12月8日は、太平洋戦争開戦の日。
それに合わせてということでも無いのですが、クリント・イーストウッドの「硫黄島からの手紙」を見てきました。全体的に黒っぽい映像で、それが戦場の重苦しい雰囲気を伝えていました。
最初にちょっと駄目だし。
なんだか渡辺謙の台詞が聞き取りにくいところがありました。監督がイーストウッドで、俳優が日本人。当然台詞は日本語なので、台詞の言い回しとかどうやってチェックしていたのか、監督も苦労したんじゃないかと想像したりしていました。
それと、カメラがフラフラ動いているところがありました。ハンディカメラで撮っているような感じなのですが、アップにされた俳優の顔がフラフラと動いたりして、ちょっと見ていて乗物酔みたいな気分になってしまう場面もありました。これは、この映画に限ったことではないのですが、最近映画見ていてよくこういうこし感じます。カメラが小型化して、自由に扱えるようになった分、手持ちカメラの映像が増えたのでしょうか。
まぁ、でも、映画全体に影響するようなことではありません。
お話は、硫黄島玉砕時の指揮官栗林中将を軸に、若い兵隊の目から見た戦場を描いています。
栗林中将は軍人としてアメリカに留学もしたエリート。与えられた役割を遂行するために、合理的な戦略をたてるような実務派の軍人。それが、精神論だけで戦おうとする周囲の軍人との軋轢を生みます。
しかし、そんな栗林のことを若い兵士西郷は、優れた指揮官だと見抜きます。結局、栗林に従った西郷が、硫黄島の戦いを最後まで目撃し、戦場で散っていった兵士の思いを後の世に伝えるという役割を演じます。
それにしても、凄い映画です。
イーストウッドの戦争に対する憎しみが伝わってくるようです。
戦場における悲惨な場面。そして残された家族の悲しみ。
戦闘の場における敵と味方、という二項対立ではなくて、戦争そのものが「悪」であるというメッセージ。
硫黄島にある日本軍の基地が、初めて空襲にあうシーンが印象的でした。
戦闘機の攻撃によって人が殺されていきます。
爆撃によって、あらゆるものが破壊されていきます。
戦争というのは、結局モノを破壊し尽くして、もうこれ以上耐え切れなくなったとき、やっと決着くものなのだと思います。想像しただけでも恐ろしく、そして愚かな破壊行為だと思います。
国と国との間の紛争は、この破壊行為でしか決着できないというのでしょうか。
相手の全てを奪い尽くすまで戦う以外の決着方法は無いのでしょうか。
最初から別の解決方法を放棄してはいないでしょうか。
他の選択肢が無いと、思い込んではいないでしょうか。
嵐の二宮君が演じた、西郷という若い兵士。今生きてれば80代になっていると思います。
戦争が終わって60年。
歴史というスパンで見れば、わずか60年。
わずか60年しか前のことなのに、それがもう忘れられようとして無いでしょうか。
歴史の中では、わずかな時間ですが、一人の人間にとっては長い時間です。
戦争を経験した方は、一番若いかたでも60代になっています。
戦争の時代を記憶しているかたは、70才とか80才それ以上になっているはずです。
今の日本を見ていると、この年代の方々に対しての社会福祉が厳し過ぎないでしょうか。
幸せに、長生きしたい。ただそれだけの願いも、かなえられないのでしょうか。
まるで、戦争を知っている人たちには、はやく居なくなってもらいたいと思っているかのようにさえ思えてしまいます。
一番苦労してきた世代の方には、幸せに暮らしてもらいたいと思いますし、もっとその声を聞いて行かなくてはならないように思います。
次の戦争を起こさないためにも。
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人を信じることも難しい世の中になったと思います。
努力して自分を自分らしく維持していかなければ、
気が狂いそうな気さえします。
辛いときに限って泣きっ面にハチになってしまいがちなので自分で自分を励ましてます
その時にフィットする音楽と良い眠りが一番回復するかも
あのインタビュー見ながら、第二次世界大戦のことをこんなにフラットに受け止めて、アメリカと日本、両方から見た姿を撮ろうとした監督なんて、いままでいたかしらと思いました。
未だに広島・長崎に原爆を落としたのは正しかったと言う元軍人も多いアメリカの中で、ものすごい勇気ではないかと。
自分の身の回りのひとを、絶対に戦争には行かせたくありません。
憲法が改悪されることに、とても不安を覚えます。
希望を捨てずに生きないてといけないのかもしれないですね。
グローバル化という名のもとに、小さくて弱い人たちは、どんどんすむ場を奪われていくんですかね。
あー、それは見たかったですね。
ことらは、良い意味でのグローバルな視点を持った人ですね。
> 自分の身の回りのひとを、絶対に戦争には行かせたくありません。
戦争に行くと、人を殺さないと生きていけないんですよね。
「それもしかたないよね」っていう国にはしたくないですね。
マグナムを振り回すダーティハリーのイメージからは想像もつかない映画ですね。
「父親たちの星条旗」もおもしろいですよ。あの当時でもアメリカはほんと豊かな国だったんですね。
軍隊も、核も、兵器も無くなれば余ったお金で食料や環境問題や貧困問題ぐらいちゃちゃと解決できそうですけどねぇ。。
まったくそうですねぇ。
でも、貧しい国では、生きるために子どもが兵隊になるとか・・・
かなしいことです。
>マグナムを振り回すダーティハリー
まったくです。
ダーティーハリーでも、マカロニウェスタンでも、やること派手だが、心根は優しい。
良いおじいさんになりましたよね。
なんだか、アメリカのメジャーの映画界で、SFアクションモノじゃないドラマで客呼べるのは、イーストウッドぐらいじゃないですかね。