スパイク・リー監督の「ドゥ・ザ・ライト・シング」を観た。
スパイク本人と妹のジョイが出演、音楽は父のビル・リー。
ブルックリンに暮らす黒人のムーキー(スパイク)は、
イタリア系のサル家族が経営するピザ屋で働いていた。
ある日、ムーキーの仲間で黒人のバギン・アウトが、
ピザ屋の壁にアル・パチーノなどイタリア系移民の写真のみで、
キング牧師などの黒人の偉人達の写真がかかっていないことに憤慨し、
ピザ屋のボイコットを始める。同じくラジオ・ラヒームも
店内でラジオを爆音でかけられないことにイラつき、彼に協力する。
しかし、この些細な出来事から生まれた小さな人種の壁が
大きな惨劇を呼ぶとは誰も想像しなかったのだった・・・。
いやぁ、感心、感心。この作品は俺の中では10本に入る。
それくらい気に入った。テーマも映像も音楽も俳優も演出も好き。
まず、オープニングからパブリック・エネミーの
「ファイト・ザ・パワー」をバックに女性が踊りまくる。
踊り自体は古臭くてグルーヴィー(この死語がピッタリ)。
主演はなんとスパイク本人。実妹のジョイ・リーも妹役で出演。
ヒゲがないんで最初分からないけどよく見たら、ニックス戦で
頻繁にマジソン・スクエア・ガーデンの最前列に座ってる男だった。
バギン・アウト役やラジオ・ラヒーム役の役者もキャラが異常に濃い。
真っ赤なコンクリートの壁の前にパラソルを差して座り、
仕事もせずにひたすら黒人の無力さを嘆く三人組も印象的。
ローリン・ヒルのプロモみたいな世界だった。
そして、テーマがいいね。黒人側から描く人種差別の虚しさ。
"本当は仲良くやりたいんだ、でも出来ないんだ"っていうのが、
スクリーンを通り越してひしひしと伝わってきた。
印象的だったのはバギン・アウトが、イタリア系ピザ屋の店長に肩入れ
し始める主人公ムーキーに言う台詞。
"Mookie, stay black!!" (白人になっちゃダメだって意味)
このパッと聞きカッコいいこの台詞に全てが詰まってるみたいだ。
黒人であることの誇りを日常から口にするってことは、
それだけ他の人種から差別を受けているという証拠、
白人に比べて貧困で苦しんでいる証拠だ。
日本人は日本に住んでいる限り人種差別に合わないから
こんなこと絶対言わない。むしろバカみたいに白人に憧れてるくらいだから。
この他にも黒人を象徴するアイテムが映画の随所に現れてる。
例えば、ファッション。ムーキーはマイケル・ジョーダンのユニフォームを、
バギン・アウトはエアー・ジョーダンを履いている。
さらに、バギン・アウトは大事にしているその靴を
通りがかりの白人に軽く踏まれただけなのに憤慨し食って掛かる。
その白人が身につけている服は皮肉にも
白人バスケットボール・スターのラリー・バード。
そうでなければ靴を踏まれただけであそこまで腹は立たないだろう。
うーん、全然まとまらないけど映画の良さだけは一通り書き終えたぞ。
スパイク・リー万歳!