眺めのいい部屋

人、映画、本・・・記憶の小箱の中身を文字に直す作業をしています。

2011年に観た映画(劇場での日本映画編)&2011年マイ・ベストテン

2012-05-22 21:01:22 | 映画1年分の「ひとこと感想」2006~

(2011年に映画館で観た日本映画は21本。)


『酔いがさめたら、うちに帰ろう。』(監督・脚本・編集:東陽一 原作:鴨志田穣)

大酒飲み?の主人公を演じる浅野忠信さんは、下戸だと聞いたことがある。でもこの人は泥酔した人物を演じるのがとても上手いと思う。(以前『風花』という映画を観てほとんど呆然~。この人には潜在的演技力?がまだまだあるんだろうな・・・なんて思ったのを思い出す(笑)。)

 http://blog.goo.ne.jp/muma_may/e/7964c6138efc856abe28905b76150a7a

『悪人』(監督:李相日(イ・サンイル) 原作・脚本:吉田修一)

公開時になぜ観に行かなかったのか思い出せない。(シネコンで再上映されて、やっと観に行けた。)深津絵里さんの美しさに驚いたけれど、もっと驚いたのは妻夫木聡さんの方。この人は(自分自身という)キャンバスを一度隅々まで塗りつぶしてから、殺人犯・清水祐一を作り上げたんだな・・・という感じがして、なんだか感慨のようなものが湧いたのを思い出す。

http://blog.goo.ne.jp/muma_may/e/1b5b8578c716871b01a6be837b4ae517

『毎日かあさん』(小林聖太郎監督 原作:西原理恵子)

とにかく子ども達が可愛い!! (特に男の子の方からは、もう終始眼が離せなかった。)
メモにはちょっと妙なことが書いてある。「私は主役のカップルが元夫婦であろうとなかろうと、あまり気にしたことがないけど、今回はなぜかそのことをずっと感じさせるモノ?があって困った。」
私はたぶん、「何か深刻な問題になる事柄(アルコールとか)があって、家庭内が揉める」のは、本当はあまり見たくないんだと思う。そういうのは現実だけで沢山・・・って思っているのかも。ソンナコト言い出したらシリアスな映画は全然観られなくなってしまうのに、その割りにはよく観てるやん(笑)・・・と言われるなら、「少なくとも子どもがいる家庭、子連れのカップルや祖父母なんかが、ののしりあったり、憎み合ったりするのがイヤ」なんだと思う。
私は西原さんのマンガが好きだから余計に、「毎日かあさん」もマンガで読む方がいいな。せっかくいいキャスト揃えて、綺麗な映像で、漫画家さんの日常を垣間見られるシーンもあって・・・という作品にして貰えても、やっぱりこういうのは漫画(或いはエッセイ?)で読みたい。そう思った。

『二十四の瞳』(木下恵介監督)1954

有名な映画だけれど、観たのは今回が初めて。2時間半以上という上映時間を全然長いと思わなかった。メモには「若い頃の私が苦手だったものばかり?で出来ているような映画。でも、今観ると違った感慨、受け取り方をしている自分が居るのを感じた。」とあった。
「学校」が苦手で、そこで出会う大人(先生)が苦手で、戦争や貧しさの気配が苦手で、そんな中で一生懸命頑張っている人たち(子どもも大人も)の真っ当さが(圧倒的な眩しさのせいで?)苦手で・・・という風に、いろいろなことを思い出しながら観ていたんだろうな・・・。(私は「美しいもの」は昔から好きだったけれど、こういう映画の美しさは長い間「ちょっと苦手」だったと思う。)

『劇場版マクロスF 恋離飛翼~サヨナラノツバサ~』(監督:河森正治)

メモには「前作(~イツワリノウタヒメ~)はインド映画を思わせたけど、今回は歌舞伎を連想した。今の日本のエンタメ作品って、こういうのが主流なのかなあ。まあ、どちらも「娯楽の王道」を行くモノだから、別に不思議じゃないんだけれど。」などと。自分でも、褒めているのか不満なのかヨクワカラナイ。(
インド映画も歌舞伎も「音楽」は重要な要素だけれど、この映画も前作も、菅野よう子さんの音楽がキラキラしてる。映像技術についても、日本のアニメーションってハイレベルだな~としみじみ思う。もっともっと認知度が上がって、外国にももっと売れたらいいのにな・・・。私は別に特別なファンでもなんでもないんだけど、そんなことを思ったりする。)

『八日目の蝉』(監督:成島出 原作:角田光代 脚本:奥寺佐渡子)

なんとなく自分は苦手なんじゃないか・・・という予感が働いて、原作の小説は読まなかったけれど、今となるといつか読んでみてもいいかなあと。
http://blog.goo.ne.jp/muma_may/e/cf161296242abbe7320b6d80b392d8b7

『マイ・バック・ページ』(監督:山下敦弘 脚本:向井康介 原作:川本三郎 )

川本三郎さんに、こういう著作(原作)があること自体を知らなかったので驚いた。今観ると、若い時代というのは(意識するしないを問わず)「本物」を探す時期なんだなあ・・・と。探しているからこそ騙されてしまうこともある・・・ということも含めて。

http://blog.goo.ne.jp/muma_may/e/c7531a0ed04fb85fb470c8d342f6523d


『冷たい熱帯魚』(監督・脚本:
園子温

今思い返してみても、観た直後のメモ以上のことはわざわざ書く気にならないので、そのまま引用する。「結局のところ、私はこの作り手の、どこまでも“教育”に拘る(ように見えてしまう)感じが、好きじゃないんだと思う。宗教も、暴力も、セックスも、血(縁)も、どこかで“教育”絡みになってしまう・・・。」
「この社本という主人公の情けなさ?は、私自身にもあるもので、他人事などとは絶対に思わない。ただ、私は彼と違って、“教育”するのもされるのも、元々大っキライなんだと思う。それが実際はさんざん“教育”され、(それに洗脳された結果として?)“教育”する側のマネ事もしてきた・・・今となっては思い出すのも真っ平!と思っているのかも。」
「根っから不遜で生意気なコドモのままの私は、“教える”“教えられる”場面を目にすると、それが血みどろだろうがレイプだろうが金儲けの仕方だろうが、すうっと興醒めしてしまうらしい。 」(ラストの社本の娘の言葉にすごーく共感してしまった自分。)

『大日本帝国』(監督:舛田利雄)1982

メモには「タイトルに恐れをなして全然観に行く気がなかったことを、後から反省?した1本。(観た後では、タイトルはむしろ世を忍ぶ仮の姿だったんだ・・・と納得。)映画好きの人たちの感想を見て、大急ぎで観に行って良かった~。」とある。でも・・・今記憶に残っているのは、実は若い夫婦のエピソードだけ。関根恵子があまりに色っぽくて、しかもけなげなので、観ていた私まで、お国のためだの何だのがぜ~んぶ吹っ飛んでしまったみたい(笑)。

『コクリコ坂から』(監督:宮崎吾朗)

どちらかというと40代以上の男性向け?の気がした。(高校時代をいい意味で懐かしむことの出来る人だと、さらにいいかも・・・とも。)

http://blog.goo.ne.jp/muma_may/e/cd5856a6f5856e30d1a217f86bfe662c

『大鹿村騒動記』(監督:阪本順治)

大楠道代さんは認知症(役)でもステキ~♪

 http://blog.goo.ne.jp/muma_may/e/ddb414f1569561d838f2780386531732

『まほろ駅前多田便利軒』(監督・脚本:大森立嗣 原作:三浦しをん)

主役の瑛太と松田龍平さんが役に嵌って見えて、とても魅力的。他の人たちも、どことなく楽しそう~。ギリギリ湿っぽくならないで、「人を癒す」雰囲気を感じさせる映画になっていると思った。こういう肩の凝らなさ、力の抜き加減は、今の自分には観ていて心地良く、物語としてはちょっとムリがある?ように見えるところも、「ま、いいか」。(かなり作り物っぽい?人物像を、龍平さんは「いくらもこんなヤツいるよ~」な雰囲気で演じていて、いつもながら不思議な役者さんだと感心。常連客のオジイサン(麿赤兒)と赤ちゃんおぶったおべんと屋さん(大森南朋)が「あ、親子で出てる~」と思ってたら、監督は南朋サンの兄貴だったり・・・やっぱり楽しい(笑)。)

『一命』(監督:三池崇史)

予告編見たときは、一瞬『エンジェル ウォーズ』を思い出した(笑)。

http://blog.goo.ne.jp/muma_may/e/6281812fe966cbdb653369a772328b1b

『はやぶさ/HAYABUSA 』(監督:堤幸彦)

メモには、「狂言回しの研究生(竹内結子)を見ながら、どこかで「ウラヤマシイ・・・」?と思っている自分が居るのに気づいて驚いた。自分にはこういう道(研究者になること)もあったのかも・・・などと思ったのは初めてのことで、漸くそういうことが思えるようになった自分に、なんだか感慨があった。」などと。
「はやぶさ」関係の映画で観たのはこの1本だけで、観に来て良かったとも思った。現実の「はやぶさ」が気宇壮大な「夢」を感じさせてくれた話なので、若い女性研究者のタマゴの成長物語にも相応しく、映画を観ている間ずっと、彼女と一緒に「ハヤブサ君、頑張れ~」と応援し続けていたような気がする・・・そんな清々しさを感じさせる映画だった。

『モテキ』(監督:大根仁)

メモには「森山未來とパフュームが公園で歌い踊るシーンが楽しい♪」。「確かに、アラサーの男(の子)ってこういうもんなんだろな~。私はそーゆーこと全然気がつかなくて、彼らをもっと違うイキモノだと勘違いしていた気がする(笑)。」などと。(長澤まさみさんは、これまで観た中で一番自然に見えて、私は好感を持ったけど、男性からはあらゆる誤解を受けそうな役~(笑)。)

『ステキな金縛り』(監督・脚本:三谷幸喜)

メモには「思いつき、アイディアとしては面白く、俳優さんたち一人一人は(芸達者な人が揃っているので当然ながら)好演してるのに、なぜか全体としてはそこまで面白くない・・・というのが残念。三谷さんの舞台は面白い!し、映画の“同窓会”的雰囲気も私はキライじゃないので、最近は『勿体ないなあ。なんでなのかなあ・・・』などと思って、ちょっと悄気る(なんで私が?)。あ、でもエンディング・テーマは好きだった。深津絵里さんの声ってきれいなんだ~。」などなど。(今調べてみたら、興行的には大当たりで、日本アカデミー賞なんかもゾロゾロ受賞しているみたい。世の中では、今はこういうのが受けるっていうことなのかな・・・と思うと、それはそれで納得がいく?気もするけど。)

『サラシーマンNEO劇場版(笑)』(吉田照幸監督)

映画の後でチラシを見たら、「サラリーマンNEO」というのはNHKの「異色コント番組」で、既に8年目に入っていて、「国際エミー賞コメディー部門に2度ノミネート」されていて・・・などとあってビックリ。(正直、全部冗談に見えた。)でも、メモにはひとこと。「ユルさの調節がそれなりに利いていて、『インモータルズ』よりこちらの方が、観ていて心地良かった。」(互いに比べるようなモノじゃないと思うんだけど(笑)。でもわざわざそんなコト書いたのは、どちらもフリーパスで、同じ日にハシゴして観たからだと思う。私からの距離はどちらも同じ・・・ってことなのかな?)

『アントキノイノチ』(監督:瀬々敬久)

主演の若い俳優さん二人だけ見ていたんだろうか。メモには「岡田将生くんの成長(俳優としても)に感動。榮倉奈々さんはいつもながら、台詞回しの自然な人だな~と。“話す”という演技の上手な人なのかな。」などと。
私はこういう物語(学校でのイジメや、それによる人の死、若い人たちが受ける深刻な傷・・・などなど)が元々苦手なので、フリーパスが無かったら観に行かなかったであろう映画の1本。(それにしても、タイトルの意味も、ストーリーの“落ち”も、全然わかっていなかったのに、“普通に感動”?した自分があとからなんだか可笑しかった。)

『映画スィートプリキュア♪ とりもどせ!心がつなぐ奇跡のメロディ♪』

フリーパスが無かったら観ることがなかったと断言できる映画。でも、フタを開けてみたらそこには・・・。

 http://blog.goo.ne.jp/muma_may/e/694e79c1a7b3817b145079d7534ab0fa

『アブラクサスの祭』(監督:加藤直輝 原作:玄侑宗久)

メモには「主役の男性(スネオヘアー)があまりに曰く言い難い迫力のある人で、一体何者だろう・・・と。小林薫の和尚さんが良かった~。」とだけ。(その後、ほったらかしにしたらしい。今調べてみて、本当にミュージシャンと知って・・・妙に納得。とにかく本人も変わったヒトらしいし、映画で演技とも生地ともそれ以外ともつかない感じだった理由が判ったような気に(勝手に)なった。妻役だったともさかりえさんとその後結婚したみたいで、むしろそっちに驚いたりして(笑)。)

『けいおん!』(監督:山田尚子)

これも若い友人に勧められて観に行ったアニメーション。メモには「今の時代を生きるコツ(というかそのために必要なモノのエッセンス ?)がちりばめられた作品だと思った。“京アニ・ファン”と自称する人たちの気持ちがヨクワカル気がした。(ユイちゃん、大好き!)」などと。

その後、2011年のベスト・キャラを選ぶとき、色々考えた揚句、この「ユイちゃん(平沢唯)」を選んで投票した。(その時の推薦理由がこの映画についての私の感想でもあるので、再度載せておきます。私のよりも他の方々の推薦キャラとその理由、それに対する主催者のレスがとても面白いので、興味のある方はどうぞご覧になって下さい。)
http://cc-kochi.xii.jp/special/2011bestc.html (チネチッタ高知 ベスト・キャラクター2011年の結果発表)





【2011年 ささやかなマイ・ベストテン】 


『メアリー&マックス』

『ヤコブへの手紙』
『霊長類』(フレデリック・ワイズマン作品より)
『その街のこども 劇場版』
『ショージとタカオ』
『442日系部隊 アメリカ最強の陸軍』     
『くまのプーさん』
『ミッション:8ミニッツ』
『ミスター・ノーバディ』
『孫文の義士団』           (順位なし)

 

1年間にスクリーンで観た中から選んだ、「ごく私的なベスト10本」です。(これまでの記事の映画名のアタマに、☆印をつけました。)自分にとって特別な意味があった、或いは映画として自分がとても好きな作品ということで、一般的にオススメというわけではありません。(今回はいつも以上にミニシアター系の作品が多くなりました。)

たった10本なので、2011年に「午前十時の映画祭」で観たクラシック作品(20本)は最初から入れていません。(そういえば2010年、2011年とも、「午前十時」作品については感想をほとんど書いていません。いつか書けたらいいなあ・・・と思うばかりです。)

他にも、『マイレージ・マイライフ』『マネーボール』『彼とわたしの漂流日記』『義兄弟 SECRET REUNION 』或いは『海炭市叙景』『はやぶさ HAYABUSA』などが候補に挙がりました。

やっとこれで、私にとっての2011年が終わります。こんな季節外れ、賞味期限無視~のクダクダを見に来て下さった方々に、心から御礼申し上げます。ありがとうございました。

 





2011年にスクリーンで観た映画は、 外国映画92本(自主上映39本 劇場53本 そのうち「午前十時」が20本) 
日本映画34本(自主上映13本 劇場21本)  合計126本でした。

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2 コメント

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126本!!凄い (更年期)
2012-05-27 19:09:57
年間、126本って事は
ムーマさんは二日に一回は映画館に行ってるって計算になりますよ
ホント凄い!賞味期限だって、私が観る映画に比べたら全然、新しいし^^;
凄い参考になります。私なんて一番最近観た映画「サイタマのラッパーⅡ」ですよ(笑)
「サイタマのラッパーⅡ」観たいな~♪ (ムーマ)
2012-05-27 23:47:01
>更年期さ~ん

私なんて、Ⅱは観てないです、まだ。(って何張り合ってるんでしょ(^_^:)

126本は、映画好きの方にとってはごくささやかな数字なんですが
更年期さんの仰るとおり、私としてはちょっと多すぎると自分でも思います。

もう少し本数減らして、観た後ゆっくり味わう期間をとった方がいいんじゃないかって
ず~っと思ってるんですが・・・なぜか上手くいかないんですよね、これが(^_^:。

去年は震災のこともあって、外出しない時期も長かったんですが
1年終わってみたら、いつもと変わらない数字になってました。
はっきり言って、道楽ってビョーキの一種だと思います(^o^)。

あ、でも二日に一回映画館・・・ってことはありませぬ。
美術館の自主上映なんかだと、一日に数本まとめて見せてくれたりするので。
(しかも「一日券」が前売り千円で買えたりします♪)

でも、(しつこく言って申訳ないんですが)私の感想はほんとに個人的なので、マユツバ・・・と思ってて下さいね(^_^:

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