※原作の設定を大きく逸脱した部分を含むお話です。苦手な方は閲覧ご注意ください。
ガラリと引き戸を開けると、思ってた通り左京が立っていた。
「探してたのよ、撫子さん。何度来てもいないんだもの。どこ行ってたの?」
「あ、ちょっと庭から月を見てて・・・」
咄嗟にごまかすと、左京はそれ以上、追求はせず
「ねぇ、少しお話ししない?何だか眠れなくて。中に入っていいかしら。珍しい唐菓子もあるの」
あたしが返事をするよりも早く部屋に入って来た。
後宮に来て、つくづく思ったんだけど、本当に女房たちって話好きなのよ。
しかも女同士のおしゃべりって言う領域を通り越して、その情報量たるや、もう、立派な独立した諜報機関って感じ。
左京は適当なところに座ると
「どう思った?今日の右近少将さま」
「え」
「素敵な方だったでしょう?」
「え、えぇ。まぁ」
「でもね、あんなに素敵な方なのに、ちっとも浮いたお噂のない方なの。どんなにあまたの女房がお文を送ってもナシの礫でね」
「・・・」
「少将さまって、一説ではとっても真面目でお固い方なんですって。でも、そのツレない感じが、またいいんだけど」
左京はうふふ、と笑い
「もちろん、頭中将さまのような風流を絵に描いたような殿方も素敵よ。私ね、内緒だけど、今、頭中将さまとお文のやり取りをしてるのよ」
左京は声を潜めて言い
「え、でも、お勧めは右近少将だって」
「ま、イヤだわ、撫子さんったら」
ポン、とあたしの肩を叩いた。
「私たち女房なんて、本気の恋のお相手になれるわけじゃないのよ。散々、私たちと恋の浮名を流し、それで権門の姫君と結婚なさって行くんだもの。私たちは私たちで色々、楽しまなくっちゃ。そう思わない?」
「・・え、えぇ・・」
その後も左京のおしゃべりは続き、散々、しゃべって気が済んだのか
「お休みなさい」
と部屋を出て行った。
一人きりの部屋で、何となくぼんやりとしてしまう。
あたしもいっぱし権門の姫だけど───
そっか、考えてみたら、右近少将はあたしのことを、女房として見てるんだっけ。
あたしが好きで女房に扮してるわけだし、だからそれが悪いわけじゃないんだけど、何となく
(ふぅん)
と言う感じ。
確かに貴公子に取って女房なんて、格好のアバンチュールの相手だもんね。
さっきのウキウキした気持ちがすこぅし萎んだ気がしたけど、でも、しばらく灯台の火を見てるうち
(ま、いっか。かえって好都合かも)
なんて気になってきた。
どうせ2か月後には15のガキとの縁談が待ってるんだし、だったらここで「恋のようなもの」を味わっておくのもいいかも知れない。
期間限定の後宮生活で、貴公子との「恋のようなもの」を味わう───
うん、悪くないわよ。
次の晩、運よく仕事を免れたあたしは、昨夜、右近少将と別れた場所に行ってみた。
見たところ人の姿はなく
(いないのかしら・・・)
───私たち女房なんて、本気の恋のお相手になれるわけじゃないのよ。
左京の言葉が耳に甦った時
「ここだよ」
松の木の陰から右近少将が姿を現した。
<続>
「恋のようなもの」で終わるのか──?!「後宮物語」楽しんでいただけましたら、クリックで応援をお願いいたします。
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ガラリと引き戸を開けると、思ってた通り左京が立っていた。
「探してたのよ、撫子さん。何度来てもいないんだもの。どこ行ってたの?」
「あ、ちょっと庭から月を見てて・・・」
咄嗟にごまかすと、左京はそれ以上、追求はせず
「ねぇ、少しお話ししない?何だか眠れなくて。中に入っていいかしら。珍しい唐菓子もあるの」
あたしが返事をするよりも早く部屋に入って来た。
後宮に来て、つくづく思ったんだけど、本当に女房たちって話好きなのよ。
しかも女同士のおしゃべりって言う領域を通り越して、その情報量たるや、もう、立派な独立した諜報機関って感じ。
左京は適当なところに座ると
「どう思った?今日の右近少将さま」
「え」
「素敵な方だったでしょう?」
「え、えぇ。まぁ」
「でもね、あんなに素敵な方なのに、ちっとも浮いたお噂のない方なの。どんなにあまたの女房がお文を送ってもナシの礫でね」
「・・・」
「少将さまって、一説ではとっても真面目でお固い方なんですって。でも、そのツレない感じが、またいいんだけど」
左京はうふふ、と笑い
「もちろん、頭中将さまのような風流を絵に描いたような殿方も素敵よ。私ね、内緒だけど、今、頭中将さまとお文のやり取りをしてるのよ」
左京は声を潜めて言い
「え、でも、お勧めは右近少将だって」
「ま、イヤだわ、撫子さんったら」
ポン、とあたしの肩を叩いた。
「私たち女房なんて、本気の恋のお相手になれるわけじゃないのよ。散々、私たちと恋の浮名を流し、それで権門の姫君と結婚なさって行くんだもの。私たちは私たちで色々、楽しまなくっちゃ。そう思わない?」
「・・え、えぇ・・」
その後も左京のおしゃべりは続き、散々、しゃべって気が済んだのか
「お休みなさい」
と部屋を出て行った。
一人きりの部屋で、何となくぼんやりとしてしまう。
あたしもいっぱし権門の姫だけど───
そっか、考えてみたら、右近少将はあたしのことを、女房として見てるんだっけ。
あたしが好きで女房に扮してるわけだし、だからそれが悪いわけじゃないんだけど、何となく
(ふぅん)
と言う感じ。
確かに貴公子に取って女房なんて、格好のアバンチュールの相手だもんね。
さっきのウキウキした気持ちがすこぅし萎んだ気がしたけど、でも、しばらく灯台の火を見てるうち
(ま、いっか。かえって好都合かも)
なんて気になってきた。
どうせ2か月後には15のガキとの縁談が待ってるんだし、だったらここで「恋のようなもの」を味わっておくのもいいかも知れない。
期間限定の後宮生活で、貴公子との「恋のようなもの」を味わう───
うん、悪くないわよ。
次の晩、運よく仕事を免れたあたしは、昨夜、右近少将と別れた場所に行ってみた。
見たところ人の姿はなく
(いないのかしら・・・)
───私たち女房なんて、本気の恋のお相手になれるわけじゃないのよ。
左京の言葉が耳に甦った時
「ここだよ」
松の木の陰から右近少将が姿を現した。
<続>
「恋のようなもの」で終わるのか──?!「後宮物語」楽しんでいただけましたら、クリックで応援をお願いいたします。
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こんな風に「ここだよ」なんて登場されたらもうそれだけでフォーリンラブですよ♡
高彬、果たしでただの女房だとは思っていないような気がするんですけど(^ ^)
内大臣が用意した相手が誰なのか、気になりますが、もしかして高彬の可能性もおおいにありますよね!?
うーん考えるだけでワクワクして来ちゃったー!
ベリーさんに一票!賛同しますよ〜
私も失礼ながら、ベリーさんに1票‼️のっからせていただきます😉
絶対、ただの女房じゃないってバレてますよね~😁
自分からお誘いできちゃう高彬くん、とっても新鮮です😍
グイグイいっちゃって~😚
楽しみにしていま~す💐
>恋になってほしい。恋以上になってほしい!
切なる願いですよねーーー。
>高彬、果たしでただの女房だとは思っていないような気がするんですけど(^ ^)
ふふふふ、どうでしょうねぇ。
>内大臣が用意した相手が誰なのか、気になりますが、もしかして高彬の可能性もおおいにありますよね!?
これまた、どうでしょうねぇ(笑)
あ、ベリーさん。
クイズの答えですが、ものすごーく惜しいところまで行きついていましたよ。
(きゃー、彼だって!)の辺りの書き込みです(*^^)v
>ベリーさんに一票!賛同しますよ〜
お!ぽっしゃんさんもそう思われてるんですね!
お楽しみに~(*^^)v
>私も失礼ながら、ベリーさんに1票‼️のっからせていただきます😉
珊瑚さんも!
ベリーさん案の支持率、高いですね!
>自分からお誘いできちゃう高彬くん、とっても新鮮です😍
>グイグイいっちゃって~😚
今回は、貴公子としてグイグイ行く高彬を愛でて行きたいと思っています(*^^)v
高彬って、実は結構、積極的だと思うんですよ。
ここぞと言う人には!