※原作の設定を大きく逸脱した部分を含むお話です。苦手な方は閲覧ご注意ください。
「右近少将!・・・さま」
突然、木の陰から現れた右近少将に姿にびっくりしていると
「何をそんなに驚いているのさ」
笑いながら近づいてきた。
「姿が見えなかったから、来ないのかと思ってたから・・・」
「待ってるって言ったじゃないか。ぼくの方こそ、なかなか撫子どのが現れないから、今日は無理なのかと半分諦めかけてたんだ」
「あ、ごめん・・・なさい」
「いいよ、謝ることじゃないさ。ぼくが早く来過ぎただけだから」
そう言うと
「良かったよ、来てくれて」
照れくさそうに笑った。
「さて、撫子どの。どこを見たい?どこでも案内するよ」
昨夜と同じ月明かりがある夜で、斜めから当たる月の光が、右近少将の顔に微妙な陰影を付けている。
直衣は品の良い光沢を放っているし、顔も話し方もどこにも変なくせがなく好感が持てて・・・
うーん、やっぱり絵に描いたような貴公子だわ。
「どこかある?」
重ねて聞かれ
「じゃあ、近衛府から!」
あたしは元気よく答えた。
ほんと、せっかくなんだから楽しまなくっちゃ。
こんな貴公子が、あたしのためだけに大内裏を案内してくれるって言うんだもの。
青春の思い出ってやつよね。
「近衛府か、いいね。少しは詳しいよ」
なん澄まして言うので、思わず吹きだしてしまう。
「撫子どのは、その・・、自邸は、どこなのかな」
並んで歩き出すと、右近少将が聞いてきた。
「え」
「いや、無理に聞きだそうとか言うんじゃないんだ。嫌なら答えなくていい」
「いやってことはないけど」
ふむ。困ったな。
正直に答えたら「三条邸よ」ってなるんだけど、そう言うわけにもいかないし。
「えーとね、万理小路あたりなの」
小萩の身の上を借りることにした。
「そうか」
右近少将は頷き、少しの間の後に
「撫子どのには姉君とか、妹君っているのかな。例えば、その、どこぞの権門に養女として引き取られたり、もしくは妻に収まったりとかした」
「え、いないけど」
「全く誰もいない?」
「おと、・・・いえ、えーと、一人娘だけど、それが何か・・?」
「いや、良いんだ。ごめん」
「・・・」
「ぼくばかり色々聞いて済まなかったね。もし、撫子どのからぼくに質問があったら聞いてくれて構わないけど」
右近少将に言われ、あたしはふと黙り込んだ。
聞きたいことだらけと言えば、だらけなんだけど・・・。
でも、実はさっきから、と言うか昨夜から、何となーく頭にある都合の良い考え───
つまりね、縁談のお相手が、この右近少将ってことはないのかしら?ってこと。
左京の話じゃ、まだ結婚はこれからって感じだったし、「権門のご子息」と言う条件にこの右近少将は当てはまるもの。
あたしは隣の右近少将をちらりと見た。
だけどねぇ、15には見えないのよ。
そこがねぇ・・・
これはズバリと聞いてみるしかないわね。
「じゃあ、一つ聞いてもいいかしら」
「もちろん」
「右近少将ってお幾つ?」
「歳?」
「そう」
「16だよ。年が明けたら17になる」
「・・・」
やっぱり。
「そうよねぇ・・」
思わずため息が漏れてしまうと
「え?16じゃだめだった?」
「あ、ううん。そんなことはないのよ」
笑顔で返しながら、心の中ではがっくりと肩を落としてしまう。
右近少将があたしの縁談の相手だったなんて、そんな上手い話、あるわけないわよねぇ・・・
なんてことを考えながら歩いていたら、小石に躓いてしまったようで
「あ」
身体がつんのめり、次の瞬間、右近少将に抱きとめられていた。
<続>
この先、昨夜のクイズの話です。
もしかしたら読む方によっては「ネタバレ」と思われるかも知れません。
私としてはそれほど大きなネタバレではないと思うのですが、純粋に話だけを楽しみたいと言う方は、お読みになるのをお控えください。
・・・・大丈夫ですか?
では、どうぞ!
昨夜のクイズ、私の出題の仕方が分かりにくかったかも知れません。
ヒントと言いますか、補足です。
瑠璃の縁談相手、これはほぼ皆さん、同じ殿方を思い浮かべていらっしゃるようで、でも、そうなると引っ掛かってくるのが「15のガキ」のところなんじゃないかと思います。
今回のクイズは、ズバリ、その「15」が重要なんです。
そんなに難しい「答え」ではありません。
皆さんから寄せられたクイズの答えの考察が深く、さらに素晴らしくて、守弥ばりに「ひぃ」っと叫んでイスから転げ落ちそうになっています。
なぞなぞ?とんち?駄じゃれ?・・・そんなレベルです。
さら~っと考えて見てください。もしかしたらその方が当てやすいかも知れません。
(クイズの答えは「縁談相手の殿方を当てる」だけでは正解とはなりません)
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「右近少将!・・・さま」
突然、木の陰から現れた右近少将に姿にびっくりしていると
「何をそんなに驚いているのさ」
笑いながら近づいてきた。
「姿が見えなかったから、来ないのかと思ってたから・・・」
「待ってるって言ったじゃないか。ぼくの方こそ、なかなか撫子どのが現れないから、今日は無理なのかと半分諦めかけてたんだ」
「あ、ごめん・・・なさい」
「いいよ、謝ることじゃないさ。ぼくが早く来過ぎただけだから」
そう言うと
「良かったよ、来てくれて」
照れくさそうに笑った。
「さて、撫子どの。どこを見たい?どこでも案内するよ」
昨夜と同じ月明かりがある夜で、斜めから当たる月の光が、右近少将の顔に微妙な陰影を付けている。
直衣は品の良い光沢を放っているし、顔も話し方もどこにも変なくせがなく好感が持てて・・・
うーん、やっぱり絵に描いたような貴公子だわ。
「どこかある?」
重ねて聞かれ
「じゃあ、近衛府から!」
あたしは元気よく答えた。
ほんと、せっかくなんだから楽しまなくっちゃ。
こんな貴公子が、あたしのためだけに大内裏を案内してくれるって言うんだもの。
青春の思い出ってやつよね。
「近衛府か、いいね。少しは詳しいよ」
なん澄まして言うので、思わず吹きだしてしまう。
「撫子どのは、その・・、自邸は、どこなのかな」
並んで歩き出すと、右近少将が聞いてきた。
「え」
「いや、無理に聞きだそうとか言うんじゃないんだ。嫌なら答えなくていい」
「いやってことはないけど」
ふむ。困ったな。
正直に答えたら「三条邸よ」ってなるんだけど、そう言うわけにもいかないし。
「えーとね、万理小路あたりなの」
小萩の身の上を借りることにした。
「そうか」
右近少将は頷き、少しの間の後に
「撫子どのには姉君とか、妹君っているのかな。例えば、その、どこぞの権門に養女として引き取られたり、もしくは妻に収まったりとかした」
「え、いないけど」
「全く誰もいない?」
「おと、・・・いえ、えーと、一人娘だけど、それが何か・・?」
「いや、良いんだ。ごめん」
「・・・」
「ぼくばかり色々聞いて済まなかったね。もし、撫子どのからぼくに質問があったら聞いてくれて構わないけど」
右近少将に言われ、あたしはふと黙り込んだ。
聞きたいことだらけと言えば、だらけなんだけど・・・。
でも、実はさっきから、と言うか昨夜から、何となーく頭にある都合の良い考え───
つまりね、縁談のお相手が、この右近少将ってことはないのかしら?ってこと。
左京の話じゃ、まだ結婚はこれからって感じだったし、「権門のご子息」と言う条件にこの右近少将は当てはまるもの。
あたしは隣の右近少将をちらりと見た。
だけどねぇ、15には見えないのよ。
そこがねぇ・・・
これはズバリと聞いてみるしかないわね。
「じゃあ、一つ聞いてもいいかしら」
「もちろん」
「右近少将ってお幾つ?」
「歳?」
「そう」
「16だよ。年が明けたら17になる」
「・・・」
やっぱり。
「そうよねぇ・・」
思わずため息が漏れてしまうと
「え?16じゃだめだった?」
「あ、ううん。そんなことはないのよ」
笑顔で返しながら、心の中ではがっくりと肩を落としてしまう。
右近少将があたしの縁談の相手だったなんて、そんな上手い話、あるわけないわよねぇ・・・
なんてことを考えながら歩いていたら、小石に躓いてしまったようで
「あ」
身体がつんのめり、次の瞬間、右近少将に抱きとめられていた。
<続>
この先、昨夜のクイズの話です。
もしかしたら読む方によっては「ネタバレ」と思われるかも知れません。
私としてはそれほど大きなネタバレではないと思うのですが、純粋に話だけを楽しみたいと言う方は、お読みになるのをお控えください。
・・・・大丈夫ですか?
では、どうぞ!
昨夜のクイズ、私の出題の仕方が分かりにくかったかも知れません。
ヒントと言いますか、補足です。
瑠璃の縁談相手、これはほぼ皆さん、同じ殿方を思い浮かべていらっしゃるようで、でも、そうなると引っ掛かってくるのが「15のガキ」のところなんじゃないかと思います。
今回のクイズは、ズバリ、その「15」が重要なんです。
そんなに難しい「答え」ではありません。
皆さんから寄せられたクイズの答えの考察が深く、さらに素晴らしくて、守弥ばりに「ひぃ」っと叫んでイスから転げ落ちそうになっています。
なぞなぞ?とんち?駄じゃれ?・・・そんなレベルです。
さら~っと考えて見てください。もしかしたらその方が当てやすいかも知れません。
(クイズの答えは「縁談相手の殿方を当てる」だけでは正解とはなりません)
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