この懐かしき本たちよ!

まだ私の手元に残っている懐かしい本とそれにまつわるいろいろな思い出、その他、とりとめのない思いを書き綴りたい。

#471フランス映画「天井桟敷の人々」9

2008年05月04日 | 映画、ドラマ
(#460フランス映画「天井桟敷の人々」8からつづく)
パントマイムの演技の間に思わず声を出してバチストを呼んだナタリーは楽屋に帰ってから父の座長に罰金を言い渡され声を出した理由を聞かれる。
座長「なぜ声を出した?」
ナタリー「怖かったの。」
座長「何が?」
ナタリー「バチストよ。彼が怖いの。彼は変ったわ。目はうつろで心ここにあら ず。正気を失ってしまったよう。」
これに対して、バチストの父の劇団員が、バチストは今までになく明るいといい加減なことを言うと、ナタリーははっきりとこういう。
ナタリー「あなたと違って私は彼を愛してるわ。
     彼はひどく苦しんでいる。ロープなど使って・・・あれも彼のアイデアよ。」
 バチストが楽屋に入って来る。そしてナタリーに言う。
バチスト「僕が苦しんでるって?君は苦しんでるの?」
ナタリー「違う苦しみよ。」
バチスト「なぜ?」
ナタリー「私には確信があるの。」
バチスト「確信?」
ナタリー「ええ、信じてるの。いつか愛してくれると。」
バチスト「君は優しいね。」
ナタリー「あなたもよ。
     誰のせいでもない。うまくいかないだけよ。
     まるで回転木馬みたい。
     私はあなたを愛し、あなたはガランスを愛し、
     彼女はあの男を。」
バチスト「彼女がフレデリックを?」
ナタリー「だって二人は一緒に暮らしているわ。」
バチスト「だから何だ。一緒にいれば必ず愛してるのか。
     あの二人の生活はただのまねごとだ。」

映画では次にこの同じ楽屋でのガランスとフレデリックの会話の場を示す、そして二人の関係が今どうなっているかを示す。
そして同じ楽屋に、ガランスの美しさに惹かれているモントレー伯爵が大きな花束を持ってガランスの歓心を買いに来る。 
伯爵の見事にかざられた言葉、それに対してのガランスの痛烈な応酬とあしらいが見事である。
伯爵が去った後、バチストがガランスのところに来て、ガランスへの屈折した思いをぶちまけながら、伯爵の持って来た大きな花を叩き折る。

それぞれの台詞が見事である。次回でもその台詞を紹介したいと思うのである。
                                    (つづく

画像:バチストに語りかけるナタリー





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