あれっと思ってビックリしました。昨日の日経夕刊の3面に、アメリカの財務次官の下院での証言として、住宅公社2社(ファニーメイとフレディマック)の経営について、「米国の金融システムや世界経済に危機が及ぶ恐れがある」との厳しい認識を示したとのことです。タイトルは住宅公社の経営危機です。
ビックリしたのは、こんなに早く公のニュースとして流れるとは思わなかったからです。この公社2社の資産規模は1兆4千億ドル(約164兆円)だそうです。米国の住宅金融全体では約1000兆円と巨額です。その住宅金融から持ち家取得額と時価の差の金を借りて、元禄大平の宴に興じているのが今の米国です。従って、FRBはこれ以上の金利を上げることは出来ません。かといって下げることも出来ません。それは、何度も書いておりますが、この元禄大平の宴を続けるお金がこの国には元来なく、年間100兆円規模の米国債券を海外(中国、日本、ロシア、産油国)から買って貰う必要から、他国に比べて相対的に高い金利を維持し続けることが必要だからです。しかし、世界経済の名目成長率7%と米国の金利4%の間には3%もの乖離があります。日本の長期金利とはもっと大きな差です。これを放置しておくと、いわゆる過剰流動性のマネーが跋扈しバブルの崩壊でどれだけ痛手を被るかは、日本の1990年代の例が示すとおりです。だから、日本もEUも金利を上げざるを得ず、そして上げにかかっている訳です。本来なら米国も更に上げざるを得ません。
ところがアメリカは住宅問題があるため金利を上げられる状況にはありません。帰結するのは米国債券が下落するということです。またドルの下落です。これまでアメリカの長期金利は短期金利よりも低かったほどに、アメリカの長期債券を買う力が強かった訳ですが、その債券が買われなくなると長期金利が上がります。(大量に売られると一瞬のうちに長期金利が跳ね上がります。日本政府が持っている米国債は売るに売れない代物です。)長期金利は短期の政策誘導金利と違って市場原理で決まるので、FRBや日銀などがコントロール出来る問題ではありません。もしできるなら、過去の2度にわたるオイルショックの時の金利上昇、インフレーションも押さえられたことになります。過去の新興国のハイパーインフレも押さえることができた筈です。
その金利が上がるとどうなるかは、住宅抵当公社が投資している巨大な資産価値が下落(債券、不動産は当然下落、世界の株も下落)によりバブルがはじけることになります。
アメリカの住宅問題はこのような大きな危機を抱えているのですが、それがこうしたファニーメイとフレディマックの経営危機といった形で新聞に出るまでに問題が深刻化していることに率直に驚かざるを得ません。
来週はアメリカの住宅市況に関する統計発表があるそうですが、そこでまた株が乱高下すると見ておいた方が良さそうです。そして筆者は、この問題はまだまだ「序奏」だという確信をますます強めております。
1月のブログで書きましたが、平均月収12万円から13万円のマルタ島で、海沿いの郊外の1戸建て住宅が5000万円で売られているのも、「値上がり期待」で誰かが融資して、誰かが借金して買ったものですが、金利が上がれば値下がりに転じます。これまでは値上がり益分を追加で融資して貰って消費に回していた(アメリカのケース)のが、全く逆転して、今度は借金の返済に追われることとなり、返せない人が続出するという訳です。当然、消費は急失速です。その端緒がサブプライムローンの焦げ付きに真っ先に出てきていると言うわけです。(日本のメガバンクのこのところの下げは、いわゆる消費者金融問題に絡んでの先行き懸念が直接の下げのようです。)こんなこと、日本のバブル崩壊で嫌というほど経験しているのに、人間の貪欲さの性で、まさに歴史は繰り返すということですね。
ビックリしたのは、こんなに早く公のニュースとして流れるとは思わなかったからです。この公社2社の資産規模は1兆4千億ドル(約164兆円)だそうです。米国の住宅金融全体では約1000兆円と巨額です。その住宅金融から持ち家取得額と時価の差の金を借りて、元禄大平の宴に興じているのが今の米国です。従って、FRBはこれ以上の金利を上げることは出来ません。かといって下げることも出来ません。それは、何度も書いておりますが、この元禄大平の宴を続けるお金がこの国には元来なく、年間100兆円規模の米国債券を海外(中国、日本、ロシア、産油国)から買って貰う必要から、他国に比べて相対的に高い金利を維持し続けることが必要だからです。しかし、世界経済の名目成長率7%と米国の金利4%の間には3%もの乖離があります。日本の長期金利とはもっと大きな差です。これを放置しておくと、いわゆる過剰流動性のマネーが跋扈しバブルの崩壊でどれだけ痛手を被るかは、日本の1990年代の例が示すとおりです。だから、日本もEUも金利を上げざるを得ず、そして上げにかかっている訳です。本来なら米国も更に上げざるを得ません。
ところがアメリカは住宅問題があるため金利を上げられる状況にはありません。帰結するのは米国債券が下落するということです。またドルの下落です。これまでアメリカの長期金利は短期金利よりも低かったほどに、アメリカの長期債券を買う力が強かった訳ですが、その債券が買われなくなると長期金利が上がります。(大量に売られると一瞬のうちに長期金利が跳ね上がります。日本政府が持っている米国債は売るに売れない代物です。)長期金利は短期の政策誘導金利と違って市場原理で決まるので、FRBや日銀などがコントロール出来る問題ではありません。もしできるなら、過去の2度にわたるオイルショックの時の金利上昇、インフレーションも押さえられたことになります。過去の新興国のハイパーインフレも押さえることができた筈です。
その金利が上がるとどうなるかは、住宅抵当公社が投資している巨大な資産価値が下落(債券、不動産は当然下落、世界の株も下落)によりバブルがはじけることになります。
アメリカの住宅問題はこのような大きな危機を抱えているのですが、それがこうしたファニーメイとフレディマックの経営危機といった形で新聞に出るまでに問題が深刻化していることに率直に驚かざるを得ません。
来週はアメリカの住宅市況に関する統計発表があるそうですが、そこでまた株が乱高下すると見ておいた方が良さそうです。そして筆者は、この問題はまだまだ「序奏」だという確信をますます強めております。
1月のブログで書きましたが、平均月収12万円から13万円のマルタ島で、海沿いの郊外の1戸建て住宅が5000万円で売られているのも、「値上がり期待」で誰かが融資して、誰かが借金して買ったものですが、金利が上がれば値下がりに転じます。これまでは値上がり益分を追加で融資して貰って消費に回していた(アメリカのケース)のが、全く逆転して、今度は借金の返済に追われることとなり、返せない人が続出するという訳です。当然、消費は急失速です。その端緒がサブプライムローンの焦げ付きに真っ先に出てきていると言うわけです。(日本のメガバンクのこのところの下げは、いわゆる消費者金融問題に絡んでの先行き懸念が直接の下げのようです。)こんなこと、日本のバブル崩壊で嫌というほど経験しているのに、人間の貪欲さの性で、まさに歴史は繰り返すということですね。
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