ある宇和島市議会議員のトレーニング

阪神大震災支援で動きの悪い体に気づいてトレーニングを始め、いつのまにかトライアスリートになってしまった私。

【献本お礼など】難波先生より

2017-11-20 18:15:32 | 難波紘二先生
【献本お礼など】
11/16〜17と一泊二日の日程で、喜寿記念の高校クラス会が東京で開かれ、隅田川東岸の下町を見物した。
高校は広島大附属高校で、入学時は「教育学部」附属高校だったが、いつの間にか「広島大附属高校」と呼ばれるようになった。
3年間クラス替えがなく最後が「3年5組」だったので、「さんご会」と呼ぶ。「珊瑚」に通じるのでよい名前だと思う。

 何はさておいても、この会には出席するという人が、かつては多かったが、今回は
出席者が15名(うち1名は私の家内=付添)と少なかった。
(元のクラス人数は41名。)

東京圏=7人
関西圏=3人、
広島県=5人
という分布になっている。
 この前、医学部卒業50周年記念クラス会には、車椅子の人、脳梗塞後で夫人同伴の人、目が不自由になり夫人同伴の人がおり、40人クラスで亡くなって人が、10人近くいて黙祷をしました。
 医師は意外に短命だと思いました。開業医の場合、後継者がいないと大変だろうと思います。

 東京のクラス会では、ひとりは車椅子になっていた。通称「ラーメン」というその男が「俺が死んだらお前に解剖してもらう約束になっている」というので、記憶になく(たぶん私をからかっている)、

「勘弁してくれ。わしも年とって田舎暮らしになっている。それに付近に死体解剖の施設もないし、ロキタンスキー法という手早い方法も、ウィルヒョウ法という丁寧な方法も体力的に無理だよ。ニューギニア高地人がやっている、豚ののどから内臓を引っぱり出す解剖法ならできるがね」というと、向こうが「そんなの願い下げだ」と言いました。

 クラス会では、広島の一人も階段を踏み外して転び、腰痛症があるそうだ。がんを患っている人が全体で二人いた。
もちろん、がんですでに死亡した人は欠席だ。

 ある医師の話によると、外科系の手術の腕がよく分かるのは麻酔医だそうだ。 
ふつうなら200mlの輸血1本ですむのに、2L以上も輸血が必要になる外科の教授がいたそうだ。私も腹腔内にガーゼを置き忘れた手術を、病理解剖で見つけた経験がある。(こういう事実は病院長に直接報告しておく。)

病理解剖の記録(カルテより詳しい)は、すべてが正確に記載してあり、解剖番号順に製本して、永久に保存される。しかも「日本剖検輯報(しゅうほう)」という日本病理学会刊行の辞書みたいに厚い本として印刷され、病院別にその要点が遺体番号別に(匿名化されている)記載され、国会図書館にも納本されている。
 従って、元の病院に行き、遺族として情報開示を求めることもできるし、解剖番号を知れば、国会図書館に行くか、そこの電子書籍をネットで閲覧すれば、本当の病名が何であったかを知ることができる。年齢と性は書いてあるから、長寿者には高率に「潜在がん=がんもどき」が見つかっていることも書いてある。これを癌研の故菅野晴夫先生は「長寿がん」と命名された。
 お寺の過去帳よりも、よほど役に立つ。

 私は病院勤務の時代にクリスチャンの院長が、「安芸門徒の坊さんの法話など聞きたくない」と言いだし、院長命令で「解剖慰霊祭」に講話をさせられたことがある。

 一世一代の演技が必要だなと喪服を着て、声を変え、「あなた方の愛惜される故人がなされた医学への貢献は、このように永久に病院と国会図書館に保存されます。どうかご安心下さい」と語ったら、
参列の遺族席から嗚咽の声があがった。

 たぶん医療訴訟担当の民事の弁護士でも、病理解剖記録のことは知らないのではないかと思う。
 病理診断が「最後の診断」と呼ばれるのは、上記のような理由によるものだ。

★東京から自宅に戻ってみたら、「医薬経済」11/15号が届いていた。厚くお礼申し上げます。

1)高橋幸春さんの「移植医・大島伸一回顧録:⑥愛知方式」をまず読んだ。これを読んで大島伸一先生が、愛媛地裁前で、私が名刺を差し出し「飯島宗一先生の弟子です」と自己紹介したら、ハッと気づいたように表情が変わり、自分の名刺を差し出された理由がよくわかった。
同行していた阪大の高原史郞や、奈良医大で透析をやっている吉田某はそっぽを向いていた。
 「東海腎バンク」という日本最初の死体腎ドナー供給ネットワークは大島先生が中心になって総説されたのだ。
 東海腎バンクが創立された1978年から89年までの間で、愛知県では319例の死体腎移植が行われ、日本一だったという。
 こうした実績が買われて、大島先生は後に名大教授(泌尿器科)に抜擢されたのだと思った。
 ただ、この「愛知方式」には患者が移植を受ける病院を自分で選べないという問題が残っていたという。

 高橋さんと言えば「広島ペンクラブ」例会で、堀江剛史(よしふみ)という人に会った。ブラジルから日本に来た人で、日本国籍だそうだ。「パウリスタ新聞」という日本語新聞の仕事で、高橋さんと旧知だそうだ。
 私は常々、世界は「複雑系」で、人のネットワークはどこでどうつながっているかわからないと書いているが、
イベント業のディレクターをしているホリエモンと高橋さんが友人だとは知らなかった。
 つくづく世の中は狭いものだと思う。これで「修復腎移植」の支持者がまた一人増えた…。

2)同じ号に「エンディングノート8」として
 カルーセル麻紀が「<理解者>を見つけてほしい:生まれ変わっても同じ道を辿りたい」を書いている。(これがまたややこしい。米語で「カルーセル」というと、コダックの円盤形回転式スライド・プロジェクターのことをいう。彼女の芸名はコダックのプロジェクター以前に付けられている。)

 「え、まだ生きていたの!」
と驚いて略歴を見たら、1942年北海道釧路生まれで、今年74歳だから1941年生まれの私よりも若い。12年前に「性同一性障害特例法」に基づき、戸籍上も女性になった、とあった。
 「おねえことば」というのは知っていたが、男性から女性への性転換手術をした人を「オネエ」ということは知らなかった。(世事に疎い男だと思う。)

 1980年頃にニューヨークとサンフランシスコ、ロサンゼルスでエイズが流行した時、患者の多くは連邦政府の役人とか弁護士など学歴の高い男たちだった。だからアメリカにも同性愛者が多いこと知ったが、差別や偏見はなかった。私はある大学病院の医学部長(血液内科)が患者会に誘ってくれたので、参加したが、学会レベルの質の高い質問が出るのに驚いた記憶がある。
 
 カルーセル麻紀の「死病」のことは書いてない。
<6年前に「閉塞性動脈硬化症」を患って、危うく足を切断するところだった。>と書いている。
 これは昔は「バージャー氏病」といい、ヘビースモーカーに好発する血管病だった。彼女はいまでも1日にタバコ2箱を吸うという。

 医者はきっと「タバコを止めろ」と言ったに違いないが、
タバコを吸うことでストレスを解消するのと、病気になるリスクを天秤にかけないといけないと思う。
 ヘビースモーカーの山田風太郎は、
<小説を書くことはちっともストレスにならないと言ったら、小説家の吉行淳之介が唖然とした>
という話を随筆集に書いている。
 風太郎は糖尿病、糖尿病性網膜症、軽い認知症になったが、肺がんにもバージャー病にもならなかった。

性転換について偏見が多い日本社会でずいぶん苦労したことが書いてあり、読んでいて涙が浮かんだ。しかし、いまや郷土の誇りだそうで、「北海道新聞夕刊」に11月から彼女をモデルにした連載小説、「緋の川」(桜木紫乃執筆)の連載が始まったという。

3)鳥集徹の口に苦い話No. 50「インフルエンザ・ワクチン不足、困るのは誰なのか?」は私が密かに思っていたことがズバリ書いてあり面白かった。

 あれはRNAを遺伝子として持つウイルスが病原体で、普通のマスクでは防げない。なぜならウイルスの粒子が極めて小さく、マスクを通り抜けるからだ。鳥インフルエンザはウイルスが毎年変異するので、ワクチンは用意できない。
 要は、インフルエンザが感染する人混みに行かないことだ。
 私も家内もインフルエンザの予防接種などしたことがないが、インフルエンザにかかったことがない。娘や息子も同様だ。

 仕事場が寒くて、鼻水が少し出るが(現在室温17度、湿度52%)、これは寒冷アレルギーによる軽い鼻炎にすぎない。逆に鼻から息をすればインフルエンザ・ウイルスは気道内に侵入せず、鼻で食いとめられるはずだ。

 「NOTE BOOK, こぼれ話」という記事によると、「天皇の退位(による元号の変化)が影響して、医薬品の 取り引きが和暦(元号)から西暦に変更される」という。おそらく西暦表記は今後、加速されるだろうと思う。
 「産経」は今でも和暦表示が主だが、今後どう対応するだろうかと思う。

 他にもいろいろ紹介したい、興味深い記事があるが、割愛する。
 封筒の裏を見ると、医薬経済社の刊行書の案内があり、
 相田能輝「医者は口を見ない、歯医者は口しか診ない」とか
 辰濃(たつの)哲郎「海の見える病院:語れなかった<雄勝>の真実」 
 など興味深い本がある。(辰濃氏は元朝日記者)

 辰濃氏の「歪んだ権威:密着ルポ・日本医師会」は
すでに読んだが、医薬経済社から出版されたことは忘れていた。

 というわけで、この雑誌は「日経パソコン」のように、面白い記事が多い。
病院の医局や大きな薬局では購入したらよいとお勧めしたい。
その心は、「初めは難しいが、何冊も読んでいるうちに、すらすらと理解できるようになる」。

 記事を読みやすくする努力と、ファミリーマートとセブンイレブンの戦争の実態レポートなど、素人でも関心がある話題を取り上げる編集部の企画力が素晴らしいと思う。
 セブンの方が、銀行ATMがあるので、集客力高く、全国店舗の平均1日売り上げが、ファミマよりも約13万円高いそうだ。
 週刊誌も書けないこういう記事が載るのは、製薬会社の広告だけなのと固定読者が多いからだろうと、推察だが述べておきたい。


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