MARU にひかれて ~ ある Violin 弾きの雑感

“まる” は、思い出をたくさん残してくれた駄犬の名です。

Mozart の♭の響き ⑥ ミラノ土産

2009-05-13 00:27:39 | 私の室内楽仲間たち

05/13 私の音楽仲間 (57) ~ Mozart の♭の響き

             ⑥ ミラノ土産




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                    ミラノ土産
                   素材の倉庫
                  ## → ♭♭♭
                3つの♭、3つの音符
                    深まる謎




 17歳になったばかりの Mozart は、弦楽四重奏曲第6番
変ロ長調 KV159
を作ります。 それは第3回イタリア旅行
の折で、1773年の初頭、ミラノでのことでした。



 3月にザルツブルクに戻ると、2か月の間に四つの交響曲が
生まれます。 『第26番変ホ長調』、『第27番ト長調』、『第22番
ハ長調』、『第23番ニ長調』です。

 そして7~9月の第3回ウィーン旅行から帰ると、その後1年
の間に、さらに4曲の交響曲が書かれました。 『第24番変ロ
長調』、『第25番ト短調』、『第29番イ長調』、『第30番ニ長調』
がそれでした。

 Mozart の『小ト短調』と呼ばれる交響曲は、この25番です。



 この8曲の『ザルツブルク交響曲』のうち、第24番までは3楽章
構成です。 そして、久しく遠ざかっていた "4楽章制交響曲" に
再び手を染めるのが、この第25番です。

 以上は "② 四重奏から交響曲へ" で、ご一緒に見てきました。




 以後、この "4楽章構成" は生涯に亘って続きます。

 これ以後 "メヌエット無し" の3楽章制のものは、わずかに交響曲
第38番ニ長調 K.504 『プラハ』(1786年) があるのみです。

 また1779年に作曲された交響曲第33番変ロ長調 K.319 では、
当初は楽章が三つしか無かったのですが、あとから第Ⅲ楽章と
してメヌエットが追加されました (1782年)。 出版は1785年に
行われています。




 Mozart の交響曲を巡る、大きな流れ。 中でも第25番は、
一つの転換点と言えます。



 交響曲『小ト短調』。 そしてその中の、短調のメヌエット。

 これらは、弦楽四重奏曲変ロ長調 KV159 の中間楽章
"Allegro"
と、何か関連があるのでしょうか。




   譜 例



交響曲第25番ト短調 KV183 (173dB) 第Ⅰ楽章冒頭




交響曲第25番ト短調 KV183 (173dB) 第Ⅱ楽章冒頭
                        ( "96" をクリック)



交響曲第25番ト短調 KV183 (173dB) 第Ⅲ楽章冒頭
                        ( "98" をクリック)



交響曲第25番ト短調 KV183 (173dB) 第Ⅲ楽章 Trio
                        ( "99" をクリック)



交響曲第25番ト短調 KV183 (173dB) 第Ⅳ楽章冒頭
                        ( "100" をクリック)



弦楽四重奏曲 KV159 の "中間楽章ト短調 "Allegro"
                        ( "73" をクリック)




 (続く)