ひまわりの名前

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ロミオ&ジュリエット2013 死のダンサー様との日々

2013-09-23 20:43:24 | 日記
ロミオ&ジュリエット東京公演も、私が取っているチケットがついにあと3枚となりました。
10月2日までインターバルがあります。
ここらへんで、今まで見た舞台を振り返ってみようかと思います。

東京公演を13回も見るのだから他のキャストでも見たら?といろんな人に言われますけど(笑)私は「なんで?」と思うんですよね。
もちろん他の作品では、周さんのダンスを見たことありますし、Kバレエでもこの先宮尾さんのパフォーマンスを見る機会があると思います。
だけど、死のダンサー様に関しては、私の中ではもう勇輔くんのビジュアルでしかありえなくて、おそらく他の方のを見ても、その間ずっと舞台上に勇輔死の姿を探し求めてしまうであろうと思うんですよね。
今、ビジュアルと言いましたけど、本当に表面的な姿ということでも、勇輔死はおそろしいほど好みなのです。
髪の毛が顔に張りつかないとかね、けっこう大事な要素で。(笑)
ロミオの足の間に横たわるときの死の顔が異常に好きなもんで、、あそこで髪がジャマしないっていうのはすごく大事です。
勇輔死は、美しさとか怖さとか気品とか色気とか芸術性とか全部あるんですけど、それだけじゃないっていうか。
なんかそれに加えて、あのウネウネした動きとか薄ら笑いとかイっちゃってる目とか、ちょっとキワモノというか、B級テイスト的なスパイスがまた良くて。
キワモノ的な要素が余計に死を異形のモノに感じさせてくれるんですよね。
人とは絶対的に交われないところにいるモノの宿命的な在りようがなんだか悲しくて、ワタシはすごく惹かれてしまいます。

てなわけで、10回の舞台のうち、私が感じたベストステージをピックアップしてみました。
順位はつけがたいので、日付順です。

9月9日ソワレ 
カッキーロミオ、くるみジュリ、げんきベンボ、城田ティボ、東マキュ、勇輔死

全体の出来が素晴らしくて、観客の反応もものすごく大きかったです。
カテコでは最初から総立ちでまるでライブ会場のように歓声が上がってました。
まず、このキャストがものすごく良かったというのもあります。
カッキーロミオは、本当に初々しくて、初めて訪れた本当の恋に我を忘れて突っ走る感じがものすごくよく出ていて、見ているほうも応援したくなりました。
何より笑顔がキラキラしていて、みんなに愛されるロミオってのが納得できる感じで。
歌もとても上手くて、「僕は怖い」の時は勇輔くん、ものすごく踊りやすそうでした。
すごい拍手だったです。
城田くんのティボも本当に良くて、もう少し髪を黒っぽくしてくれたらもっと良かったかも。
一瞬、あれ?ロミオがなんでここに?って思っちゃいそうになりましたんで。^^;
カッキーには、くるみジュリがとても合っていたと思います。
背のバランスも声の相性も良かったです。

9月13日マチネ
城田ロミオ、くるみジュリ、げんきベンボ、加藤ティボ、東マキュ、勇輔死

この日の主役は、勇輔くんの死のダンサーだったように感じました。
なんだかものすごい存在感で、まさに神降臨って感じがしました。
そのせいか、今まで持っていた死のダンサー様のイメージ(魔物)が少し違って見えました。
もっと神に近い存在というか。
神なのか、悪魔なのか、一番聖なるものが一番邪悪なものというような不思議な世界観に満ちていました。
結婚式の場面でキリストと同じ姿でロミオを見据える死は、いつもよりもっと動かしがたい決定権を持った運命のようで。
もしかして新しい境地に達したのかな?と思ったのですが、15日の舞台ではまた「魔物」的な死になっていました。
この日だけ、なんだかちょっと特別だったのかもしれません。
ちなみにこの日、観劇なさったホリプロの社長さんが「救世主」という言葉をつぶやいておられたのですが、やっぱりこの日の勇輔死はそんなイメージを与えたんだなと思いました。
とても印象的な死でした。

9月19日ソワレ
城田ロミオ、莉奈ジュリ、松ボーリオ、加藤ティボ、東マキュ、勇輔死

19日は、逆に勇輔くんにしては大人しい死でした。
ただそれまでとは違って、完全に憑依している勇輔くんを見た気がしました。
死そのものになってしまった彼がとてつもなく遠くにいる気がして、、。
同じ舞台にいるのに、他の人たちとは違う場所に立っている。その宿命的な悲しみが胸を打ちました。
動きも柔らかくて、とてもエレガントでした。

9月21日マチネ
城田ロミオ、莉奈ジュリ、松ボーリオ、加藤ティボ、東マキュ、勇輔死

19日と同じキャストです。
安定感があるというか、このキャストはある意味てっぱんって感じがします。^^
松也さんの代わりに元基さんでもOKですね。
元基さんは、何と言っても歌が上手くて本当に感心します。
そして、一番のキモは、実はマキュだということに気づいてしまった私なんです。
と言うのも、ここに挙げたマイベストステージは全部、東山さんのマキュなんですよ!

かと言って水田さんがダメとかじゃなくて、、。
たぶん私のものすごく好きな場面である2幕最初の闘いの場面。
これのせいじゃないかと、、。
両家がそれぞれ相手に敵意を募らせ、ついに激突、乱闘へ、、という流れなのですが、うねるようにどんどんボルテージが上がっていくんですよね。
その間、後ろで死が踊ったりうごめいたりしてるんですけど、これがもう官能的でたまらないのですよ。
で、それを盛り上げるのが下界で闘ってる両家のお坊ちゃまたちなんですけど、歌がやっぱり大事というか、、かなりロックな歌なのでそういうのに慣れてるかどうかってのもポイントなんですね。
東山さんの歌は、声がマイクを通りにくいけれど、とてもロックでこぶしが上手いです。
これ、かなり大事です。
マキュのキャラとしても、東山さんの持っている温かみみたいなのが効いてるように思います。

21日はなんと言っても、カテコの死のアクロバットダンスがすごかったです。^^
死の恰好でやってくれたのが嬉しかったですね。

全体として、城田さんの安定感というか、初演時からの進化の素晴らしさには驚かされました。
勇輔くんは初演のときは、むしろ山崎いっくんとのほうが相性がいいと思いました。
なぜなら城田さんの「憎しみ」とかちょっと不安定だったので。
でも今回は、ものすごく歌も上手くて、息もピッタリで、、やっぱり城田ロミオとの絡みがなんと言っても美しいです。
絵になっちゃうというか、、。
初演時よりかなりマッチョな死ですが、私にとってはやはり唯一無二の勇輔死です。
残りの公演もひとつひとつ大事に見たいと思います。




ロミオ&ジュリエット2013 死のダンサー様との再会

2013-09-05 21:40:36 | 日記
9月4日、ロミジュリ2013年版のマイ初日が始まりました。
配役はめんどうなので、主なところだけ。
ロミオが古川くん、ジュリエットは清水さん。
そして死は大貫勇輔くんです、もちろん。^^

今回、私は勇輔くん「死」の東京公演は、コンプリートをめざしています。
チケットは入手済みですので、事情が許す限り見に行きます。
昨日のマイ初日が終わった時点で「全部買っておいて良かった、、」としみじみ思いました。
それくらい私にとって勇輔くんの死のダンサーは唯一無二の存在だったようです。
2年ぶりに会えて、目がウルウルになるくらい嬉しかったです。
舞台が終わった途端に「ああ、、ひとつ終わってしまった、、、」と悲しくなるくらいですから、完全に病気が再発してしまったみたいです。

振付けはいくぶん変わっていたように思います。
もともとバレエの要素が多かったですが、ますますバレエ的になってたような、、。
もうひとり増えたダンサーさんがKバレエのプリンシパル宮尾さんなのも納得します。
回転も跳躍もポージングもまさにバレエですよね。
だから勇輔くんは結構大変なんでは、、と思います。
ぶっちゃけそういう観点から他のふたりと比較されたら無理ですよね。^^;

勇輔くんの死のイメージとしては、前回の最後のほうの死を踏襲してる感じがしました。
初演の最初のころはそれほど悪魔色が強くなかったように思うし、むしろトカゲとかヘビとかの爬虫類系の魔物だった気がします。
後半になるにつれ、だんだん悪魔っぽくなっていったというか、最初ほど気味悪くなくなった代わりに、人に巣食う憎しみや堕落にしてやったり的な恍惚感を見せるようになっていきました。

フランス版は女性が演じていたのですが、まさに肉食獣そのものと言う感じだったです。
勇輔くんの死は、そういう感じとはまた違っていて、これはあくまでも私の感覚なのですが人の願望に実は寄り添っている悪魔なのではないかと、、。
ベローナの街は退廃し、若者は享楽的、大人たちも私利私欲のために勝手気ままに生きている。
彼らの心そのものが生み出したダークな化身が死のダンサーだったのでは、、と思うのです。

ロミオが死によってほとんどサディスティックに翻弄され、意のままに操られる踊りがあります。
ものすごくエロティックで私などはその耽美さに脳髄までしびれてしまうのですが、、あれも結局はロミオの自暴自棄が望んだ姿だと思います。
そういう意味で、同じ肉食系に見えてフランス版とはどこか趣が違う気がしますし、何より勇輔くんの死にはどんなにSっ気満々にロミオを弄んでも、宿命的な悲しさのようなものがあり、それが何とも言えず私を惹きつけます。
それは、たとえるなら、死んでしまった霊魂が自分が死んだことを自覚せずにこの世にふっと現れてしまったかのような絶対的なひとりぼっち感とでも言うのか、、。

勇輔くんの死が見せる目は人間的な悲しみも喜びもいっさい湛えず、水を飲むように人の命が尽きる瞬間を待っています。
その在り方は徹底していて、ある意味カタルシスさえ覚えます。
中毒性があるのはそのせいでしょうか?
表現者として素晴らしいのはもちろんのこと、ビジュアル的な品位も加わって独自の魅力溢れる死のダンサーを確立したと思います。

てなわけで、再び私は中毒患者のように死のダンサー様を脳内で反芻し続ける毎日です。^^;