森下達朗氏の著書「一高寮歌解説書の落穂拾い」は副題に <虫の目と鳥の目で寮歌を読み解く>とある。
この書の序に、薗部達郎氏(一高昭和7年文甲卒)(元一高同窓会理事長)にこう書いておられる。
「 私共一高卒業生にとり寮歌は生命である。だからこの歳になっても「寮歌祭」はじめ、毎月のように行われる「木曜会」、「うたう会」が楽しみである。殊に、寮歌に心酔される会友の方々の熱心さから、その間に交わされる寮歌問答が関心を呼ぶ。私は
つとに作詞者からできるだけ作意を伺ってきたが、列席の方々の寮歌問答は素晴らしい。
殊に数年前から会毎に頂戴してきた森下君の「落穂拾い」は、一高生が当たり前として見過ごしてきた歌詞の典拠等を丁寧に拾い上げてくれるだけでなく、斬新な視点からの解釈をいくつも披露してくれる。寮歌は一高生全体のものと観じてきた私も、眼を見張って来た。
その刺激から私も雑ながら「寮歌こぼればなし」をものにしてしまった。
(中略)
今般、森下君が、その「落穂拾い」を集大成されると伺い、両手を挙げて賛成し、その再読により、益々寮歌論議の高まらんことを期待している。
森下君の御努力を賛美し、更に他の研究者の方々の発表を待望したい。そして、寮歌の今後を安んじて歌い続けたい。
有難う、有難う。」
森下達朗氏はこの書のあとがき でこう書いておられる。
「 平成16年11月に一高同窓会から『第一高等学校寄宿寮寮歌 開設』が上梓されたが、同解説書は一高の卒業生はもとより、一高同窓会会友や寮歌愛好者が久しく渇望していた貴重な労作であり、正しく干天の慈雨であった。執筆された書先生のひとかたならぬご尽力に心からの経緯と感謝を捧げたい。
かねてから一高寮歌の歌詞の典拠や歴史的・思想的背景に関心を持っていた筆者は、同解説書によって、一高寮歌のすばらしさ、奥深さについて認識を新たにし、それに触発されて、一高寮歌の歌詞の典拠や解釈について、僭越ながら、今日までささやかな研究を続けて来た。 」
私は昨年(2009年)の半ばから、学生時代からの禅会でご指導を受けて来た三上恭平さんのおすすめで、一高寮歌を歌う会である「詠帰会」に参加させて頂いた。
詠帰会には、学生時代から同じ禅会でご指導頂いた、深谷晋さん、岩谷久生さんもおられるのを知った。そして私が大学の教養課程で在寮した「三鷹寮」の寮委員長をしておられた荒木健一さんもおられた。何十年ぶりかの再会で懐かしかった。
出席者は私よりも先輩の方がほとんどで、私は何となく大学の新入生になってやさしい上級生にとりかもまれているような気持ちになったものである。
毎回、3時間ほど皆で寮歌を歌うのであるが、それが始まる前にいつも、森下達朗さんが「一高寮歌の落穂拾い」と題するそのときどきの研究発表をされるのが常であった。森下さん以外にも会員の南部直樹さんが研究発表を行っておられる。いずれも見事なものであり、その都度感銘する。
私は義兄の船山幸哉が一高の卒業生だったこともあり、一高寮歌には高校生のはじめからあこがれており自分でも歌いたいと思っていた。
詠帰会で諸先輩と共に歌えるのは実に幸せなことである。
そして、この森下達朗さんの研究書をあちこと開いて読むのも実に楽しいことである。
森下さんは、先週の秋の一高寮歌祭で隣に座らせて頂き直接お話しをさせて頂いた。
昨日11月5日の「一高歩く会」でビジターとして参加させて頂いた私は、森下達朗さんと冗談もまじえて話しをしながら一緒に歩かせて頂いた。
これから寮歌の歌詞についてもいろいろと質問させていただけるだろうと楽しみである。
(著者森下達朗「氏」がいつの間にか森下達朗「さん」と親しく呼ばせて頂いた。)
画像 「一高寮歌解説書の落穂拾い」 全306ページ
平成21年(2009年)12月25日 第1刷 非売品 印刷製本 有限会社 愛幸堂
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