音次郎の夏炉冬扇

思ふこと考えること感じることを、徒然なるままに綴ります。

レオパレス21の嘘

2008-05-17 08:20:01 | レオパレス、賃貸住宅
以前に書いたレオパレス21に関する記事2本が、同社の告発サイトにリンクを貼られているためなのか、毎日30人以上の方が、そのサイトを経由してこのブログを訪問されています。そうなると、今回の報道にも一通りのコメントをしておく必要があるでしょうね。

賃貸アパート大手「レオパレス」、消費税5億円申告漏れ

 東証1部上場の賃貸アパート大手「レオパレス21」(東京都中野区)が、管理するアパートの駐車場賃貸料にかかる消費税を納めず、東京国税局から2007年3月期までの3年間で消費税約5億3000万円の申告漏れを指摘されたことが15日、わかった。
 駐車場のオーナーにも納税の義務があり、同社に管理を委託している全国のオーナー約2万人の多くが追徴課税される可能性もある。
 同社の説明などによると、同社は土地所有者と契約し、アパートや駐車場を建設後、一括して借り上げて入居者に貸す事業を展開している。同社が受け取った家賃などから取り分を除いてオーナーに渡す仕組みで、全国で約44万戸のアパートを管理している。
 税法上、アパートの家賃には消費税はかからないが、舗装されたりフェンスが設置されたりした駐車場の賃貸料は課税対象になる。同社はこのことを知らず、税務調査を受けるまで賃貸料にかかる消費税を一切納めていなかった。
 約2万人のオーナーの大半も消費税を申告していなかったという。消費税は年間の課税売上高が1000万円以下の事業者は免除されるため、どれだけのオーナーが課税対象になるかは不明で、全国の税務署で調査しているとみられる。
 同社は、オーナーに消費税がかかることを文書で通知した。都内で駐車場付きアパートを営む女性(63)は「契約前に何の説明もなかったし、手紙をよこした後も経緯の説明がない」と不満そうに話していた。

〈中略〉

レオパレス21広報室の話「当局とは見解の相違もあったが、修正申告した」

(読売新聞 最終更新:5月16日3時7分)



杜撰な会社ですから、過去5年に30億円の申告漏れがあったと聞いても全然驚かないんですが、読売新聞の記事は、オーナーにも遡及して被害が及ぶ消費税の約5億3千万円の方にフォーカスしています。私はてっきり入居者から徴収した消費税を、レオが納税しないでガメていたんだろうと思ったんですが、記事をよく読むと

「同社はこのことを知らず」

駐車場の賃料が消費税の課税対象であることを社として知らなかったというのです。


そんなアホな! 思わず朝食の牛乳を鼻から吹き出しそうになりましたよ(゜д゜)


こんなのイロハのイではないですか。借り上げ社宅扱いで、契約から賃料振込みの一切を勤務先の総務部に任せているような人は気がつかないかもしれませんが、自分で賃貸マンションを借りて住んだことのある人なら、家賃と違って駐車場賃料に消費税がかかることくらい知っているでしょう。たとえ契約書をよく見ていなくても、料金数字が細かくなることで認識しているはずです。レオパレス21は、業種分類では「不動産業」にカテゴライズされる天下の東証一部上場企業ですよ。ありえません・・・。最初、てっきりレオが集めた消費税を着服していたのだろうと誤読したのには理由があります。駐車場賃料でも課税されない場合もありますから、同社が法解釈を主張していると思ったのです。「当局との見解の相違」というやつですね。

消費税法では住宅や地代の貸付は非課税ですが、駐車場貸付が全て課税対象になるわけではありません。一戸建賃貸のカーポートに駐車場部分だけ課税されることがないのはイメージしやすいと思いますが、以下の要件を全て満たす場合は、部屋に備え付けられているエアコンなどの基本設備と同様の扱いになり、非課税になるケースがあります。

①入居者1戸あたり1台分以上の駐車スペースが確保されている。
②自動車の保有の有無に関わらず全戸に駐車場が割り当てられている。
③家賃収入を住宅部分と駐車場部分とで別々に収受していない。

それから、区画割りや舗装、フェンスなどのない所謂「青空駐車場」も土地の貸付とみなされ非課税です。

レオの物件は単身者用がメインのため、比較的交通至便なロケーションが多いでしょう。だからド田舎ならいざ知らず「青空駐車場」状態はない。さらに、建設工事の見積書には、どうせ結構な額の外構工事費を計上してあるのでしょうから、車止めや専用フェンスまではなくても、少なくとも舗装や白線区割りくらいは当然しているし、もちろん車両管理をしているわけですから、ほとんど全ての物件が課税対象になることは明白です。

日々受注される全国の膨大な物件については、いちいち個別に法務部のリーガルチェックを受けるまではないにしても、普通は支店の事務管理課のようなセクションで契約書を回覧しチェックするのが常識だと思うんですが、どうなっているんでしょうかね。町の不動産屋でさえ常識なのに、大企業であるレオが「知らなかった」というのはちょっと考えにくい。その他に今回報道された子会社への不正利益供与などと併せてみると、「知らなかった」というのは建前である可能性も捨て切れません。

個人事業者の場合、その年の前々年の課税売上高が1,000万円以上の場合にのみ納税義務が生じますから、全てのレオパレスオーナーに追徴されるわけではありませんが、これから大変でしょうね。消費税を払わずに済んだ入居者はラッキーだったかもしれませんが。


もう一つ、上記読売新聞の記事で印象的なのはここにもあります。


申告漏れの一部は、同社がオーナーをグアム島のリゾート施設に無料招待した費用。往復の旅費から滞在中の食費まで同社で負担し、家族も対象になっていることなどから、同国税局では取引先への接待と判断、経費計上が認められない「交際費」にあたると指摘したとみられる。


いまだにこんなことやってんのかよ( ´_ゝ`)

30年前の営業手法じゃないですか・・・。その昔、タイやフィリピンに押しかけて顰蹙をかった、あの悪名高い日本人の売春ツアーは、大手プレハブメーカーのDハウスが地主の接待用に始めたものだといわれています。当時は農協の旗を先頭に品のない行動で旅の恥をかき捨て、かの地での評判を落としていたわけですが、さすがにこの手のツアーを農協が公式に企画するはずはなく、これはハウスメーカーの賃貸部隊が繰り出した、アパートオーナーや予備軍の土地持ちのおぢさんたちへの接待攻勢だったのは言うまでもありません。でもこれは結構悲惨な爪痕も残しているのです。聞いた話ですが、純情なお百姓さんがツアーにはまってしまい、アパートを建て終わってDハウスに連れて行ってもらえなくなると、農作業放り出して自費で行くようになったと。結果として田畑を売り払ったり、身を持ち崩した人も少なくないそうで、なんとも罪な話です。法人対法人の場合はビジネスという感じがしますが、世間知らずの素人さんを大企業がズブズブにするのは、あまり感心しませんね。

以前も書きましたが、レオパレス21は研究開発費を全く計上していない会社です。(同業の大東建託は700億円以上) 賃貸市場がシュリンクしているのだから、顧客への訴求はもっとロジカルなものであるべきです。こんな時代遅れなことをやっている金と暇があったら、あのペラペラの外観を改善すべく、街を美しくするようなエクステリアデザインを研究するとか、環境問題への貢献を考えるとか色々やることがあるでしょうが。

同社はグアム島のリゾート事業で赤字を垂れ流しているのは知られていますが、その自前の海外施設(接待用だったのか)に賃貸オーナーを無料招待したら、それは接待以外の何物でもないでしょうが!! 仮に見込み客(リピーター含む)に対して、遠方の実例現場まで案内して宿泊したような真面目なケースでも、場合によっては販売促進費でなく接待交際費に費目計上しなければならないのに・・・。これもありえません。レオパレス21らしいといえばそうなのですが、そろそろ火がついて本当に社会問題になりそうですね。




コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 裁判官を進化させるために | トップ | 間垣親方の「暴行」 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

レオパレス、賃貸住宅」カテゴリの最新記事