ある宇和島市議会議員のトレーニング

阪神大震災支援で動きの悪い体に気づいてトレーニングを始めいつのまにか、トライアスリートになってしまった私。

【英語力】難波先生より

2014-03-17 14:06:19 | 難波紘二先生
【英語力】
 小保方学位論文には2種の文章がある。NIHのHPからそのままコピーした20頁あまりの「序論」部とそれ以外の部分だ。「序論」冒頭はこうなっている。
<Importance of stem cells
Stem cells have the remarkable potential to develop into many different cell types in the body during early life and growth. In addition, in many tissues they serve as a sort of internal repair system, dividing essentially without limit to replenish other cells as long as the person or animal is stiH alive. When a stem cell divides, each new cell has the potential either to remain a stem cell or become another type of cell with a more specialized function, such as a muscle cell, a red blood cell, or a brain ceU.>(赤字の部分はPDFをテキストに変換する際に、当方で生じた文字化け。それぞれstill、cellが正しい。)
 ざっと読むと、この文章は平易で学術専門用が、まったく使われていないこと。例えばerythrocyte と言わずにred blood cell(赤血球)と書いている。
 また、定冠詞と不定冠詞が使い分けられている、代名詞が使われている、副詞句を使って表現を豊かにしている、という特徴がある。

 ところが、「第3章 小細胞の分化能力」(ここは小保方の執筆のようだ)を見ると、全15頁のうち、文章5、図・写真6、文献5頁となっていて、実験を記述する文章が極端に少ない。
(本文に文献番号がないことは、すでに多くにより指摘されている。図・写真についている説明は意味不明のものが多い。
 ここで冒頭のテキストを引用し、上記のNIHの文章と比較してみよう。
<3.1 Introduction
3.1.1 Differentiation potential of stem cells
One of definitions of stem cells is multidifferentiation potential. Also the degree of their stemness is determined by their differentiation potential. According to results of section 2, sphere forming cells expressed pluripotent cell markers. Therefore in this section, we aimed to confirm their differentiation potential in \dvo and in vitro.
3.2 Experimental
3.2.1 / 77 Differentiation Assays.
In \itro differentiation assays were examined following the published differentiation culture conditions for murin ES cells.
Mesoderm lineage differentiation assay. Dissociated muscle cells were stained with anti-asmooth muscle actin antibody, anti-Myosin antibody and anti-Desmin antibody. Chondrocj^es were stained with Safranin-0 and Fast Green. Osteocytes were stained with ALIZARIN RED S, After 21 days, adipocytes were stained with Oil Red 0.
Ectoderm lineage (Neural lineage) differentiation assay. Cells were plated on ortinin-coated chamber slides and incubated with anti-pIII Tubuin mouse monoclonal, anti-04 mouse monoclonal antibody and anti-GFAP mouse monoclonal antibody.
Endoderm lineage (Hepatic) differentiation assay. Differentiated cells were detected by immunohistochemistory using anti-a-fetoprotein mouse monoclonal antibody, anti*Albumin goat polyclonal antibody and anti-Cytokeratin 18 mouse monoclonal antibody. Results from immunohistochemistry were confirmed by R T -P C R .>
(赤字部分は私のOCRによる変換ミスで、上から
 ¥dvo=vivo、/77=In vitro、¥itro=vitro、asmooth=αsmooth、Chondrocj^es=Chondrocyte、
ARIZARIN RED S,=ARIZARIN RED S. 、Oil Red 0=Oil Re O、pIII=βIII、anti-04=anti-O4、a-fetoprotein=αfetoprotein、anti*=anti-、が正しい。)

 以下はこの節の「要約」と「考察」の部分。
<3.4 Summary of section 3
♦ Spheres differentiated into cells derived from all three
germ layers in vivo and in vitro

3.5 Discussion
Spheres differentiated into cells derived from three germ layers in vitro. It is yet answered that it was either differentiation or trans-differentiation. Also it is hard to refer the difference from in vitro differentiation potential of mesenchymal stem cells.
However, at least sphere forming cells enabled to generate various mature cells. In addition, in vivo differentiation assay proved that sphere forming cells were indeed stem cells, but distinct from ES cells in proriferative potential. The relationship between proliferative potential and differentiation potential has yet been understood. Spheres in this study showed differentiation potential which fulfill the critereia for both mesenchymal stem cells and neural stem cells. We believe that the spheres studied contain precursor cells to both mesenchymal and neural stem cells Uneages.

「序論」のNIH文書ならやさしく書くところが、全部専門語になっている。
 fat cell→Adipocyte, cartilage cell→Chondrocyte, bone cell→Osteocyte,
(左の語はスペルチェッカーで引っかからないが、右側はすべて赤のアンダーラインが出るはず。)
 で、出てくる単語は全部わかるが、何度読んでも文章の意味が通じない。
 単語にも文章にも多くのミスがある。
 Chemistory=これだと「化学物語」の意味の造語になる。どうして応用化学卒の博士課程学生が、中学で習う「化学=Chemistry」を正しく綴れないのか?
 東大のゲラー教授はネイチャー第1論文に、2箇所出てくる「パスツール・ピペット」がpasture pipette(p.8)になっていると指摘している。正しくはPasteur pipetteだ。
 近代化学の父であるフランスのルイ・パスツール(Louis Pasteur: 1822-95)を、応用化学科卒の学生が知らないというのも変な話だ。パスツール変じて、「草を食う=pasture・ピペット」となってしまった。どうして共著者の誰も気づかなかったのか?
 同様の初歩的ミススペルは他にもある。
 3.2.1:=murin ES cells:マウスの単数がmouse、複数がmiceというのは中学生の英語。マウスもラットもひっくるめていうときは、ネズミを意味するラテン語musに由来する「murine」を用いる。要するに「齧歯類の」という意味だ。
 動物実験の論文では、しょっちゅう用いられる単語であり、ミススペルするとは考えがたい。
 Proriferative→Proliferative:これは日本人によくあるLとRの間違いだが、「増殖」を意味しており、このテーマで学位を請求する論文にあってはならないミスだ。
 Critereia→Criteria:「クライテリア」として日本語にもなっており、「基準」という意味だ。これも高校レベルの語彙だろう。
 Sphere=上記の3.1.1に<According to results of section 2, sphere forming cells expressed pluripotent cell markers. Therefore in this section, we aimed to confirm their differentiation potential in vivo and in vitro.> とある。(OCR変換ミスは修正した。)
 このスフィアは、一般には「球体」の意味で、月とか地球の形状ないし(定冠詞をつけて)球体そのものを意味するのに用いられる。
 論文では、<3.3.1. When representative bone marrow derived spheres were dissociated into single cells and exposed to three different differentiation media, the cells differentiated to express specific genes of the three lineages, Map2 (ectoderm), MyoD (mesoderm) and alpha-fetoprotein (AFP, endoderm) (Fig. 10).
The addition of a neural differentiation medium to the in vitro environment of cells from bone marrow spheres, resulted in expression of pIII tubulin (a marker for neuron) (Fig. 11).
Alternatively, the addition of 20% fetal calf serum to the media resulted in the expression of markers representative of mesoderm; that is, α-smooth muscle actin (Fig. 11) as well as the mesenchymal cells, chondrocytes, osteocytes and adipocytes (Fig. 12).
Thus, cells from spheres differentiated into all cell types of neural (neurons, oligodendrocytes and glias) and mesenchymal stem cell lineage (chondrocytes, osteocytes and adipocytes). When exposed to a hepatocyte differentiation media the expression of a-fetoprotein (Fig. 11), was seen, suggestive of differentiation into endodermal tissue.> とある。
 ここでは、「骨髄由来の細胞をバラバラにして培養して得られた<細胞小塊>」をスフィアと表現している。これは顕微鏡レベルの大きさだから、普通は「spherule(小塊)」と書くところだ。
 この小塊(複数)を外胚葉用、中胚葉用、内胚葉用の3種の分化誘導培地に入れて培養したら、それぞれ外胚葉由来の神経細胞(pIII-テュブリン)、中胚葉由来の平滑筋(α平滑筋アクチン)などと、内胚葉由来の肝細胞(α-フェトプロテイン)が、免疫細胞学の方法で確認され、体細胞が三胚葉への分化能力を持つことを、in vitro実験で確認した、というものだ。
 (ここのFig.11 α平滑筋アクチンの写真が、ネイチャー第1論文のFig. 2dの下欄中央に、「マウス脾臓のCD45+リンパ球由来の細胞がSTAP細胞に初期化後、中胚葉に再分化した証拠」として使用されている。全く違う実験なので、写真の誤用はありえない。)
<neural (neurons, oligodendrocytes and glias)>と最後のパラグラフに並列してあるが、神経組織は神経細胞(Neuron)と膠細胞(Glia cell)に分かれ、後者に稀突起膠細胞(Oligodendrocyte)、星状膠細胞(Astrocyte)が含まれる。従ってastrocyteとglia細胞を同列に置くのは間違いだ。

3.5.DISCUSSIONの冒頭:
<Spheres differentiated into cells derived from three germ layers in vitro. It is yet answered that it was either differentiation or trans-differentiation. Also it is hard to refer the difference from in vitro differentiation potential of mesenchymal stem cells.
However, at least sphere forming cells enabled to generate various mature cells.>
 ここの4文がさっぱり意味が取れない。第2文に「It」が2つあり最初のものはthat以下を示す形式的な主語だが、後の「It」は何を指すのか?
 文脈上は「spherule(sphere)のthree germ-layersへの分化(differentiation)」だと思われる。
 そうすると、
 It is yet to be answered whether this phenomenon, i.e. the differentiation of spherule-forming cells, was due to the differentiation of the stem cell or to the trans-differentiation of the mesenchymal stem cells.
このくらい補わないと意味が通じない。
 次の、Also it is hard to refer the difference from in vitro differentiation potential of mesenchymal stem cells. However, at least sphere forming cells enabled to generate various mature cells.
 この文も意味が取れない。
Referは「refer to」で「言及する」、「帰する」という意味になるが、rifer the differenceでは意味がわからない。全文の「分化なのかトランス・分化なのか、決めるのが困難だ」という表現を踏まえれば、「この実験では、間葉系幹細胞の分化能との違いを見きわめることはできなかった」と言っていると思われる。
 ところが、結論は、
 However, at least sphere forming cells enabled to generate various mature cells.
となっている。Enable=可能にする、権限を与える、という他動詞の使い方がおかしい。
もしCells were able to generate various mature cellsと同義だとすると、冒頭の
 Spheres differentiated into cells derived from three germ layers in vitro.と同じであり、同義反復になる。
 普通、「考察」の部分は自分の実験でえたデータと既報告の他論文を自由自在に引用して、データから得られる結論なり仮説を絞り込んで行くものだが、本文に一切文献引用がない。
 全15ページのうち1/3の5ページを「参考文献リスト」が占めているが、これは他の論文の文献目録をそのままコピーしたものだと証明されている。
 こんな悪文の英文論文はもう読みたくないと思うが、テキストから透けて見えるのは、英語力の決定的不足、生物学医学の基本知識がない、論理的思考力がないということだ。倫理性についてはもういうのを止める。
 が、どうしてそれが大事件になるまで発見されなかったのか不思議だ。
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4 コメント

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referのスペルミス (名無しの技術者)
2014-03-17 19:01:47
先生の文章にもスペルミスがあります、早めに訂正されたほうがよろしいかと。rifer to…→refer to…
脇道ですが (同世代)
2014-03-21 00:43:14
> 中学で習う「化学=Chemistry」
> マウスの単数がmouse、複数がmiceというのは中学生の英語。

中学英語のレベルはそんなに高くありませんよ。
私は小保方氏と同世代の者ですが、中学では mice どころか mouse も習った覚えがありません。
演習に便利なので国語数学英語理科社会は習いましたが、数学は mathmatics ではなく math で教わりました。

私は中学生の頃は公立高校入試で満点近く取るための勉強しかしていなかったので、
above, below, however, therefore, appear, consider などを高1で初めて学ぶことになり、
非常に苦労したのをよく覚えています。
早稲田大学のAO入試 (元理系)
2014-04-03 10:59:31
> 英語力の決定的不足、生物学医学の基本知識がない、
> 論理的思考力がないということだ。

小保方さん、早稲田大学理工学部卒ですが、
AO入試、いわゆる一芸入試で入られてます。
学科試験では合格できないレベルの方では?と。
I agree. (K.Aoki)
2014-06-05 22:02:11
専門は全く異なる機械工学・ロボット工学です。おまけに国立2期校の学部卒で、コメントするのがいかがかと思いました。
そして67歳ですが、英語は55年間、ほとんど毎日やっています。技術文献抄録などやっていますが、私の読む英文はRoboticsなどを中心に、すべて格調高い文書です。ほかの方のコメントにあるようなことには疑問を感じます。mouseの複数はmice、数学は,mathematics,化学はchemistryくらいは受験勉強から50年以上たった今でもスペルは出てきます。
やはり何かおかしいのですね。

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