日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

汽車旅in信越 2016 - 魚仙

2016-01-23 21:06:23 | 居酒屋
降りしきる雪の中を歩いて「魚仙」にやってきました。雪の中とはいっても、宿からここまで歩道に屋根が連続しており、濡れることはありませんでした。車道も融雪されており、掻き捨てられた雪が高く積もっているという光景がここではありません。北国とは違う、越後の冬らしい光景です。

お通しには白魚とワカメをポン酢で和えたものが出てきました。お通しが出たところで刺身を、刺身を半分ほどいただいてから油揚げを頼むという時間配分も、足繁く通ううちにすっかり確立した感があります。
前回は短い間隔での再訪だったこともあり、油揚げを飛ばして他の品を選びました。しかし、四ヶ月間が空いたなら、やはり油揚げしかありません。先月奈良の「蔵」を訪ねて、あちらの油揚げも全く遜色ないことを再確認しましたが、改めてここの油揚げをいただいて気付いたのは、水分が多いということです。噛んだ瞬間に、肉汁のごとく汁気が溢れてくるのは、「蔵」の油揚げにはない、いやどこの油揚げにもないここだけの特徴でしょう。店主が先客に説明していたところによると、そもそも油揚げ自体が市販されるものとは違う特注品なのだそうです。ただし、素人が同じものを焼いてもこうなるわけではなく、特注の油揚げを職人芸で焼き上げることにより、唯一無二の味と食感が出ているのだと推察します。何回足を運んでも、必ずいただきたいと思う逸品です。

その油揚げに続けて二品ほど選べれば完璧というところ、今回は一品限りになるのを承知で寄せ鍋を選んでみました。ホワイトボードに書かれたおすすめの品々も捨て難いものの、趣向を変えたいという考えが勝ったとでも申しましょうか。しばらくしてコンロとともに運ばれてきたのは、小鍋というにはやや大きめの深い土鍋でした。様々な魚介と野菜を使った鍋で温まり、残った出汁を雑炊にしてもらえば一丁上がりという寸法です。
そう思ったところ、教祖が「キングオブなめろう」と絶賛する鰤のなめろうが差し出されました。余ったからと店主はいうものの、一人前と全く変わらぬ分量です。刺身に盛り込まれていた鰤も、北陸で食したものにも引けを取らない上物でした。最盛期に来た以上、なめろうも食べて行けということなのでしょう。ありがたい心遣いです。
これならもう一杯となるのは必然の流れであり、予定外の四杯目をすかさず注文。なめろうを肴に店主おすすめの「松乃井」を飲み干し、雑炊をいただいたところで看板と相成りました。

魚仙
長岡市殿町1-3-4
0258-34-6126
1700PM-2230PM(LO)
日曜定休

名水の恵・越路吹雪・松乃井
お通し
お刺身おまかせ盛り合わせ
特選油揚げ
寄せ鍋・雑炊
なめろう
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汽車旅in信越 2016 - 牡丹雪

2016-01-23 19:48:34 | 甲信越
幸いにして本日のダイヤには寸分の狂いもなく、柿崎で列車を降りてしばらくすると、新・新潟色の115系3連が定刻にやってきました。長岡に到着次第宿に荷物を置いて、九時頃には「魚仙」に入れるという理想的な流れです。
先ほど長岡に着いた頃から、大粒の牡丹雪が降っています。明日の未明から昼にかけては風も強まるようです。本日乗った海沿いの区間を、明るいうちにもう一度乗れれば理想的ですが、ダイヤは少なからず乱れるかもしれません。それを承知で乗り込むのも一興ではあるのですが。

★柿崎1932/1345M/2036長岡
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汽車旅in信越 2016 - 糸魚川快速

2016-01-23 18:39:37 | 甲信越
485系6連の通称糸魚川快速で信越本線を上ります。北陸新幹線の開業時、「北越」の廃止で県都への直通列車を失った糸魚川のために、救済措置で一往復だけ設定された列車です。乗車口に下がるのは「快速 糸魚川行」の札が一枚のみ。「北越」も「くびき野」も「トワイライトエクスプレス」も、何もかも消え去ったという現実を、一枚の札が無言のうちに物語っています。
ちなみに、「くびき野」の頃と違って全車自由席となったにもかかわらず、乗り慣れた5号車の列に並んで海側の席に座りました。いまだに過去を引きずっていますorz

★長岡1837/8622M/1924柿崎
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汽車旅in信越 2016 - 上越線

2016-01-23 18:07:17 | 甲信越
約三時間の移動を終えて終点の越後川口に到着。5分の間合いで長岡行の上越線に乗り継ぎました。運用につくのは上越国境を越えてきた新潟色の115系3連です。
長岡に着き次第投宿して一献傾けたいのはやまやまながら、8分という絶妙な間合いで485系3000番台による上りの糸魚川快速が着き、柿崎まで乗ると今度は7分待ちで下りの普通列車がやってきます。少しでも時刻が狂えば破綻しかねない紙一重の行程とはいえ、今のところ平常運行との情報が入っているため、柿崎まで往復してから「魚仙」に入るつもりです。

★越後川口1804/1747M/1827長岡
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汽車旅in信越 2016 - 予想外の収穫

2016-01-23 16:53:40 | 甲信越
森宮野原に着きました。対向列車と離合して発車すると、ほどなくして新潟との県境を越え、千曲川は信濃川と名を変えます。
三時間弱の移動も、いつの間にやら中盤までが終わりました。その間一切退屈しなかったのは、車窓の右手を流れる千曲川の眺めが秀逸だったからに他なりません。川が適度に蛇行していて、線路と付かず離れず絶妙な距離を保っており、しかも線路が少し高いところを通っていて見晴らしがよいのです。水墨画のような銀世界が少しずつ暮れて行ったり、先へ行けば行くほど雪深くなったりするところも印象的です。
例年は雪による大幅な遅れや運休も珍しくない飯山線だけに、この路線ありきで旅程を組み立てるのは難しいのが実情です。暖冬少雪の今季だからこそ取り得た選択ともいえます。他に選択肢がない状況でやむなく選んだのがそもそもの始まりとはいえ、思わぬ収穫となったのは幸いでした。終盤の車窓も楽しみにしています。
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汽車旅in信越 2016 - 飯山線

2016-01-23 14:47:14 | 甲信越
記念撮影を済ませ、次なる活動で乗る列車を押さえるなどしたところで待ち時間を使い切りました。飯山線の列車に乗り込み新潟方面へ向かいます。
たまには飯山線に乗ってみようという考えがなかったわけではありません。しかし根本的な理由は、旧信越本線の新潟県側が全く使えなくなってしまったことにあります。115系が残った妙高高原まではよいとしても、そこから先の移動手段は、あろうことか二十年も使い古された安普請のロングシート車です。そのような代物に、直江津まで延々一時間以上も乗せられるようでは、旅情も何もあったものではありません。二本木のスイッチバックに妙高山の車窓など、見所がいくつかある路線でも、これでは全て帳消しというものでしょう。それを避ける手段が飯山線しかなかったというのが真相です。
こちらを走るキハ100系も特にどうということはないのです。苦痛を回避できるところにのみ価値があるという点では、東北の719系と比べても五十歩百歩といったところでしょうか。しかし線区によっては、都会の通勤電車と同じ安普請の車体を乗せた気動車が闊歩しているわけです。去年水郡線でその手の車両に乗せられたときには、非常に興ざめしたものでした。それを思えばこの車両とてましな部類には違いありません。諸々の不平はさておき、乗ったからには少しでも楽しむことにしましょう。上越線と合流する越後川口まで、千曲川と信濃川の流れをたどる汽車旅です。

★長野1503/139D/1759越後川口
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汽車旅in信越 2016 - 雪晴れ

2016-01-23 13:21:23 | 甲信越
前回見つけた転車台を撮るなどするうちに、時間はたちまち過ぎ去りました。持ち時間を余すことなく使い切って長野に戻ります。
東信が異例ともいえるほど積雪しているのを見て、北信はなおさらだろうと思ったところが、いざ乗り込むと大した雪ではありませんでした。もちろん高く積もってはいるものの、路面が乾いていることからしても、しばらく雪は降っていないのでしょう。雲を通して時折薄日も差し込んでおり、穏やかな雪晴れの一日です。天気予報を見て、どれだけ冷えるのかと身構えたはずが、出発以来長袖シャツ一枚と雨合羽の軽装で通しています。

なぜか欧米からのスキー客が多いのが沿線の特徴ですが、乗った車両は驚くべきことに過半数が欧米人という状況です。新幹線の開業により不便になってどうするのかと思っていたところが、彼等はこの路線を見捨ててはいなかったようです。無残な姿に変わり果ててしまった北陸と違い、何一つ変わっていないかのような光景には安堵させられます。
唯一惜しまれるのが、時間と腹具合の関係上、待合室のそば屋に寄れなかったことです。しかし、乗客以外の地元客まで利用する繁盛ぶりは相変わらずです。健在ぶりを確かめられたのは幸いでした。
次はいつ黒姫へ戻ってくることになるのでしょうか。少なくとも昨季ほどの頻度にはならなさそうなのが残念です。しかし、少なくとも年内にあと一度は再訪したいというのが現時点の考えです。そのときにまたお会いしましょう…

★黒姫1318/330M/1352長野
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汽車旅in信越 2016 - 萬屋酒店

2016-01-23 12:48:59 | 酒屋
続いては毎度おなじみ萬屋酒店に立ち寄ります。何回足を運んでも、その都度新規の酒に出会えるのがここでの常です。果たせるかな、上水内なる「松尾」の見慣れぬ限定品があったため、今回はこちらを選びました。

萬屋酒店
上水内郡信濃町柏原2711-23
026-255-2078
900AM-2000PM
元日他不定休
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汽車旅in信越 2016 - 信濃屋

2016-01-23 11:34:07 | 居酒屋
転換後初の乗車ということもあり、終点の妙高高原まで往復した前回に対し、今回はそのような目的もありません。一つ手前の黒姫で列車を降りました。黒姫といえば、必ず立ち寄るのが待合室のそば屋と駅前の酒屋ですが、本日はそれらを素通りして駅前の「信濃屋」に飛び込みます。
テーブルと小上がりが整然と並ぶ駅前食堂然とした店内が好ましく、きびきび動くおばちゃん、お姉さんの立ち振る舞いも気持ちよく、しかも安くておいしく量が多いという非の打ちどころのない店です。その店の短冊に酒と肴も並んでいて、ここで呑むのもよさそうだという考えが常々ありました。それが時間の都合や看板で振られるなどの誤算もあって機会を逃してきたわけなのですが、二時間の滞在時間を捻出した今回、ようやく宿願達成と相成りました。
あくまでそば屋だけに、酒と肴の品数は限られます。しかし昼酒には必要にして十分です。まず冷酒の呑み切りボトルと馬刺しを頼むと、お通しにたくあんと中華風のもやし炒めがついてきました。これらでボトルが半分ほど空き、もう一品という状況で選んだのは420円の「ミニ天ぷら」です。300円違いの「天ぷら」をあえて選ばなかったのは、何かにつけて気前のよいこの店の流儀からして、「天ぷら」ではかなりの量になるだろうと見込んだからに他なりません。果たして運ばれてきたミニ天ぷらは、肴には必要にして十分な五点盛りです。足りなければにしんの昆布巻も追加するかというところ、ここで二合弱のボトルが空き、最後は親子丼で締めくくることにしました。ご飯を深めの丼にぎっしり詰めるところが当店流。終盤やや息切れしつつも完食し、正味一時間の昼酒となりました。

信濃屋
上水内郡信濃町大字柏原2711-6
026-255-2058
1100AM- (売切御免)
水曜定休(祝日の場合翌日休業)

生冷酒
お通し二品
馬さし
ミニ天ぷら
親子丼
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汽車旅in北陸 2016 - 北しなの線

2016-01-23 10:45:28 | 甲信越
長野からは信越山線改め北しなの線の列車に乗り継ぎます。前回乗車したときは、信越本線時代に比べて明らかに乗客が減り、この先どうなるのかと一抹の不安を覚えたものでした。しかし今回ボックス席は全て埋まり、かつてと比べても遜色のない乗車率です。健在ぶりを確かめられたのを幸いに思います。

★長野1038/327M/1110黒姫
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汽車旅in信越 2016 - 詰め込み

2016-01-23 10:00:57 | 甲信越
再び列車に乗り込み長野へ向かいます。踏切支障の影響により、8分遅れの発車です。
軽井沢から乗った編成が小諸で折り返し、軽井沢から再び下ってくることは以前申した通りです。これは二両編成で運転されるということでもあります。三両編成でも長野が近付くにつれ混んでくることからすると、二両編成の快速列車は明らかに短すぎます。実際のところ、この列車では着席できたためしがありません。せめて三両あれば、篠ノ井あたりまでは乗客が全員着席できるはずなのですが。
もっとも、この程度ならまだましなのかもしれません。当線で恒常的に座れないのはこの列車だけであり、他の列車ではまず間違いなくボックス席に座っているからです。立つといっても屋代から長野まで20分弱にすぎません。身体と身体が触れるまで詰め込まれる北陸の普通列車に比べれば、この程度の立ち客などどうということはありません。行き過ぎた短編成化により恒常的に混み合うという現象が、各地で公然と罷り通るようになって久しい今も、適正な接客水準を保ち続けるしなの鉄道には敬意を表します。

★屋代951/2603M/1008長野
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汽車旅in信越 2016 - 酒乃生坂屋

2016-01-23 09:46:43 | 酒屋
屋代で列車を降り、毎度おなじみ「生坂屋」にやってきました。青々とした店先の酒林が示す通り、この時期の主役は何といっても新酒です。「明鏡止水」のしぼりたてがあったため迷わず選択。雪に埋もれた茅葺屋根の農家を描いた叙情的なラベルが印象的な一品です。干支を描いた「田酒」の限定品も捨て難く、持ち運びの制約さえなければ二本買い求めるにもやぶさかではないところでした。

酒乃生坂屋
千曲市屋代1852-1
026-272-0143
840AM-2000PM(1-2月及び日祝日 -1930PM)
水曜定休
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汽車旅in信越 2016 - 風雪の信越

2016-01-23 08:13:25 | 甲信越
小諸で3両編成に乗り継ぎました。この後屋代で酒を買い、さらに下って黒姫で折り返し、長野から飯山線を下って長岡に向かうというのが本日の大まかな流れです。明日は終焉迫る新潟の115系が活動の主題となります。
それにしても、東信地方にしては珍しいほどの積雪です。東信でこれなら北信はなおさらでしょう。寒気の影響で荒天も予想される中、雪害に見舞われる可能性は十分にあります。しかしそれもまた一興と考えて信越を選びました。
北陸特急が去り、残った115系も姿を消せば、新潟に残るのは短編成かつ安普請のつまらぬ列車だけになります。しかも新潟には私鉄電車もありません。そうなれば旅する機会が激減するのは明らかです。しなの鉄道の115系は当面残りそうな情勢とはいえ、日本海の風雪と闘う列車たちの姿は遅かれ早かれ見納めになる以上、この冬に是非とも再訪しておきたいという考えがありました。それだけに、ようやく冬らしくなったことをむしろ歓迎しているというのが本音です。万一雪で足止めされたとしても、それを含めて楽しみたいものだと思います。

★小諸814/627M/856屋代
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汽車旅in信越 2016 - 浅間山

2016-01-23 07:58:46 | 甲信越
影も形も分からないかと思われた浅間山でしたが、中腹まで雲に覆われながらも、一点の曇りもない山頂が見えてきました。平地は東信地方にしては珍しいほど積雪しているにもかかわらず、浅間山はそれほど積雪していないのが意外です。
この光景を眺めて思い出すのが、甲信地方が異例の大雪に見舞われた一昨年です。車窓が見たこともないほど積雪している一方で、南アルプスも北アルプスも特に変わったところはなく、平地だけ雪深くなるのを不思議に思ったものでした。今頃南信と中信でも似たような光景が広がっているのでしょうか。
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汽車旅in信越 2016 - 定跡

2016-01-23 07:51:41 | 甲信越
本日の前半は定跡に従い、昨年末と全く同じ手順をたどります。軽井沢でしなの鉄道に乗り継ぎました。乗車するのは115系2連の普通列車、しなの鉄道色に塗り替えられてはいるものの、青いシートモケットは国鉄時代そのままです。
浅間山が見える進行方向右手のボックス席を狙い通りに押さえましたが、今日は低い山まで雪雲に覆われています。ましてや浅間山など影も形も分からないかもしれません。

★軽井沢742/753M/806小諸
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