方がストーリー的にはわかりやすいと言えるかも知れませんが、舞台の方が、歌やダンスが多い分、よりミュージカルらしい楽しさを味わえます。
また、映画だと同じ人物が続けざまに出ているところでも、舞台は、衣装換え等があって続けて出られないために、他の人物に変わっているところがあります。
それと、ダンスの振付ですが、映画の方が危険度の高い見栄えのする振付が多いです。これは、映画の場合、失敗しても撮り直しがききますが、舞台は、毎日の公演で毎回成功させなくてはなりませんので、どうしても失敗の可能性が低い振付になってしまいます。例えば、コズモの「Make'em Laugh」を、もし映画と全く同じにやったとしたら、ドナルド・オコーナーが撮影終了後入院してしまったように、舞台のコズモ役の俳優さんも毎回入院するはめになってしまいますよね~・・・。それに、映画だと、真上から撮影したり俳優さんをアップにしたりできますが、舞台ではそれはできません。また、撮影所のスタジオに作られた広々としたセットで踊るのと、広さに限りのある舞台で踊るのでは、自ずと振付も変わってくるわけです。
それでは、それぞれのシーンの違いを見ていきましょう~!
オープニング
映画:雨の中を、ドン、コズモ、キャシーの3人がレインコートを着て傘を差し、歩きながらタイトル・ソングを歌っているところから始まり、タイトルロールに変わる。
舞台:カーテンが下りた状態で、オーバーチュアーが流れる。
チャイニーズシアター前
映画:ドンの芸人時代の回想シーンのナンバー「Fit as a Fiddle」の後、撮影所でのドンの下積み時代のエピソードが入る。
舞台:「Fit as a Fiddle」の後、ドンとリーナの新作映画のプレミア上映になる。
プレミア終了後
映画:ドンとコズモは、車でパーティ会場に向かうが、途中でパンク。ドンは、ファンにもみくちゃにされ、キャシーの運転する車に飛び乗る。ズタボロになった燕尾服を着替えるためにサンセットまで送ってもらうが、車の中で仲違いをし、降りる時に燕尾服のすそがドアにはさまり、燕尾服が破れてしまう。
舞台:ドンは、一人で歩いてパーティ会場に向かう。途中でファンの女性に追いかけられ、ベンチで本を読んでいたキャシーと出会う。仲違いをして立ち去ろうとしたドンにファンが気がつき、燕尾服の袖を引っ張って破いてしまう。
パーティ
映画:ドンは、タキシードで登場。再会したキャシーが立ち去った後、彼女を追って、ダンサー達の控え室に駆け込む。キャシーが出て行ったと知り、外まで追うが、キャシーは車で走り去ってしまう。
舞台:ドンは、片袖のない燕尾服で登場、上着を脱いでしまう。再会したキャシーが立ち去った後、彼女を思いながら、「You Stepped Out of a Dream」を歌う。
(この曲は、映画にはありません。舞台版だけです。とてもロマンティックでメロディアスな美しい曲で、Michael君の歌声の素晴らしさを心ゆくまで堪能できます♪)
パーティからしばらく経った撮影所
映画:ドンとコズモが、さまざまな撮影中のシーンを通りぬけながら、キャシーのことを話す。
舞台:ピアノのところで、ドンとコズモがキャシーのことを話す。
「ビューティフル・ガール」の撮影シーン
映画:いろいろなトーキー映画の映像が映し出された後、「ビューティフル・ガール」の撮影シーンが始まり、撮影を見ていたコズモが出演しているキャシーに気がつき、ドンを呼びに行く。
舞台:撮影が終わった後、キャシーの歌のオーディションをすることになり、伴奏のためにコズモが呼ばれる。そこで、キャシーに気付いたコズモが、スタッフにドンを呼びに行かせる。キャシーが、「You Are My Lucky Star」を歌う。
トーキーの撮影風景
映画:リーナだけでなく、ドンもいる。リーナの声がうまくマイクに拾われずスタッフが苦労するシーンは、普通にマイクを使って撮影している。
舞台:ドンはいなくて、リーナだけ。リーナの声がうまくマイクに拾われないシーンは、リーナ役の女優さんが、マイクの方を向いた時は大声を出し、反対を向いた時は小さな声を出す・・・というように演技している。
雨がいつ降り出すか
映画:映画の試写会が失敗に終わった後、ドン、コズモ、キャシーがドンの家で話している時、すでに外はどしゃ降り。
舞台:ドンの家のシーンが終わった後、雨が降り始める。
ドンが雨の中で歌って踊るタイトル・ソングのシーン
映画:キャシーの家の前まで運転手付の車(タクシー・・・?)で送ってきたドン、キャシーが家に入った後、車を帰してしまう。そして、雨の中で歌って踊った後、傘を通行人に渡して、そのまま歩いて去っていく。
舞台:歩いてキャシーを家まで送り届けたドン、雨の中で歌って踊る。最後は、街燈のポールに飛び乗って、ポーズを決める。そのまま幕が下り、幕間の休憩になる。
後半(基本的なエピソードはだいたい一緒なのですが、順序がだいぶ違います。)
映画:新作をミュージカルにしようと、ドンとコズモが社長を説得。映画のタイトルを決め、モダンなシーンを入れようという話をする。続いてキャシーが歌を吹き込むシーンになり、その歌にあわせてリーナが演技をする。演技をするリーナのアップがそのまま試写の映像になり、試写を見終わった社長に、ドンがモダンなシーンの説明を始め、ここで、「Broadway Rhythm/The Broadway Ballet」になる。「Broadway Rhythm」もドンが歌う。その後、リーナの声をキャシーが吹き替えるシーンになり、そこにリーナが現れて、キャシーが吹き替えることも、ドンとキャシーが愛し合っていることも、全てリーナにばれてしまう。
舞台:リーナの歌をキャシーが吹き替えるシーンから始まる。リーナが歌っているシーンを見ながら、それにあわせてキャシーが歌う。そこにリーナが来て、キャシーが吹き替えることも、ドンとキャシーが愛し合っていることもばれてしまう。怒って立ち去るリーナ。コズモは、リーナにばれてしまったことを社長に報告に行く。不安がるキャシーに、ドンが「You Stepped Out of a Dream」を歌ってやる。場面はリーナの部屋に変わり、リーナが「What's Wrong With Me」を歌う。(これも、舞台だけのナンバーです。リーナ役のリサさんが、会場を爆笑させてくれました♪)社長に報告に行ったコズモ、社長と一緒に新作のタイトルを考える(ドンは、いない。)。そして、モダンシーンを入れようと提案し、コズモが、「Broadway Rhythm」を歌い、続いてドンの「The Broadway Ballet」になる。
クライマックス(詳細は書きませんが、1カ所違いが・・・)
映画:クライマックスで歌われる歌が、「Singin' in the Rain」。
舞台:クライマックスで歌われる歌が、「Would You」。
フィナーレ
映画:ドンとキャシーが「You Are My Lucky Star」を歌い、ドンの横顔が「Sigin' in the Rain」の看板に描かれた絵に変わり、その看板の前でドンとキャシーがキスをするシーンで終わる。
舞台:ドンとキャシーの影絵がスクリーンに映し出され、暗転。フィナーレは、キャストメンバーがおそろいの黄色いレインコートと赤い傘で、雨の中を歌って踊る。最後にメインキャストが登場し、挨拶した後、ドンとキャシーのキスシーンで幕となる。
以上が主だった違いですが、それ以外にも、同じシーンでも映画と舞台でぜんぜん印象が違ったり、衣装が全く違ったり・・・と、違うところがけっこうあります。映画は映画の良さを、舞台は舞台の良さを生かした形になっていますから、どちらがいいということではなく、それぞれの違いを楽しむことが出来ると思います。
映画版は、すでにDVDとして国内でも発売されていますから、気軽に楽しむことができますが、舞台は、なかなか見る機会がないのが残念です・・・。もし、機会がありましたら、舞台の「雨に唄えば」、ぜひご覧になって下さい。できれば、Michael君のドンで・・・♪