MARU にひかれて ~ ある Violin 弾きの雑感

“まる” は、思い出をたくさん残してくれた駄犬の名です。

もうすぐ春分

2012-03-16 00:00:00 | 私の室内楽仲間たち

03/16 私の音楽仲間 (371) ~ 私の室内楽仲間たち (344)



               もうすぐ春分




         これまでの 『私の室内楽仲間たち』



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 だんだん日が長くなりますね。 これを書いているのは、
3月中旬。



 さて、突然ですが、「鳥が先か、卵が先か?」 ご意見は?

 貴方が詳しい方なら、「恐竜が先だったらしいよ」…とお答え
になるかもしれません。 最近の学説によれば。

 では、その恐竜と、卵は…? キリが無い。




 「あれ? 今回は謎々クイズの日だったかな?」

 いいえ。 ハイドンの音楽を、ご一緒に考える日ですよ。
たまには真面目に…。




 ハイドンの弦楽四重奏曲 変ロ長調 作品76-4
は、『日の出』の愛称で親しまれている名曲。

 曲は、なだらかに上昇する Violin で始まります。
あたかも "美しい日の出" を思わせるような音楽
なので、誰言うとなく、こう呼ばれています。



 [譜例 ①]






 ところが第Ⅰ楽章もしばらく進むと、"日没" の形
も出てくるんです。 高音でスタートしたチェロが、
2オクターヴも下降します。

 これ、音域の広さは、先ほどの Violin を上回ります。
また直後には、3オクターヴ近い落差で急降下します。



 チェロ奏者なら、「この曲の題名は "日没" の方が
相応しい。」 そう言いたいところかもしれませんね。

 「冬の陽は、つるべ落とし」?




 今までは、音楽をメロディー単位で見てきました。 拍子
は 4/4で、ほぼ3~4小節間の長さになります。

 楽章は "Allegro con spirito" と指示されています。




 [譜例 ②]は、第Ⅰ楽章をしばらく行ったところ。 第一主題
が登場し終ると、"" からは、経過部が始まります。



 [譜例 ②]






 ここで強調されているのは、主題の中のモティーフ。
3つの音符から成る形です。

 ほとんどは、まず下降してから、また上るスタイル。
これに限っては、"日没が先" のようです。



 この譜例では、各パートに万遍無く、モティーフが登場
しますね。 チェロにはありません。

 でもご心配無く。 音形はさらに派手になり、他のパート
以上に、チェロはやがて大活躍することになります。




 今回ご一緒したのは、Violin Sa.さん、Viola M.さん
チェロ Si.さん。 いずれも室内楽の大ヴェテラン。
Si.さんは、"ハイドン命" の方です!

 私は、"ハイドン怖い"。 この曲は、Viola しか弾いた
ことがありません。



 演奏例の音源]は、楽章の冒頭 (譜例①) からスタート
します。 譜例②の後、7~8小節で止まります。



 [譜例 ①]





 [譜例 ②]






      [音源ページ   [音源ページ