※本館「現代編」設定の2人です※
何もしゃべらないまま2人並んで歩く。
普段だったら、高彬の方から
「今日は何かあったの?」
とか
「この間のテスト返ってきただろ。どうだった?」
とか、何かしらの話題を提供してくれるのに今日はそれもなく、かと言ってあたしはあたしで動揺してるから、気の利いた話題なんて浮かんでこない。
いつもはあっという間の土手が、今日はやけに長く感じる。
土手ってこんなに距離あったかしら?
「えーと・・・、観月祭、もうじきね」
沈黙に耐えきれずにそう言うと
「え。あ、・・・あぁ、そうだね」
どこか上の空の答えが返ってきた。
今の高彬は観月祭のことで頭がいっぱいだから、いつもなら観月祭のこと振ったらうんざりするくらい饒舌になるのに・・・
結局、交した会話はそれだけで、盛り上がりがいっさいないままにあたしの家の前に着いてしまった。
「じゃあ瑠璃さん、また明日」
毎回、決まり文句となっている言葉をまたしても上の空で発すると、高彬はそのまま踵を返し行ってしまった。
いつもだったらあたしが玄関に入っていくとこまで見届けてくれるのに、今日はそれもナシ。
反対にあたしが見送るような形になってしまい、それに気が付いて、慌てて玄関を閉めた。
「お帰りなさいませ、お嬢さま」
家人の出迎えを適当にあしらい、あたしはキッチンに向かい
「志乃さん!何かおやつ持って来て!」
「あら、瑠璃お嬢さま、お帰りなさいませ。どんなおやつになさいます?今、ご用意出来るのはプリンアラモードにモンブランケーキ、浅草の人形焼きに長野のサラバンド、宮城の萩の月に山口の利休饅頭、北海道の白い恋人に沖縄の紅芋タルト、あとはダロワイヨのマカロン・・・」
「全部!」
そう叫ぶとドタドタと階段を上がり、バタンと部屋のドアを閉め、ベッドにダイブした。
何なのよ、高彬のあの態度!
いいって言ってるのに家まで送りたがってるのは高彬じゃない。
だったらあたしが退屈しないように、時事ネタから芸能ニュースまで幅広い話題を提供するのが筋ってもんじゃないの?
それが何よ、可愛い子に告白されたからってぼ~っとしちゃって。
あたしに失礼じゃないの。あのバカ。
そうだ!
いいことを思い付いて、あたしはムクッと起き上がった。
明日、高彬の迎えを待たずに学校に行っちゃおう。
当分───
ううん、もう高彬の送り迎えはいらないわ。
彼女持ちの人にそんなことさせちゃ悪いものねーーー。
ふん、だ。
そんなわけで翌朝、あたしは目覚ましを5個鳴らして、いつもより30分早く家を出た。
もう少しで朝のホームルームが始まると言う時、高彬があたしの教室に入ってきた。
「瑠璃さん、今日どうしたんだよ」
あたしはジロリと高彬を睨んだ。
<続>
「怒り」と「好き」が正比例してそうな瑠璃にクリックで応援をお願いいたします。
(長く更新を休んでいるとクリックがランキングに反映されづらくなるそうで、それがいつ解除になるのかわかりませんがよろしくお願いいたします)
↓↓
にほんブログ村
何もしゃべらないまま2人並んで歩く。
普段だったら、高彬の方から
「今日は何かあったの?」
とか
「この間のテスト返ってきただろ。どうだった?」
とか、何かしらの話題を提供してくれるのに今日はそれもなく、かと言ってあたしはあたしで動揺してるから、気の利いた話題なんて浮かんでこない。
いつもはあっという間の土手が、今日はやけに長く感じる。
土手ってこんなに距離あったかしら?
「えーと・・・、観月祭、もうじきね」
沈黙に耐えきれずにそう言うと
「え。あ、・・・あぁ、そうだね」
どこか上の空の答えが返ってきた。
今の高彬は観月祭のことで頭がいっぱいだから、いつもなら観月祭のこと振ったらうんざりするくらい饒舌になるのに・・・
結局、交した会話はそれだけで、盛り上がりがいっさいないままにあたしの家の前に着いてしまった。
「じゃあ瑠璃さん、また明日」
毎回、決まり文句となっている言葉をまたしても上の空で発すると、高彬はそのまま踵を返し行ってしまった。
いつもだったらあたしが玄関に入っていくとこまで見届けてくれるのに、今日はそれもナシ。
反対にあたしが見送るような形になってしまい、それに気が付いて、慌てて玄関を閉めた。
「お帰りなさいませ、お嬢さま」
家人の出迎えを適当にあしらい、あたしはキッチンに向かい
「志乃さん!何かおやつ持って来て!」
「あら、瑠璃お嬢さま、お帰りなさいませ。どんなおやつになさいます?今、ご用意出来るのはプリンアラモードにモンブランケーキ、浅草の人形焼きに長野のサラバンド、宮城の萩の月に山口の利休饅頭、北海道の白い恋人に沖縄の紅芋タルト、あとはダロワイヨのマカロン・・・」
「全部!」
そう叫ぶとドタドタと階段を上がり、バタンと部屋のドアを閉め、ベッドにダイブした。
何なのよ、高彬のあの態度!
いいって言ってるのに家まで送りたがってるのは高彬じゃない。
だったらあたしが退屈しないように、時事ネタから芸能ニュースまで幅広い話題を提供するのが筋ってもんじゃないの?
それが何よ、可愛い子に告白されたからってぼ~っとしちゃって。
あたしに失礼じゃないの。あのバカ。
そうだ!
いいことを思い付いて、あたしはムクッと起き上がった。
明日、高彬の迎えを待たずに学校に行っちゃおう。
当分───
ううん、もう高彬の送り迎えはいらないわ。
彼女持ちの人にそんなことさせちゃ悪いものねーーー。
ふん、だ。
そんなわけで翌朝、あたしは目覚ましを5個鳴らして、いつもより30分早く家を出た。
もう少しで朝のホームルームが始まると言う時、高彬があたしの教室に入ってきた。
「瑠璃さん、今日どうしたんだよ」
あたしはジロリと高彬を睨んだ。
<続>
「怒り」と「好き」が正比例してそうな瑠璃にクリックで応援をお願いいたします。
(長く更新を休んでいるとクリックがランキングに反映されづらくなるそうで、それがいつ解除になるのかわかりませんがよろしくお願いいたします)
↓↓
にほんブログ村