眺めのいい部屋

人、映画、本・・・記憶の小箱の中身を文字に直す作業をしています。

『マイ・バック・ページ』

2012-05-15 18:16:42 | 映画・本

長くなった「ひとこと感想」その15。

映画で描かれた1969~72年というのは、私にとっては中学3年~高校3年に当る。映画を観ながら、その頃の自分や自分の周囲で起きていたこと、テレビや新聞のニュースで目にしたこと・・・などを思い出していた。


当時の「学生運動」それ自体は、私自身は経験もなく遠い世界の話?なのだけれど、それでもその後、地方の小さな大学に行ってから、それがどういうものだったのかを経験者たちから直接聞いたり、運動の「その後」のさまざまな形を身近で見聞きしたりした。

早稲田に進学した同級生の友人は、「アレに関わりのある男だけは真っ平。」と吐き捨てるように言った後、講義の途中で鉄パイプを持ってなだれ込んでくる風景がほとんど日常なのだと、心底イヤそうに説明してくれた。私はもっと普通人の感覚で、(所謂セクトだの何だのとは関係なく)ただ世の中のさまざまなことに疑問感じるが故に活動する人たちを周囲で見ていたので、中央(大都会)と地方との差の大きさを感じ、何も言えなかったのを思い出す。


私のように1人でひっそり居たがる?人間でさえ、その頃はそういう空気の中にいたのだ。映画の中の沢田がスクープを狙ったという以上に、正体不明の梅山に深入りしていく気持ちは、説明は出来ないけれど私にもわかるものがある。沢田のように「自分にも、もっと何か出来たのではないか」と どこかで感じている人は、当時は決して少なくなかっただろう・・・という気がした。


映画のラスト、沢田の流す涙が何とも言えない。
事情は違っても、こういった経験(簡単に「挫折」のひとことでは片付けられないものだと思う) をした多くの若い「普通の」人たちの、その後の人生を考えた。

(それにしても、妻夫木聡も松山ケンイチもいい俳優さんなんだなあ・・・と。)



 

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