■Milkwood / Milkwood■
気がつけば、このブログ「Reflections Of Tomorrow」も開設してから 1周年を迎えました。 自分でもよく継続できていると思いますが、まだまだ未紹介のレコードがありますので、しばらくは続けられると思っています。
さて、そんなブログの ID として名前を拝借しているのが、今日取り上げる Milkwood です。 1972 年に、名門 Paramount Records から発表されています。 1970 年代には、テレビ局では ABC が、映画会社としてはこの Paramount や 20th Fox がレコード会社を保有していましたが、いずれも撤退や売却をしてしまっています。 ABC Records は MCA を経てユニバーサルに継承されていますが、Paramount と 20th Fox は公式に CD になっていないレコードが多いように思います。 おそらく再発の権利関係が複雑もしくは不明な作品が多いのではないでしょうか。
さてこの Milkwood は SSW ファンの間では名盤の誉れ高きアルバム。 後に Cars を結成した Ric Ocasek と Benjamin Orr が在籍したことでも知られています。 しかし、Cars の源流を想像してたどり着いた人は肩透かしを食らうことになるでしょう。 このアルバムには緑濃い針葉樹林を通り抜けてきた風のような清々しさと、散策中に丸太小屋で暖を取るときのような温もりが混ざり合ったような空気感が感じられます。 レコードに針を落とした瞬間に部屋の雰囲気が一変するということは良くありますが、このレコードはまさにそのような魔法が閉じ込められています。
1 曲目の「With You With Me」は完璧な楽曲。 ♪And ask you one more time~♪ ではじまるコーラスの素晴らしさは何度聴いても飽きさせません。この曲は同じメロディーやサビの部分であってもハモる節とそうでない部分を微妙にずらしながら、同じ光景を二度と見せないようにする演出が施されています。この嗜好を凝らした工夫は巧みの技に近いもので、こうした曲を平然とアルバムの冒頭に起用するセンスにも感心させられます。 アルバムは名曲ぞろいですが、A面では「Bring Me Back」が Milkwood 節ともいえる味わいでお気に入りです。
B 面のなかでは「Makeshift Pawn」と「The Light Won’t Burn」が特にお薦めです。 前者は、歌い出しの美しいメロディが耳に残る名作。 後者は「With You With Me」と並ぶ代表曲ではないかと思っています。 ♪Turn ,turn♪のサビの部分のはかなさが心の琴線に触れてきます。 灯りは燃えないだろう、という悲観的なタイトルからも想像できるとおりの淋しさに満ちあふれています。 ラストの「Winter Song」もアルバムを締めくくるにふさわしい小曲です。
今年に入って、この Milkwood がついに CD 化されたという驚愕のニュースが飛び込んできました。 しかもアナログ盤おこしというものではなく、きちんとリマスタリングされているということで期待は高まりますが、僕はまだ買えていません。 どうやら Disk Union でしか入手できないらしいので、早くしなければ!
Milkwood の唯一の作品となってしまったこのアルバム。 ジャケットには小さく「How’s the Weather」と書かれており、これがタイトルという説もありますが、レーベル面には記入がないことから副題みたいなものだろうと僕は判断しています。 「天気どうなの?」というこのフレーズは、ラストの「Winter Song」からの抜粋なのですが、もう冬も終わり。 Milkwood の音楽が似合う季節は遠ざかろうとしています。 季節がめぐり、いずれ彼らがこの世から消え去ったとしても(Benjamin Orr はすでに故人ですが)、彼の残した音楽は人から人へと語りつがれながら、ひそかに愛聴され続けていくことでしょう。 それこそがレコードの果たすべき役割ですし、良質な音楽にのみ与えられた特権なのです。
■Milkwood / Milkwood■
Side-1
With You With Me
Dream Trader
Lincoln Park
Bring Me Back
Timetrain Wonderwheel
Side-2
Makeshift Pawn
The Light Won’t Burn
Along The way
We’ve Been All Through
Winter Song
Produced by Al Schwartz
Recorded at Aengus Studios , Fayville , Mass.
All Songs written by Richard Otcasek except for L’Lincoln Park’ which was written by Benjamin Orzechowski
Milkwood is
Richard Otcasek : acoustic guitars , vocals
Jas Goodkind : lead acoustic & electric guitars . vocals
Benjamin Orzechowski : bass , percussion , vocals
Bob Henderson : drums , percussion
Jeff Lass : keyboards
David Humphries : congas
John Payne : tenor , Sprano sax
Greg Hawks : baritone , soprano sax and horn arrangements
Paramount Records PAS 6046
気がつけば、このブログ「Reflections Of Tomorrow」も開設してから 1周年を迎えました。 自分でもよく継続できていると思いますが、まだまだ未紹介のレコードがありますので、しばらくは続けられると思っています。
さて、そんなブログの ID として名前を拝借しているのが、今日取り上げる Milkwood です。 1972 年に、名門 Paramount Records から発表されています。 1970 年代には、テレビ局では ABC が、映画会社としてはこの Paramount や 20th Fox がレコード会社を保有していましたが、いずれも撤退や売却をしてしまっています。 ABC Records は MCA を経てユニバーサルに継承されていますが、Paramount と 20th Fox は公式に CD になっていないレコードが多いように思います。 おそらく再発の権利関係が複雑もしくは不明な作品が多いのではないでしょうか。
さてこの Milkwood は SSW ファンの間では名盤の誉れ高きアルバム。 後に Cars を結成した Ric Ocasek と Benjamin Orr が在籍したことでも知られています。 しかし、Cars の源流を想像してたどり着いた人は肩透かしを食らうことになるでしょう。 このアルバムには緑濃い針葉樹林を通り抜けてきた風のような清々しさと、散策中に丸太小屋で暖を取るときのような温もりが混ざり合ったような空気感が感じられます。 レコードに針を落とした瞬間に部屋の雰囲気が一変するということは良くありますが、このレコードはまさにそのような魔法が閉じ込められています。
1 曲目の「With You With Me」は完璧な楽曲。 ♪And ask you one more time~♪ ではじまるコーラスの素晴らしさは何度聴いても飽きさせません。この曲は同じメロディーやサビの部分であってもハモる節とそうでない部分を微妙にずらしながら、同じ光景を二度と見せないようにする演出が施されています。この嗜好を凝らした工夫は巧みの技に近いもので、こうした曲を平然とアルバムの冒頭に起用するセンスにも感心させられます。 アルバムは名曲ぞろいですが、A面では「Bring Me Back」が Milkwood 節ともいえる味わいでお気に入りです。
B 面のなかでは「Makeshift Pawn」と「The Light Won’t Burn」が特にお薦めです。 前者は、歌い出しの美しいメロディが耳に残る名作。 後者は「With You With Me」と並ぶ代表曲ではないかと思っています。 ♪Turn ,turn♪のサビの部分のはかなさが心の琴線に触れてきます。 灯りは燃えないだろう、という悲観的なタイトルからも想像できるとおりの淋しさに満ちあふれています。 ラストの「Winter Song」もアルバムを締めくくるにふさわしい小曲です。
今年に入って、この Milkwood がついに CD 化されたという驚愕のニュースが飛び込んできました。 しかもアナログ盤おこしというものではなく、きちんとリマスタリングされているということで期待は高まりますが、僕はまだ買えていません。 どうやら Disk Union でしか入手できないらしいので、早くしなければ!
Milkwood の唯一の作品となってしまったこのアルバム。 ジャケットには小さく「How’s the Weather」と書かれており、これがタイトルという説もありますが、レーベル面には記入がないことから副題みたいなものだろうと僕は判断しています。 「天気どうなの?」というこのフレーズは、ラストの「Winter Song」からの抜粋なのですが、もう冬も終わり。 Milkwood の音楽が似合う季節は遠ざかろうとしています。 季節がめぐり、いずれ彼らがこの世から消え去ったとしても(Benjamin Orr はすでに故人ですが)、彼の残した音楽は人から人へと語りつがれながら、ひそかに愛聴され続けていくことでしょう。 それこそがレコードの果たすべき役割ですし、良質な音楽にのみ与えられた特権なのです。
■Milkwood / Milkwood■
Side-1
With You With Me
Dream Trader
Lincoln Park
Bring Me Back
Timetrain Wonderwheel
Side-2
Makeshift Pawn
The Light Won’t Burn
Along The way
We’ve Been All Through
Winter Song
Produced by Al Schwartz
Recorded at Aengus Studios , Fayville , Mass.
All Songs written by Richard Otcasek except for L’Lincoln Park’ which was written by Benjamin Orzechowski
Milkwood is
Richard Otcasek : acoustic guitars , vocals
Jas Goodkind : lead acoustic & electric guitars . vocals
Benjamin Orzechowski : bass , percussion , vocals
Bob Henderson : drums , percussion
Jeff Lass : keyboards
David Humphries : congas
John Payne : tenor , Sprano sax
Greg Hawks : baritone , soprano sax and horn arrangements
Paramount Records PAS 6046