もっきぃの映画館でみよう(もっきぃの映画館で見よう)

年間100本の劇場鑑賞、音声ガイドもやってました。そんな話題をきままに書きます。ネタバレもありますのでご注意を。

暗いところで待ち合わせ 「利用」という言葉のもつ悪いイメージ

2007-01-21 03:58:27 | その他(邦画)
タイトル:暗いところで待ち合わせ 
原作:乙一 幻冬舎文庫
ジャンル:ベストセラーの映画化/2006年/129分
映画館:シネ・リーブル梅田(120席)
鑑賞日時:2006年12月24日 (日),20:00~ 80人?ぐらい
私の満足度:50%(役者65%) 
オススメ度:50%

<序>
月刊シナリオ12月号の表紙は、化粧気のなく、黒髪、色白の田中麗奈が
ぼんやりとした感じで白い壁によりかかっている腰から上のショット。
どうでもいいことだけど、ボサボサでちょっと濡れたような髪形が
昔の私と似ているなあと思ったり・・・。で、これは行こうと決めました。

予告編からみると、ひとり暮らしの視覚障碍者のとこへ入り込むという
シチュエーションのおもしろさ、鍋が蓋つきのまま棚の上から落ちてきて
倒れている顔面直前でうけとめる、アリエネーところが気になる。
この場面、笑うところなのか?

<冒頭>
くもりの空?星雲?焦点がぼけたような映像のところどころがホタルのように光
る。※1

駅のホーム。 メインタイトル「暗いところで待ち合わせ」
駅のアナウンス『間もなく急行が通過いたします。』
ホームに若い男(チェン・ボーリン)がひとり立ち、やや見上げる。ホームはほ
かに、
座ってる人がひとりいるくらい。

白い壁の木枠の窓をあけるわかい女(田中麗奈)、白い服。
電車が、カメラと窓の間をさえぎるように通り過ぎてゆく。
再び窓。女はいない。

ホームの男の背後からのショット。前方上方に、先ほどの窓。
男の横からの立ち姿から、カメラを振って、住宅街の高台の窓へ。
二階建ての白い家が、駅全体を見渡せる位置にある。

開いた窓の内側から、駅のホームが見える。カメラが徐々に引いて、空。
ゆれる薄手の白いカーテン。暗転。

字幕『ミチル』

再び、部屋の内側からの窓。年配の男(岸部一徳)が入ってきて、
窓をピシャリと閉め、つづきの台所の席につく。Yシャツにネクタイ。
台所では、先ほどのわかい女が、味噌汁をよそっている。素足。
女も、四角いテーブルの男と対角に座る。
年配男『じゃあ、いただきます。』丁寧に、手をあわす。

年配男『ミチル。何か買ってくるものはないか?』
ミチル『大丈夫』

玄関、灰色の背広で年配男がでてゆく。音を立ててしまるドア。
『行ってきます』『行ってらっしゃい』
ドアとその周辺は、かなりの部分がガラスでできており、庭が見える。

女、掃除機をかける。家の前の庭で鉢に水をやる。
じょうろの先にときどき手をかざし、水の方向と、草花の位置を確認している様子。
ひとり座ってお茶を飲む。視線が定まっていない、ややぼんやりした感じ。

露出が多めの映像。
小さな女の子。年配男が縁側で爪を切ってる。
女の子『お父さん、お母さんってどんな人だった?』
父(年配男)『よく、白いシャツをきてたな』

白い長袖シャツを来て立っている女性。

※1シナリオで、は『ミチルの主観のイメージ。暗闇(暗く濁った水の中のよう
な)を
突き抜け光や色が浮かんで消える。』 とある。主観のイメージというのは、
よくわからないが、ミチルの視界では?映画の後半で、そのように思える場面が
でてくる。

<ストーリー gooより引用>
交通事故が原因で視力を失ったミチルは、父親と二人暮し。しかしその父が死に、
ミチルは親類の反対をよそに一人暮しを始める。彼女の家の下は駅のホームだ。
ある日、一人の男がそのホームから転落し、入って来た列車にはねられて
死亡する事件が起きた。その直後、一人の青年がミチルの家に忍び込む。
やがて青年は彼女に気づかれないように息をひそめて居間で暮らし始めた。
彼は死んだ男の同僚で、駅から逃走して殺人の容疑をかけられているアキヒロ
だった。

<感想:ネタバレあり>
チャン・イーモウ監督の『至福のとき』という、映画がある。主人公の盲目の少女
(ドン・ジェ)は、親に捨てられ、たまたまであったおじさんにやさしくされたり、
いろいろあって、最後は自ら白杖を手にして、見知らぬ街へと歩いてゆく。それ
までの
長い道のりのなかでの、少女の境遇と気持ちの変化を考えると、これからの生活を
憂えるとともに応援したい気持ちになった。がんばってと声をかけたくなった。
 だが、この映画はどうもそういう類のものではなさそうだ。ひとつのクライ
マックス
とも言える、ミチルがひとりで白杖を持ち、玄関を出ようとし、過去の恐怖がよ
みがえり、
ドアをしめてしまうシーン。冷たいようだが、このシーンで、私は全く手助けし
ようと
いう気にならなかった。友人に依存して、自ら行動する覚悟ができていないまま
助けたのでは、ただ単に、怖いからやめた、助けてくれた、というとても
浅いところのお話になってしまうから。そう、思っていたらなぜか田中麗奈名探偵が
登場して、火曜サスペンスのように終わってしまった。

まさか、これだけの話じゃないんじゃないのと思って納得がいかず、映画館で
原作を購入した。帰り2時間のJR一気に読み終えた。さすがにベストセラーらしく
読みやすい。だが、結論としてはこれだけの話だった。むしろ映画は丁寧に
よくもわるくも原作をそのままなぞっていた。

原作者は、盲目の女性と、容疑者が同じ部屋で暮らしているという設定の
おもしろさを書きたかったのだろう。人物はあとからのつけたし。
監督が、原作で日本人のアキヒロを、日本と中国人のハーフに変えのも、
そういう方たち特有の苦悩を描きたかったわけではなく、ちょっと冒険してみた
かった。
メインのテーマは、主人公二人のこころの動きというよりも、奇妙な設定という
アイデアだから、あとはそのために利用されただけという気分の悪さを感じてし
まった。

気分を変えて軽くみたほうが、楽しめる映画かもしれない。
アキヒロが最初に家の中に入ってゆくシーン。ミチルがあと1歩か2歩前にでれば
そのすきに気づかないだろうなと思える距離感で入っていけるのに、
普通なら気配を感じるぞ、あと少しで肌が触れ合うぞというぐらいスレスレで
入っていったのは、ここからは何でもありですという監督の確信犯的宣言だろう。
そこからは、突っ込みどころ満載のオンパレード。一層のこと、コメディに
してくれたらと思った。ミチルが人の気配を感じたと友人にはなして、
「ネズミの駆除しなくちゃ」というあたり。実際にバルサンかなにかを炊いて、
アキヒロがたまらず窓から外へ飛び出すようなシーンが見たかったです。

もっともそういう意味では、井川遥が楽しませてくれました。あの駅のホーム
でのシーン。ホームすれすれから見上げるようなカメラアングルで、両手を
ついてホームに上がってくるシーンは、まるで海から海坊主が顔を出すような、
水泳大会で女性タレントがプールサイドに上がってくるようで印象的。
そのあとの、走りの部分の、快活さというか健脚ぶりは、確かバスケットを
やってたというのもうなずける、「大奥」もびっくりスポーツ感覚の盛り上がり
でした。

まあ、素朴な田中麗奈は素敵だったし、この夏上映される、「夕凪の街 桜の
国」でも
戦時中の話なので、きっとうすいメイクだろうと思うと期待も高まってきたので
よしとするか。

追伸

<ひどいパンフレット700円>
パンフをみてみた、驚いたことに映画の評論がなかった。巻頭で、
吉田大介(ライター) が『それでも”二人”でいること』というタイトルで書いて
いるのは、ひたすら原作に対する賞賛で、それも公式HPでは、
その前半と最後の部分が「はじめに」になっており、
中盤が「イントロダクション」になっているといういびつなもの。
さらに「ストーリー」では、『身の回りの家事を一人でこなすミチルの生活は、
一見静かで穏やかに見えたが、その心の中は不安と孤独が今にも溢れ
出しそうだった。』という表現が、一語一句かわらず、父の死直後と、
ハルミ(井川遥)登場後と、2回使われている。わざとというよりも
手抜きであろう。(これも公式HPそのままなので、ご判断ください。)

<佐野史郎>
アキヒロの勤める工場の上司役。でも、あまり重要な役どころでもなく、
インパクトもなく。そういえば最近あまり見てないような。。。。

<岸部一徳:ミチルの父>
好きな俳優さんなのに、あっというまに死んでしまい残念。

暗いところで待ち合わせ-公式HP
暗いところで待ち合わせ@映画生活
暗いところで待ち合わせ - goo 映画
暗いところで待ち合わせ Woman.eXcite


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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こんにちわ。 (michi)
2007-01-22 14:35:50
TBありがとうございました。
私からのTBが不調のため、コメントにて失礼いたします。

>鍋が蓋つきのまま棚の上から落ちてきて
倒れている顔面直前でうけとめる・・・

この鍋事件、なんとなく人の気配を感じていたミチルが、人がいる!と確信したと同時に、
自分に危害を加える相手ではないと安心したともいえるシーンでしたね。
予告編で観て知っていたのですがドキドキしちゃいました 汗
トラックバック、ありがとうございました。 (冨田弘嗣)
2007-01-23 02:58:28
 福知山から映画の為に大阪まで泊りがけでやってくる。私にはきっとまねはできないと思います。私は、京都や高槻に行くのにも悩んでしまういい加減な映画好きです。映画館で映画を観るのは、映画館が近くにあるからという理由だけで、偉そうに「DVDでは観ません。」なんて書いている場合ではないと、貴殿のホームページにくる度に思います。東京から福知山では、映画を観るという環境ではまったく違うでしょう。人間的なものに感心してしまいます。映画とはまったく違ったことを書いてしまいごめんなさい。一度、伝えたかったもので・・・。読ませてもらいました。ありがとうございます。  冨田弘嗣
TBありがとうございました (サラ)
2007-01-26 00:44:09
はじめまして!
実はTBをいただいたブログは登録したばかりで、大分を元気にする為に地元の企業が立ち上げたサイトなんです。
ワタシも応援したくて、映画の記事だけをアップしてます。
二つの管理は時間的に大変なので、今後はコメントのみにする予定ですので、こちらのブログからTBのお返しをさせていただきました。
ワタシもパンフ買いましたが、そうだったんですね。
とても参考になる記事で、ありがとうございました。

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