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独自開発のテクニカル指標で株式市場の先行きを読む!

ヨーロッパ短期金融市場に異変

2007-11-30 20:39:16 | 金融全般
ロイターの伝えるところによれば、29日の欧州銀行間取引金利(EURIBOR)の1ヶ月ものが4.809%となり、2001年5月以来に水準に上昇。前日は何と4.169%でした。これは記録を取りだして以来の最も急激な上昇であり、イタリアの経済新聞、イル・ソーレ紙はウェブサイトにEURIBORが「Gone Mad」(発狂)したと伝えております。

3ヶ月ものも4.743%から4.776%に上昇しており、8月のピークに迫りつつあり、ECBの貸出金利の4%をかなり上回った水準です。

これはヨーロッパの債券市場が、このままでは制御不能に陥る可能性があることを示唆しております。これを受けて、ドイツ銀行のエコノミスト、トーマス・メイヤーは、当局は先回りして手を打つべきだと言い、彼だけでなくヨーロッパのトップエコノミスト達は、来週の政策決定会議で金利を引き下げるように要求しております。

実際、ドイツのIKB銀行がサブプライムで61.5億ユーロの損失を出したことも同日明らかになっておりますが、今日の日経の夕刊では、「IKB産業銀行はサブプライムローン問題の損失額が確定できず、30日に予定していた決算発表を延期した」とのみ報道し、ドイツ連銀が金融システムの健全性を強調したとの記事に留まっております。

この日経をはじめ、日本の各紙の論調は、世界のそれとかけ離れて何と悠長なことでしょう。これは一体何か政治的な意図でもあるのかと勘ぐりたくなります。

何故、バーナンキが利下げを示唆する発言をしたのか、これでようやく分かりました。ECBもこの事態に利下げを余儀なくされるからです。そうでないと、IKBやノーザンロックだけでなく、どうもヨーロッパの信用力が低い、特に小型の銀行が危ないようです。

ヨーロッパは、何もアメリカのサブプライム問題の余波だけを受けている訳ではありません。S&Pのヨーロッパのエコノミストが言っているように、地中海エリアとアイルランドの住宅価格の下落が深刻な不況の引き金を引くという、重大問題を実は抱えております。スペインや英国もそうですが、今年の1月に筆者が訪問したマルタ島でも平均月収が12-3万円の国で、海を望む一戸建てが何と5千万円とのことでした。住宅価格は日本のバブルを思い出すまでもなく、そこに住む人々が何とか買える水準にまで下落するのが常です。まさにこの住宅バブルがアメリカだけでなくヨーロッパでもはじけつつあるのが、ヨーロッパのまだ誰も気が付いていない重大問題だと、そのエコノミストが指摘しておりますが、その通りでしょう。

それから、ユーロ圏の問題はもう1つ、忍び寄るインフレです。ドイツでの11月の消費者物価指数は3.3%の上昇だそうです。日本がわずか0.1%の上昇と日経の今日の夕刊に報道されておりましたが、ドイツのこのインフレ率はユーロに入ってからの最高値とのこと。現にオーストリアのECBの総裁は、すでにインフレはAlarming(警戒すべき)の状態に入ったと言っております。

にもかかわらず、利下げをせざるを得ないクレジット・クランチの脅威です。これがバーナンキが「オーバーナイトのマーケットのフリーズを避けるため、必要とあらば、無制限のキャッシュを注入する」と11月26日に行った発言と重ね合わせて見る必要があります。これは金融の非常事態宣言です。何しろ、世界最大の金融機関、シティバンクがアブダビ投資庁から受ける資金供与の金利が、期待収益率にリスクプレミアムを乗せるため、債券より高いのは当たり前とはいえ、11%という高率なものなのです。

こられのことを、11%の金利のことは伝えても、その意味するところと、背景の金融危機について、何故日本のジャーナリズムは率直に伝えないのか?

といったことを色々と知るにつけ、FRBの利下げで日本の株価もまた上がるものと楽観的に考えることは禁物だと思います。確かにカンフル効果はありますので、ある程度は戻すでしょう。しかし、10月3日のブログで書いたように、利下げをするということは、それだけ経済・金融状態に問題があるということに他なりません。従って、いずれ株価も調整を余儀なくされるのが2000年以降での経験則です。

最後についでながら、もう1つだけ意見を言わせて下さい。

それはグローバルした経済で新興国市場が急速に成長しているため、NYダウ銘柄の利益に貢献していること、そのため、アメリカが多少不景気になっても新興国市場の成長があるため世界経済は不況に落ち込むことはないとの論調です。

前段のNYダウ銘柄への寄与はこれまではその通りだったでしょう。しかし、それはアメリカ経済が順調であったことと裏腹のことです。東京オリンピック前の日本を見てもそれは分かります。アメリカがくしゃみをすれば日本は風邪を引くと言われ始めた時代です。今の中国が何故元高に持って行けないのか?輸出が減って国内経済が深刻なダメージを被るためです。アメリカの消費があってこその新興国です。今の新興国の内需だけでアメリカの消費の落ち込みをカバーすることなど、出来ないと筆者は思っております。経済規模のバロメーターである世界のエネルギー消費量の分布を見ただけで、これは納得出来るのではないでしょうか。親亀がこけたら小亀もこけるのが世の摂理というものでしょう。

PS.この記事を書いた後、変動利付きローン(ARM)の金利上方リセットを凍結協議の話が、このブログのリンク先の「いちカイにヤリ」さんのブログで紹介されておりました。危機回避のためにはこれからも出来ることは何でもやる姿勢です。このニュースのインパクトは結構大きいですね。
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15670円は切り返して終わる

2007-11-30 15:30:01 | 株に出会う
後場は先物のギャップアップから始まり、一時節目の15670円を挟んでの攻防となりましたが、15時を過ぎてからは一気の買い上がりで15730円での終了でした。

これでひとまずリバウンドの勢いは保持したまま来週を迎えることができそうですが、まだまだ、NYや為替次第ということもあり、予断を許さない状況が続くかと思います。

シティに注入する金額では到底サブプライムローン問題の片が付かないことは皆さん承知の上ですが、FRBの利下げ方向の確度が高まっていることが背景にあるかと思います。とにかく、バーナンキがいかなることがあっても、この年末に信用不安を起こさせないと言明し利下げも示唆したようです。これで30日のNYダウも再度大きな上げを演じると予想されているようです。その先取りが15時以降の先物の動きに現れたのかも知れません。

このアメリカの姿勢は何を意味するのか?

金融不安(信用収縮)の影響が実体経済に波及するのは目に見えているので、お金をじゃぶじゃぶとつぎ込んで、何としてでも恐慌への突入は阻止してみせる、との決意ですね。

これにより、中央銀行はインフレやドル安の懸念はセカンダリーにすることが明らかになりました。イギリスのノーザン・ロックへの資金の無制限の供給声明(ペイオフ撤回)といい、もはやあきらかに(なだらかな)インフレへと世界の経済は舵を切ったのです。

そうなると、息を吹き返すのは資源、商品などに関連した株ですので、今日は船舶も含めて、これまで押しに押されてきた資源関連銘柄が大きく買われておりました。

5707東邦亜鉛など凄い勢いでした。地合に逆行してドンドンと買い上がっていく様は異常とも言える動きでしたね。(注)

来週はドイツに出かける予定です。月曜日の前場でトレードを止めますが、さて、いくつかの銘柄を仕込んでから出かけるのがよいのかどうか悩むところです。

(注)夜分かったことですが、この東邦亜鉛、某投資顧問会社の「特別会員銘柄」として推奨がされていたことが原因でした。筆者は会員ではもちろんありませんよ。しかし、嫌な奴らです。自分は往復で利益をがっぽりと稼いだことでしょう。
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黄金分割比率を超える

2007-11-30 11:22:08 | 株に出会う
しかし、この切り返しはいささかオーバーシュート気味のような気がしますね。

日経平均と先物は11月8日の安値をも超えて、ついにフィボナッチ比率とも言われる黄金分割比率の15670円を前場に超えて終了です。

先物で見ると、前回の8月17日の時は、たったの1日で奪還。10月11日には17530円の高値をマーク。その後11月9日に、再度黄金分割比率を割り込み、そして今日奪還です。奪還するまで、前回はたったの1日。今回は14日かかっております。

これからは、この15670円が抵抗線となって機能するのかどうかで、これから先の相場の見通しも決まってくるかと思います。

しかし、先物のOSCは+5%の62%まで急伸。日経平均も同値の60%と高水準です。10月11日の高値をマークした時の先物のOSCは70%ですので、もう少し上げ余地は残されているのかも知れません。

こういう節目になると、業績好調銘柄が先物に合わせて上昇度合いが強いようです。

例えば、5563日本電工、6330東洋エンジニアリング、6804ホシデンなどです。

その日本電工を前場の切り返しタイミングの818円で拾ったのは大正解でしたが、今日の押し目の値動きを見ているためか、823円での早売りでした。833円まで行っております。1分足のMACDがだれてくるまでは我慢しようと、心に決めていた筈ですが、行動ファイナンス学通りの失敗でした。心理状態を改善するしかありませんが、ここは機械的な売買に徹することの重要さを再認識。しかし、人間的な勘でいくつかの窮地からの脱出も出来ているため、状況判断の切りかえが実に重要かと思った次第。

こういう日に、上に行かない銘柄はその日はトコトン駄目なようですね。昨日賑わった4617中国塗料は今日は一服日。9110新和海運他の海運株も、バルチック指数の下落もあり、まだ手負い状態です。朝方の上昇でかなりのエネルギーを使い果たしたらしく、日本電工が怒濤の買い上がりを先物に合わせて見せている間も、ほどんど動かずでした。

こうした上昇エネルギーの度合いをきちんと見極めつつ、後場は買い銘柄を慎重に選んで行きたいと思います。
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明日のモニタリング銘柄(11.30.07)

2007-11-29 21:03:47 | 明日のモニタリング銘柄
今日はいつもの高値掴みの癖が後場に出てしまい散々でした。

元々高く始まっている相場は、一旦落ちるのを待っての買いということは、頭に叩き込んでいた筈ですが、4617中国塗料の前場の強烈な上昇の有様が目に焼き付いていて、先物が切り返し始めた時に1225円で掴んでしまいました。ところがその時点では、そこがほぼ頂点でした。14時前のこと。その直後に縦に長い陰線が見えますが、その篩い落としにあってしまったのです。しかし、悪いことに手放したタイミングは後場の最低値付近です。その後じり高ですので、少なくとも買値では撤退できた筈。

その他、5310東洋炭素でもうまくいかずに-100円で撤退といいところがありませんでした。

まるで支離滅裂な動きをするように見えるため、目先の値動きに翻弄されてしまったようです。

こうした上昇日ですが、ふと引け際に8728M2Jを見れば、寄り天からの安値更新中でした。あやうく手が出そうになりましたが、「右肩下がりの株に手をつけるのは御法度」ということを思い出し、かろうじて191Kあたりで買うのを止めました。結局引けは188Kです。

かと思うと、例えば3823アクロディアなどは今日も続伸。ほぼ寄り付き買いが正解でした。8701イートレもそうです。しかし、2432DeNAの場合は、今日は勝つのが少々難しかったと思う分足のチャートでした。

アクロディアとイートレに共通していることは、今日がちょうど直近の高値を抜くタイミングにあったということです。こうした上げ潮に乗っている銘柄にうまく乗らないと、こうした地合の良い日でも、逆に逆に出てしまいます。

いくつか持ち越しも考えたのですが、こういう失敗トレードの日ですので止めました。

明日は仕切直しです。よほど自制しないとうまく事が運ばないということを思い知りました。そもそもうまく運ぶと思いこむ、そのことが間違っている訳ですが、上げる株や下げる株にどのような理由があったのかを検証しないことには、いつまで経っても進歩はありません。

さて、トレンドは短期では反転したかに見えます。それを踏まえての明日のモニタリング銘柄ですが、「テーマ」を決めてのモニタリング銘柄のスクリーニングを行ってみます。

1.8728M2J
 今日も引けに最安値を付けて、OSCも1%下げての188K終了と最悪の状態で終了。さて、今の状態をどう見るかですが、明日は27日に高値で買った方々(189K~206K)の見切り売りがどこで終息するかにかかっているかと思います。その前日の安値は181Kですので、そこまでの下落があれば一旦終息するものと思います。よって、待ち伏せポイントは、地合にもよりますが182Kあたり。地合が悪いとその前日の173Kあたりまでは覚悟。もし地合が良い場合は、201Kという今日の高値が抵抗線となると想定し、買い時を計った方が良さそうです。

2.6255エヌ・ピー・シー
 地味な銘柄ですので気が付きませんが、着実に上値を切り上げてきております。明日も3390円という今日の安値を切り上げ、上値を3550円よりも伸ばすのかどうかに注目。3450円近辺なら買いか。いずれにしても3600円以下で仕込むこと。

3.7826フルヤ金属
 ずっと低迷中でしたが、ようやく出来高も増え、明日は12700円を窺う位置にまできております。

4.6502東芝
 11月14日の894円が間近に迫っております。これを抜けて更に上に行くのかどうか?新聞によると、このところの下落は、次世代DVDの劣勢が業績見通しに陰を落としているとのこと。

5.7003三井造船
 やっと節目の472円を超えて来ましたが、明日は再度500円を目指す動きとなるのかどうか。OSCが直近では最も高い50%をマークしており、セオリー通りの切り返しとなるのかどうか注目。

6.5302日本カーボン
 これもOSCを+11%の52%まで伸ばして、500円そこそこからの脱却を成し遂げた様子。この勢いが続くのかどうか、今日は引けにかけて最高値をマーク。

7.8934サンフロンティア不動産
 170Kあたりの底を脱した感があります。今日は187Kまで戻しておりますので、後は196Kから200Kを明日窺うのかどうかに注目。

8.3774インターネットイニシアティブ
 これはもうエベレストの頂上近くまで来ている超強気銘柄です。今日はほぼ一直線での上昇。ここまでくれば480Kは固いかと思いますが、OSCは既に72%です。

9.6804ホシデン
 今日はさすがに反発し、OSCを+8%の50%にまで伸ばしました。1750円あたりまでの押し目待ち。

10.4617中国塗料
 この間の低迷から抜け出したのかどうか、明日が正念場。上り調子が続けば1250円をまず奪還し、その後1300円に戻す筈。OSCは+15%の50%は上げすぎですので、明日の押し目狙い。

11.9110新和海運
 果たして抜けたのかどうか?まだPERは9.21倍。乾や第一汽船は約12倍。と言う意味では売られすぎか。そのためか、今日は引けにかけても上げが衰えず。

今日は、相場が反転したとの判断から、M2Jを除いて、今日の寄り付きよりも引け値が高く終わっている銘柄で、OSCがピークを越えた銘柄を中心に選んでおります。

この想定で明日の結果を検証したいと思います。

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こういう日は買い時が難しい

2007-11-29 11:23:40 | 株に出会う
寄り付きの気配値を15000円以下に朝方は抑えておいて、いざ場が始まるとほぼシカゴCMEの15535円近辺で寄りつかせるところなど、やはり先物市場は一筋縄ではいきません。そこから15550円まで押し上げられましたが、この11月9日の安値ラインの突破はなりませんでした。

当然11月15日の高値ラインの15600円までは今のところ届きそうにありません。

しかし、これで一時的にせよ流れが変わったのではないでしょうか。ドルの減価を防ぐためにアラブ諸国はシティに75億ドル出しただけでなく、産油国全体としては隠れオイルマネーを4兆ドルは持っているだろうと言われております。2007年全体でも石油で稼いだお金は6880億ドルにも達します。(この2ヶ月間での原油の急騰分は未反映)マッキンゼーは10月に、オイルマネーの投資額は2006年末ですでに3.4兆円から3.8兆円に達しているとの計算をしております。

この産油国の潤沢な資金は1970年代から2001年までは先進国の長期国債のような債券に限られておりましたが、2001年に石油価格が暴落。手持ちのドル資産を激減させたと言われております。

これが、今回の行動の背景にあるようです。それがシティへの投資という形で象徴的に表面に出てきたに過ぎません。

これらのオイルマネーは、バレル100ドル近辺になるにつれ、これまでより遙かに大胆な方法で投資をせねばと舵を切ったようなのです。

以上は、アメリカのヘラルド・トリビューンの11月28日付けの論説です。

さて、後場は先物が再度15550円に挑戦し、これを突破して終了するようなら、もう一旦底打ちでしょうが、そうでない限り、まだこのようなオイルマネーの動きに対して信頼を寄せることが出来ない市場は、まだ疑心暗鬼が払拭されておらずに一進一退を繰り返すかもしれません。しかし再度の15000円割れはかなり遠のいたようです。

前場は先物の分足を見ながらトレードするも、思ったように反発せずわずかな負けトレードです。後場の雰囲気を見てから参戦しても遅くはないと思っておりますが、今のところ、どうも日本市場は今晩のNYダウの「シティ効果」のメッキがはげ落ちるのを警戒しているようにも見て取れますね。

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